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【4月25日の国会】国家戦略特区。農地をいかに守るか。 - 寺田 洋介

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25日、国会の衆議院では地方創生・農林水産連合審査会が開かれ、「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案」が議題となった。医療・観光・農業のそれぞれの分野で新たな規制の特例が盛り込まれている法律案であるが、本記事では特に、企業による農地取得の特例についての議論を、民進党・宮崎岳志議員の質疑とそれに対する答弁を中心に見ていきたい。

農地は本当に守られるかが焦点

審査会では主に、自家用自動車による有償運送と企業による農地取得について質疑がなされた。

自家用自動車による有償運送は、主に過疎地域での活用が期待され、主として観光客を対象とした制度とされている。

また、企業による農地取得は、担い手不足や耕作放棄地等の解消を図ろうとするものであり、今回の改正によって農地所有適格法人以外の法人にも農地の取得を認められることになる。その際、企業が不適正な利用をした場合には当該自治体への移転がなされることが要件として挙げられている。

冒頭に質疑を行った自由民主党・古川康議員は、自家用自動車による有償運送について、その運送主体と責任主体を尋ねた。それに対し政府は、運営主体は市町村、NPO法人等の非営利団体を想定しており、責任もそれらの運送主体であると答弁した。

民進党・福島伸享議員は、企業が取得した農地を市町村が買い戻せるとしていても、首長の交代等で買い戻しが行われなくなる可能性を指摘。また、仮に市町村が買い戻し、所有権が市町村に移転したとしても、現状で耕作放棄地に対応できていないことから、市町村が農地を適正に管理していくのは難しいとの指摘もあった。

民進党・宮崎議員は、質疑の冒頭で、エコノミー症候群防止のための簡易ベッド提供など、被災地支援の対応に当たっている政府に感謝の言葉を述べた後、企業による農地取得に伴う様々なリスクについて質疑を行った。以下は、宮崎議員の質疑とその答弁の抜粋。

今回はあくまでも実験的な取り組み

民進党・宮崎議員:

さて、質問に入ります。国家戦略特区改正法の審議であります。まず一点、私は地方創生の所属でございますので、普段質問する機会のない、森山農林水産大臣に質問したいんですが、まず先ほどの樋口委員の質問とも重なるとこもありますが、今回の制度、日本全国で認めるわけではないと。そして、特区の中のさらにごく一部で認めるということですが、この認める条件というのはどのような地域の土地であるのかと。具体的な地名というわけじゃなくて、どういう条件の土地であるのかということについて、お教え願いたい。

加えて、結局今回の法案で問題になってるのは、特に焦点となっていますのは、株式会社の土地保有、自家用自動車による有償運送、そして薬剤師による遠隔服薬指導の3点かと思います。これらは全て、もともと地方創生の観点から出てきたものではない。これらは、規制改革会議や産業競争力会議で、全国展開をしてほしいという意見が最初にあがったと。そして、それに対して、それはできないという反対論もあった。そんな中で今回、特区という形で持ち込まれてきたということですから、そもそも地方創生というのが、主眼ではなかったというふうに思うんですね。そういった意味では、森山大臣にもう一点お伺いしたいのは、今回の解禁というものを、蟻の一穴、突破口として、これを全国的に進めていこうというおつもりなのか。いやいや、そういうことについては極めて慎重であらねばならないというお立場なのか。どちらなのか、この点についてお教え願えますでしょうか。

森山農林水産大臣:

宮崎議員にお答えいたします。今回の特区法案における、企業の農地使用を認める特例でございますが、一つは、農地等の効率的な利用を図る上で、農業の担い手が著しく不足していること。もう一つが、耕作の目的に供されていない農地等その他その効率的な利用を図る必要がある農地等の面積が著しく増加する恐れがあること、のいずれの要件にも該当するものとして、政令で指定する地方公共団体のみに適用することとしております。

このように、今回の法案では、国家戦略特区の中でも、一定の要件を満たす地方公共団体に限定をし、また期間も5年間に限定をして、企業の農地の所有を認める試験的な事業を行うこととしたところであります。法案が成立をいたしましても、5年間の期間が経過した後は、この特例はなくなるわけでございますので、その後の取り扱いについては現時点では何も決まっておりませんが、その後のことにつきましては、国会でご審議をいただくということになると思います。

民進党・宮崎議員:

例えば、担い手が著しく不足しているとか、あるいは耕作放棄地が多いというのは、どれぐらいの規模のものを指すのかということが、私にはよくわからないんですね。どこらへんまでがそういう条件に当てはまるのか、そういうことの何らかの基準があるんでしょうか。日本全国のどれぐらいが当てはまるとか。

奥原農林水産省経営局長:

この点につきましては、特に数値の基準を決めてるわけではございません。特区の中で、この特例でやりたいということで手が挙がってきた時に、その地域の中の担い手が不足してるかどうかということ、それから耕作放棄地がこのままでは増えてしまうかどうか、そのことをきちんと判断をさせていただいて、政府全体で議論した上で、政令でその地域を指定すると、こういう考え方でございます。

民進党・宮崎議員:

もう1回大臣にお尋ねしたいんですが、今後のことについては国会が決める、それは当たり前のことだと思うんです。ただ、過日、農地所有適格法人の制度を発足して、まだそれほど間が経っておりません。つまり、解禁したばっかりなんですよね。そうすると普通は、この何年間か様子を見て、それでもこれでは足りないんだということであれば次のステップにいくっていうならわかるんですが、まだまだ全然始まったばっかりで、なんでこういうふうにやってるんだろうなという、私は疑問を持ってるんですね。そんなことするんだったら最初から、今回の農地所有適格法人の要件を緩めればよかったじゃないかと。そういう意味で、私はこれを拡大するのは総じて賛成はできないんですけれども、とういうのは、農地所有適格法人の今の仕組みであっても、本気で農業をやる人であれば、ある意味十分な基準が整っているんじゃないかと。逆に言うとこれを使いたくないという人は、農業じゃなくて土地の転売とか開発とか、別の趣旨があるんじゃないかと疑ってしまうところもあるんです。それについて大臣、もう一言踏み込んで、今後この制度を使って、これが社会実験として成功すればドンと広げていこうということなのか、そうではないのか、その点についてお答え願えますか。

森山農林水産大臣:

お答えいたします。今回は試験的に実施するものでございますので、今後の検討の参考になるのではないかという考え方で、実施をしようとしているものでございます。

民進党・宮崎議員:

私は大臣にはもうちょっと踏み込んだ答えを期待したんですが、なかなか難しいということも理解をいたしました。普通であれば、特区で実験をして、成功すれば本格導入するというのが通常のレールだと思うんですよね。そういうレールに乗っているということでよろしいんですか。

森山農林水産大臣:

農地の問題というのは、我が国の農林業の大変基本的な課題でございますので、今までも企業の農地所有につきましては、色んな対応をして参りましたし、また、リースの問題につきましても、色んな対応がなされてきております。今回はあくまでも、実験的にやらせていただき、それを一つの参考にしてみたいというのが本音でございまして、次を見通してやっているという段階ではないと考えております。

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