- 2016年04月24日 14:00
「妻が乳がんになった!」職場の人に伝えるべきか?
下手な営業で逆に収入が減ってしまった
パートナーのがん闘病をサポートしていると、仕事に支障をきたすことがあります。また、精神的にこちらも苦しくなってくることはめずらしくありません。サポートの度合いが大きくなるほど、この傾向は強くなる、といってもいいでしょう。
ただ、会社に勤めている人の場合、仕事に支障をきたすことが増えれば、仕事で結果を出すことが難しくなるだけでなく、職場の人の対応も冷たくなるかもしれません。これらのことから考えると、職場の人には、「パートナーががんになったこと」「できる限り闘病のサポートをしたいこと」を伝えておいたほうがいいでしょう。
ある程度でも、職場の人からの理解が得られれば、パートナーの体調が悪かったり、そばにいてあげたほうがよかったりするとき、有給を取ったり、定時で帰宅したりしやすくなるかと思います。このように少しでも時間の調整がつけやすくなれば、精神的にかなりラクになるかと思います。
私の場合、会社に属していないため、妻ががんになったことは、取引先の担当者に伝えましたが、闘病のサポートのことについては、ほとんど話しませんでした。自宅で仕事をしているため、不安を覚えながらも、なんとか時間をつくってサポートすることができるだろう、と思ったのです。
ただ、金銭的に苦しくなってきたとき、とにかく入金が早く、打ち合わせや取材が1、2回ですむ短期仕事を回してくれるよう、必死になって営業をしました。これならお金だけでなく、サポートする時間もなんとか確保できる、と思ったのです。ところが、そのことが裏目に出たこともありました。
それまで私は、主にゴーストライターなどの長期仕事をしていたため、大きな仕事はしたくなくなったのか、と思われることもあったのです。さらに、仕事を受けたくないから、短期仕事をしたがっている、と思われていたこともありました。これでは「やる気がない」と思われても仕方がありません。実際、下手な営業をしたために、余計に収入が減ってしまったのです。
妻の闘病のサポートをしっかりしたいことを伝えることで、状況は改善しましたが、そのままじっと仕事がくるのを待っていたらと思うと、ゾッとします。このようにきちんと伝えていないと、誤解されることもあるのです。また、相手からすれば、こちらの状況がわからないため、理解できないことも多々出てきます。ですから、パートナーをサポートしたいことも、きちんと伝えておいたほうがいいのです。
これは悲しいことではあるのですが、仕事でも、プライベートでも、「運気が落ちそうな人には近づかない」という人はいます。そんな人でも同情はしてくれるのですが、結果的には、徐々に距離をとられてしまいます。「がん=死の病」と思い込んでいるためか、「触らぬ神に祟りなし」というふうに思われているのでしょう。もちろん、こちらの被害妄想もいくらかあるでしょうが、そう感じてしまうことがあったのです。
これは極端なことですが、「がんは伝染する、と思っている人たちもいる」ということを知ったとき、「怒り心頭に発する」を通り越して、深い悲しみに襲われました。とんでもないことです。妻をサポートしている私でも、かなり傷つきました。このような人は正しい知識を得て、自分の考えを悔い改めてほしい、と切望せずにはいられませんでした。
仕事力を磨けば仕事もサポートもうまくいく
仕事関係者がこちらの事情を理解してくれたとしても、もちろん仕事で手を抜いていいわけではありません。むしろパートナーの闘病をサポートする以前よりも、質の高い仕事を仕上げるようにしなければ、すぐに信用されなくなるかと思います。最低でも、効率的な仕事を心がけなければなりません。そうでないと、仕事もサポートもダメになってしまいます。
仕事とパートナーの闘病サポートの両立は、難しいときがあります。私の場合、調子がいいときは、仕事の合間に家事などのサポートをすると、いい気分転換になって仕事の効率化にもつながるのですが、調子が悪いときは、歯車が狂ったようになってしまい、徒に時間ばかりが過ぎていきます。
パートナーのサポートというと、時間の調整の問題と思う人が多いのですが、リズムよく行うことのほうが大事かと思います。たとえば、夕食の買い出しをするのに30分かかる場合でも、買い物に行ったがために仕事のリズムが崩れることがあります。こうなると、何時間も時間を無駄にしてしまうことがあるのです。
私の場合、特に闘病のことで妻と重要な話をするときには、話のもっていき方やしゃべり方、タイミングを計ることに細心の注意を払っています。下手をすれば、お互いにイヤな気持ちになることがあり、1日じゅう仕事のリズムがつくれないこともあるからです。このようなことを繰り返していたら、仕事もサポートもうまくいくはずがありません。
対策としては、仕事力を磨くしかないと思っています。効率よく仕事の完成度を高めることができれば、時間と気持ちにも余裕ができるようになるからです。ひいては取引先の担当者との関係もよくなり、収入アップにもつながる、と考えています。
簡単なことではありませんが、仕事力を磨くことができなければ、パートナーのサポートを続けるのは難しい、といっても過言ではないかもしれません。ですから、どうすれば仕事にやりがいや楽しみを覚えることができるか、どうすれば取引先の担当者がよろこんでくれるか、というところから考えるようにしています。
リンク先を見る 『娘はまだ6歳、妻が乳がんになった 』(プレジデント社)[著] 桃山 透
プレジデントオンラインの好評連載が単行本に! 家族を襲った一大事にダメ夫は何を考え、どう行動したか?
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