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Don’t fight BOJ 日銀の非伝統的政策進化は必至 ~理論的帰結は大幅な株高~

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(1) 市場の雰囲気一変、円安・株高を引き起した日銀新政策報道

需給急変、ショートポジションの巻き戻し

先週末、円高ドル安の悪循環にはまり一人低迷していた日本の市場環境が一変、意表を突く株高と円安が起こった。日経平均株価は週半ばの安値16254円から金曜引け値は17572円、シカゴの先物では17740円、9.2%高と急伸、年初来の下落幅は2月12日の22%安から6%安まで大きくリバウンド、ドル円レートも4月11日のボトム107.6円以降の107~109円台のもみ合い水準から一気に111.8円台へと急伸した。テクニカルに機が熟していた、積み上げられていた円高・株安のポジションが一気に巻き戻されたと考えられる。きっかけはブルムバークによる日銀の新規金融緩和スキームの憶測記事「日銀の金融機関貸付金利にマイナス金利を適用する」である。その報道に根拠があるかどうかは不明だが、日銀の一挙手一投足が市場の方向を決定するパワーがあることを見せつけた市場展開であった。

円高株安の背景にある日銀に対する侮り

1月以降4月前半までの半ば安心しきった円高株安投機の根源は、中央銀行、特に日銀に対する侮り、黒田日銀によるマイナス金利批判大合唱、日銀は不能化したとの観測が、声高に語られコンセンサスと化していたことにあった。実際過去極めてパワフルであった政策発動の株価押し上げの効果は、1月29日の満を持してのマイナス金利導入では全く効かなかった。それどころかそれ以降一段と株安円高が進行し、日銀の伝家の宝刀も無効、日銀、中央銀行は政策的に無能化しているとの観測が、メディアを埋め尽くした。

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何故日銀批判は間違いなのか

そうした日銀批判には二つの根本的誤りがある。第一はマイナス金利失敗との評価。当社は今後進行する株高で有効性は証明されると考える。黒田総裁が繰り返し説明しているように、円高日本株安は、海外要因などによってもたらされたもの、マイナス金利が無かったら株安円高はさらに進行していたはず、との見解は否定しがたい。第二の誤りは日銀の目的とその達成に対する覚悟への無理解、軽視である。日銀は無限の弾薬を持ち、目的達成のため次々に新機軸政策を打ち出すだろう。この日銀の新機軸政策は退化だとか絶望的になっている表れではなく、新環境に対応する政策の進化、と捉えるべきである。

勝ちたいなら日銀に刃向かうな

Don’t fight the Fed. 投資に勝ちたかったら中央銀行に刃向かうな、は過去も今も通用する金言である。それは今の日銀にも当てはまる。Don’t fight BOJ 日銀の非伝統的政策進化は必至である。日銀は想像もつかない新機軸を打ち出し、市場を驚かせ、信用創造を喚起し、2%インフレ達成に全力を注ぐだろう。その過程で、株価は一段と押し上げられ、日経平均はコンセンサスを大きく上回る上昇を遂げるだろう。当社が昨年末に主張した年末24000円と言う可能性もあると考える。もちろん株価形成には世界的環境も重要、①中国危機の封印と②米国の経済の順調な拡大・株高持続、がその前提条件であるがその前提が満たされる可能性は大きい。

2016年壮大な株価上昇も、中国危機封印が前提だが

以下詳述するように、中国と言う潜在的危機要因はあるものの日本株式が長期的には壮大な上昇過程にあることは、二つの極端な異常性の是正、①株式バリュエーションの異常性、②国民金融資産配分の異常性、の存在が認められ、それの是正が政策の基幹に据えられつつあることを考えれば明らかであろう。つまり異常割安の日本株式の是正過程が始まったことは明らかで、早晩このことに気付いた国際投資家は日本株を再度気が狂ったように買い始めるだろう。

(2) 日銀批判の根底的誤りは株高により、急激に是正されるだろう

マイナス金利でイールドカーブはスティーブ化した

世界株価回復、リスクテイク回復の中での日本株が一人負けしてきたが、その大きな根拠に日銀無能論がある。しかし金融村による日銀批判は我田引水的であり、代替策がない。ドラギECB総裁がドイツのマイナス金利批判に対して「代替策のない全否定は受け入れられない」と述べたがそれは日銀批判にも当てはまる。中央銀行の狙いは信用創造を強めること、信用創造できない、不能化した銀行ビジネスを如何に蘇生させるか、銀行が不能なら非銀行部門での信用創造をどう果たすか、がマイナス金利の狙いである。

期待できる株式・リスク資産への資金押し出し効果

確かに批判論者が言うようにマイナス金利は銀行の収益環境を悪化させた。当座預金に対するマイナス金利に加えて、イールドカーブがフラット化し、かつ10年国債までがマイナス金利になったことで銀行利ザヤが圧縮した。銀行体力の疲弊は、貸し出し抑制に結び付いてしまうという批判は正しい。しかしそうした犠牲があっても、マイナス金利が必要だという事情があった。それなしには信用創造や資金の適切な配分が不可能であるという経済的背景である。マイナス金利によってイールドカーブがフラット化し、収益チャンスがますます奪われているという議論は金融村の議論である。償還期限がある30年位まではイールドカーブはフラット化して、この分野では銀行のビジネス機会は困難化している。しかし図表4により償還期限が無限大の証券(株式)まで入れたイールドカーブを考えると、4月の時点ではマイナス金利を導入した時よりもイールドカーブはスティープになっている。この分野のビジネスチャンスは拡大しているのである。債券から株式への資金の誘導がマイナス金利の狙いであるとすれば、マイナス金利に対する金融村からの批判は一面的であり、より大きな株高、リスク資産価格上昇というプラス効果があると考えられる。

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非伝統的金融政策は進化、弥縫策ではない

リーマンショック以降の金融政策は新機軸の連続、全ては大多数の批判や反対に抗して打ち出され、十分な成果を上げている。4/25日付日経ビジネス誌上でリーマンショック危機を予見したノリエル・ルビーニ氏は「QE、フォワードガイダンス、ゼロ金利と言った少し前まで非常識、と思われていた非伝統的金融政策は、深刻な景気後退やデフレ回避と言う目的に対して有効に機能し今や当たり前の政策となった。低成長とデフレが恒常化している先進国ではこれからは更に進化した非伝統的金融政策の導入を余儀なくされるだろう。銀行保有の現金への課税、ヘリコプターマネー(現金を直接家計に供給する金融政策)、中央銀行の株式などリスク資産の直接購入などが考えられる。切迫した時代(desperate age)においては命懸けの政策(desperate effort)が必要なのだ。」と主張している。

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