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止まらない地震と止まらない原発そしてNHK

熊本の連続地震が、2週目になっても止まらない。いまだに震度4の地震が起きている。震度4というと、一瞬不安を感じる程度には揺れるが、被害というほどの実害はなくて済む限界というところだろう。活断層が動いているということだが、まだ安心できる段階ではなさそうだ。そんな中でも隣接する鹿児島県にある川内の原発は運転を止めない。地震が落ち着くまでの間だけでも止めてくれれば、周辺の住民は安心だろうに、そんな配慮は無用と考えているらしい。

   九州電力の発表によると、これまでの震度7、震度6の地震のときでも、川内原発の震度は2で、原子炉が自動停止する最大加速度(ガル)の10分の1以下しか揺れなかったとしている。これは震源からほぼ等距離にある玄海原発(停止中)でも同様の数値だった。だから電力会社としたら止める理由にならない。そして九電は原発が稼働したおかげで久しぶりに決算が黒字になり、配当の復活や電力料金の値下げが可能になると発表したばかりなのだ。
 
  しかしこの判断は、例によって所定の基準であって、「想定外」はもちろん考慮に入れていない。別な活断層が連動して動き出すとか、人心の安定のためにも止めるべきだとか、さらには制御棒が曲がって止めたくても止められなくなったなどの書き込みがネット上に現れるようになった。さらに地震以前からも原発再稼働に反対の声は少なくなかったのだから、地震をきっかけにして反対の声が高まったのは、当然の流れでもあった。
 
  そこに出てきたのが、NHK籾井会長が部内の会議で「原発については、住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えることを続けてほしい」と発言したという新聞による情報リークである。さらに会長は被災地への食料配布についても、自衛隊が入って改善しつつあることなど、例をあげて細かく報道するよう具体的な指示を行ったと言われる。
 
  籾井会長が就任の当初から「政府が右と言うものを左とは言えない」と発言して物議をかもしたことは広く知られている。NHKは日本を代表する放送局だから、政府の立場から離れた立場は取るべきでない考える人で、政府はそういう人物だから就任させたとも言えるのだろう。しかしこれはNHKの存立の根拠である放送法の理念には反している。なぜなら、NHKは国営放送ではなく、独立した事業体として国民の拠出金(受信料)によって維持される特殊法人と位置づけられているからだ。もちろんそこには、戦時中に政府の拡声器として協力したことへの反省が含まれている。

  戦後のNHKは、憲法に定める言論の自由のための国民の機関として再出発したのだ。戦前の日本が「美しかった」と思っている首相の下で、戦前回帰をめざす不幸な流れの中、今やNHKも巻き込まれつつある、ということだ。

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