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- 2016年04月29日 09:00
「自衛隊という名前を軍に変えるべきかどうか」シリーズ最終章 その3
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あ、「Japan Self-Defence Forces」って表記を変えるのに、法的な手続きはいりません。
というのも、「自衛隊の英語表記はJapan Self-Defence Forcesです」と定めた法律が存在しないんです。
じゃあどこで定められてるんだ?というと、「通達」です。
陸上自衛隊の中で、陸上幕僚監部から「身分証はこういう表記をするように」という通達がなされているんですが、その中(身分証)に「JAPAN GROUND SELF-DEFENSE FORCE」という文字があります。
航空自衛隊も同様。
そして、海上自衛隊では海上幕僚監部から「海上自衛隊の部隊、機関等における英語の呼称について」という通達があり、その中で「海上自衛隊:Maritime Self-Defense Force」と明記されています。
これは、陸海空各自衛隊のそれぞれ(陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部)が出してる「通達」です。
防衛省も外務省も内閣府も関知していません。
陸海空それぞれの組織の「決めごと」なんです。
なので、各幕僚監部が「変えま~す」となれば、そのまま変更されます。
……のはず。
まあ、なにか新しい法制を作って、自衛隊の英語表記を定めるって手もあるでしょうけど。
いずれにしても、そう簡単にはいかないんだろうなーとは思いますが。
そして最後に。
「『自衛隊』という名前は、変えても変えなくてもどっちでもいい」
※ただし超個人的な感情としては現状の「自衛隊」って名前に愛着ありすぎ
と書きましたが、「愛着」とは別の部分で
「『自衛隊』という名前は変えないほうがいいんじゃないか」
と思っていることがあります。
内閣府では、定期的に「防衛問題に関する世論調査」を行っています。
この平成26度調査によると、「自衛隊に対して良い印象を持っている」と答えた人は92.2%でした。
でも、この「良い印象を持っている」がこんなに高い比率になったのは、最近のことなんです。
手元にある資料の中では、最も低いのが昭和47年度で58.9%。
グラフでは、昭和47年度の58.9%から徐々に徐々に右肩上がりで、平成24年度調査で初の90%超となっています。
今年、2016年は自衛隊創設から62年を迎えます。
この62年間、自衛官たちは「国民から信頼を得よう」と努力を続けてきました。
ご年配の元自衛官の方に過去のお話を伺うと、「自衛隊の制服を着て歩いていると石やゴミを投げつけられた」、「自衛官を続けながら夜間大学に通っていたが、学生たちに『人殺しは帰れ!』と門を塞がれた」、「子供が小学校の先生から『○○君のお父さんは人を殺す仕事をしています』とクラスメイトの前で言われ、泣きながら帰ってきた」、「自分が自衛官であることをできるだけ隠していた」といったことを本当によく聞きます。
みなさん、大変なご苦労をされてきたんだなぁと胸が詰まります。
でも、自衛官たちは日々の任務に向き合い、「国民から信頼を得よう」と努力を続けてきました。
そして、少しずつ信頼を得られるようになり、「自衛隊に対して良い印象を持っている」と答えた人が92.2%という高い比率になりました。
別に、「嫌われたくない」というわけではないんです。
もちろん、好かれると嫌われるでは好かれるほうがいいのは当然ですが、自衛隊は「嫌われたくない」という理由で「国民から信頼を得たい」わけではないんです。
自衛隊は、国民に信頼されないと任務ができません。
自衛隊がなにかの活動をしようとしても、「あんたたちは信用ならんから来るな!出て行け!」では守れるものも守れません。
危険なことが起こった時、国民を安全な場所に誘導しようとしても、「あんたたちは信用ならんから俺はここに留まる!」では守れるものも守れません。
国の平和を守り、安全を守り、国民の生命と財産を守るには、国民からの信頼が欠かせないんです。
もし、今後「自衛隊」という名前が変わってしまったら……。
国民は、今と同じように組織を見るでしょうか。
「防衛隊」や「国防軍」などになったことで、また一から信頼を得る努力をしなければならないようなことにはならないでしょうか。
これまで得てきた信頼を損なうことにはならないでしょうか。
……考えすぎなのかな。
自衛隊が「防衛隊」とか「国防軍」とかいう名前になっても、これまでのように実直にお仕事に向き合っていれば、国民は変わらず信頼を寄せるのかな。
……ってね。
ちょっと思ってるんです。
うーん、ほんと考えすぎなのかな。
どうなんだろう。
「防衛庁」が「防衛省」に変わったときは、特に変化はないように感じましたが。
まあ、これは「庁」から「省」ですけどね。
あと、名前を変えるとしたら結構お金かかりそうなのでそれもちょいと思うところではあります。
訓練や災害派遣で使う装具が揃ってなくて自衛官が自腹で買ってたりとか、トイレットペーパーが充分に足りてなくて自分で買ったトレペをトイレに持ち込んでたりとか……。
私物のトレペ片手にトイレ行く職場なんて自衛隊以外で見たことないです。とりあえず私は。
ってあたりを考えると、「名前変えるよりもこういうのにお金使って欲しいなぁ」と……これも超個人的な思いなんですが。
とはいえ、「名前」は組織にふさわしく、日本にふさわしいものであることがいちばんです。
変えるにしても、変えないにしても。
まあ、結局は中身だ中身。
組織の制度や運用、そして実態だ。
結局そこだよね。
……と、長々「自衛隊という名前を軍に変えるべきかどうか」シリーズやっときながら、こんな当然すぎるまとめで終わります。
※BLOGOSで本記事をお読みくださっている皆さまへ
いつもご覧くださいまして、ありがとうございます。
おかげさまでたくさんの方々からコメントを頂けるようになり、とても嬉しく楽しみに拝見しているのですが、多数のコメントすべてに目を通すことが難しくなってきました。
コメントの見落としを防ぐため、今回からコメント欄は私個人のブログ
岡田真理のほじくりコラム
http://okadamari.blog112.fc2.com/
に一本化することに致しました。
今後コメントを頂ける場合は、上記ブログのコメント欄に送信頂けますでしょうか。
大変お手数をお掛けして申し訳ありませんが、ご了承頂けますよう宜しくお願い申し上げます。
というのも、「自衛隊の英語表記はJapan Self-Defence Forcesです」と定めた法律が存在しないんです。
じゃあどこで定められてるんだ?というと、「通達」です。
陸上自衛隊の中で、陸上幕僚監部から「身分証はこういう表記をするように」という通達がなされているんですが、その中(身分証)に「JAPAN GROUND SELF-DEFENSE FORCE」という文字があります。
航空自衛隊も同様。
そして、海上自衛隊では海上幕僚監部から「海上自衛隊の部隊、機関等における英語の呼称について」という通達があり、その中で「海上自衛隊:Maritime Self-Defense Force」と明記されています。
これは、陸海空各自衛隊のそれぞれ(陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部)が出してる「通達」です。
防衛省も外務省も内閣府も関知していません。
陸海空それぞれの組織の「決めごと」なんです。
なので、各幕僚監部が「変えま~す」となれば、そのまま変更されます。
……のはず。
まあ、なにか新しい法制を作って、自衛隊の英語表記を定めるって手もあるでしょうけど。
いずれにしても、そう簡単にはいかないんだろうなーとは思いますが。
そして最後に。
「『自衛隊』という名前は、変えても変えなくてもどっちでもいい」
※ただし超個人的な感情としては現状の「自衛隊」って名前に愛着ありすぎ
と書きましたが、「愛着」とは別の部分で
「『自衛隊』という名前は変えないほうがいいんじゃないか」
と思っていることがあります。
内閣府では、定期的に「防衛問題に関する世論調査」を行っています。
この平成26度調査によると、「自衛隊に対して良い印象を持っている」と答えた人は92.2%でした。
でも、この「良い印象を持っている」がこんなに高い比率になったのは、最近のことなんです。
手元にある資料の中では、最も低いのが昭和47年度で58.9%。
グラフでは、昭和47年度の58.9%から徐々に徐々に右肩上がりで、平成24年度調査で初の90%超となっています。
今年、2016年は自衛隊創設から62年を迎えます。
この62年間、自衛官たちは「国民から信頼を得よう」と努力を続けてきました。
ご年配の元自衛官の方に過去のお話を伺うと、「自衛隊の制服を着て歩いていると石やゴミを投げつけられた」、「自衛官を続けながら夜間大学に通っていたが、学生たちに『人殺しは帰れ!』と門を塞がれた」、「子供が小学校の先生から『○○君のお父さんは人を殺す仕事をしています』とクラスメイトの前で言われ、泣きながら帰ってきた」、「自分が自衛官であることをできるだけ隠していた」といったことを本当によく聞きます。
みなさん、大変なご苦労をされてきたんだなぁと胸が詰まります。
でも、自衛官たちは日々の任務に向き合い、「国民から信頼を得よう」と努力を続けてきました。
そして、少しずつ信頼を得られるようになり、「自衛隊に対して良い印象を持っている」と答えた人が92.2%という高い比率になりました。
別に、「嫌われたくない」というわけではないんです。
もちろん、好かれると嫌われるでは好かれるほうがいいのは当然ですが、自衛隊は「嫌われたくない」という理由で「国民から信頼を得たい」わけではないんです。
自衛隊は、国民に信頼されないと任務ができません。
自衛隊がなにかの活動をしようとしても、「あんたたちは信用ならんから来るな!出て行け!」では守れるものも守れません。
危険なことが起こった時、国民を安全な場所に誘導しようとしても、「あんたたちは信用ならんから俺はここに留まる!」では守れるものも守れません。
国の平和を守り、安全を守り、国民の生命と財産を守るには、国民からの信頼が欠かせないんです。
もし、今後「自衛隊」という名前が変わってしまったら……。
国民は、今と同じように組織を見るでしょうか。
「防衛隊」や「国防軍」などになったことで、また一から信頼を得る努力をしなければならないようなことにはならないでしょうか。
これまで得てきた信頼を損なうことにはならないでしょうか。
……考えすぎなのかな。
自衛隊が「防衛隊」とか「国防軍」とかいう名前になっても、これまでのように実直にお仕事に向き合っていれば、国民は変わらず信頼を寄せるのかな。
……ってね。
ちょっと思ってるんです。
うーん、ほんと考えすぎなのかな。
どうなんだろう。
「防衛庁」が「防衛省」に変わったときは、特に変化はないように感じましたが。
まあ、これは「庁」から「省」ですけどね。
あと、名前を変えるとしたら結構お金かかりそうなのでそれもちょいと思うところではあります。
訓練や災害派遣で使う装具が揃ってなくて自衛官が自腹で買ってたりとか、トイレットペーパーが充分に足りてなくて自分で買ったトレペをトイレに持ち込んでたりとか……。
私物のトレペ片手にトイレ行く職場なんて自衛隊以外で見たことないです。とりあえず私は。
ってあたりを考えると、「名前変えるよりもこういうのにお金使って欲しいなぁ」と……これも超個人的な思いなんですが。
とはいえ、「名前」は組織にふさわしく、日本にふさわしいものであることがいちばんです。
変えるにしても、変えないにしても。
まあ、結局は中身だ中身。
組織の制度や運用、そして実態だ。
結局そこだよね。
……と、長々「自衛隊という名前を軍に変えるべきかどうか」シリーズやっときながら、こんな当然すぎるまとめで終わります。
※BLOGOSで本記事をお読みくださっている皆さまへ
いつもご覧くださいまして、ありがとうございます。
おかげさまでたくさんの方々からコメントを頂けるようになり、とても嬉しく楽しみに拝見しているのですが、多数のコメントすべてに目を通すことが難しくなってきました。
コメントの見落としを防ぐため、今回からコメント欄は私個人のブログ
岡田真理のほじくりコラム
http://okadamari.blog112.fc2.com/
に一本化することに致しました。
今後コメントを頂ける場合は、上記ブログのコメント欄に送信頂けますでしょうか。
大変お手数をお掛けして申し訳ありませんが、ご了承頂けますよう宜しくお願い申し上げます。



