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「シールズ的熱狂」の限界

■「アンポ」では票はとれない

昨日、北海道5区の補欠選があり、現政権系列の候補が勝ち、いわゆる野党連合系列の候補が負けた。

その敗因としては、終盤になって追い上げた「弔い選挙」の有効性や、小泉ジュニアの効力などいくつかあげられるだろう。

が、やはり、自民党候補を立てることができなかったことに加えて、野党共闘する共産党が候補を立てなかった京都3区補選と比べてみると、直球で対立候補を立て、その野党統一候補者がかなり魅力的な人物だったにもかかわらず最終的に敗北してしまったことは、他に大きな敗因があったとしばらくは論じられると思う。

それは、「国会議員候補に対する潜在的な欲求は、従来の野党的候補ではない」ということがまずは挙げられるだろう。

自衛隊基地を抱える保守的な北海道5区だけではなく、国民が求める「国会議員」は、戦後続いてきた「すべてに反対するだけの野党」的な候補では物足りなくなっているように僕には思える。

半年前、あれだけ大騒ぎになった「アンポ」は小休止してしまい、国民の最大の関心事は、年金や経済に再び移動している。「アンポ」では票はとれず、どの選挙でも最大関心事になる「経済」や、この時代だからこその「年金」へと関心事は移ったと僕は思う。

そのため、選挙で野党が唯一連携できるテーマである「アンポ」だけではパワーが足りない。また、安全保障の基本事項でさえ「自衛隊廃止」か「旧来の安保法維持」だけでもまったく異なる野党間では、なかなか連携が難しい。

そして、その点(アンポ)に焦点化してくる「シールズ」では、その声がパフォーマンスとして大きくなればなるほど、空回りしてしまう。

■萎縮した若者像

若者の数が多ければ、シールズは従来の若者らしく大暴れすればいい。大暴れして、「大人」世代と断絶し、若者は従来の若者らしく、孤独な長距離ランナーすればいいと僕は思う。

たぶん、シールズのみなさんも、アラン・シリトーやサリンジャーや「いちご白書」等の、若者が数として多かった時代、若者が若者であるというだけでパワーをもった時代を模範としているのだろう。

また、80年代的な「若者の声が停滞した時代」を反面教師としているのかもしれない。

僕は80年代に20代だったからよくわかるのだが、いわゆる「反逆するジョン・レノン的な、ロック的な若者像」がすっかり小さくなってしまった時代が80年代だった。

だからこそ、あの萎縮した若者像を大いに反省し、「言うことはきっちり言う」と態度で示す集団が、現在のシールズだと僕は思うのだ。

これは、まったくもって正しい。

■熱狂よりも「対話」

が、残念ながら、今は若者が少数派になってしまった。若者一人ひとりがシールズ的にどれだけ大騒ぎしようが、その数が少ない。

たとえ18才以上に選挙権が与えられたとしても、一学年120万人×2学年の240万人であり、団塊世代一学年よりも少ないという有様だ。

若者は、「弱者」(宮本みちこ氏)というよりは「少数派」なのだ。シールズの人々がいくら大きな声で主張しても、学年人口で団塊世代の半分に過ぎない。

だからこそ、「いちご白書」なレベル(反抗)ワルツは、若者間共感を呼ぶかもしれないものの、社会的には影響力が低い。

言い換えると、「シールズ的熱狂」は、若者間で内輪受けするかもしれず、基本リベラル思想が多いメディア内では大きく取り上げられるかもしれないが、それはマニアックな熱狂としてとどまる。

いちご白書は「白書」にはならず、単なる世代内アンケートにとどまる、これが今の「若者の声」のあり方だ。

シールズ的熱狂はおそらく通じない。熱狂よりも「対話」のほうが、少数派の思いは通じやすい。

※Yahoo!ニュースからの転載

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