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円高、物価上昇の足かせに=黒田日銀総裁インタビュー

 【ワシントン】日本銀行の黒田東彦総裁はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の独占インタビューに応じ、ここ数カ月の円高によって2%の物価安定目標の実現に向けた取り組みが損なわれる恐れがあり、追加緩和に至る可能性もあるとの見方を示した。

 インタビューは国際通貨基金(IMF)主催の半期に一度の会合に合わせ、週末に行われた。黒田総裁は今回の発言で、これまで公に示していた円高への懸念を一段と強めた格好だ。円はドルに対し年初から11%上昇している。円高は日本の輸出企業に打撃となり、輸入価格に下押し圧力をかけインフレを抑制する。

 黒田総裁は、過度の円高が続けば、実際のインフレ率のみならず、企業信頼感や事業活動、さらにはインフレ期待への影響という形で物価の動向にまでも影響を及ぼしかねないと語った。

 日銀はこれまで、輸入価格の上昇や「需給ギャップ」の縮小といった政策効果で円安に大きく頼ってきた。日銀当局者は、円安は輸出を支え株価を押し上げることで需給ギャップの縮小に寄与したと指摘している。だが、ここに来て円が上昇しているためこうした効果が脅かされており、黒田総裁は今後の政策決定会合で追加策を講じる公算が大きい。

 黒田総裁は「われわれの金融政策は為替をターゲットしたものではないが、為替市場の動向は引き続き十分注視していく。常に強調しているように、可能な限り早期に2%の物価安定の目標を達成するために必要であれば、ちゅうちょなく追加的な緩和措置を検討する」と述べた。

 日銀は4月27・28日に政策決定会合を開く。黒田総裁は実質的にこの会合での追加緩和に道を開いた格好だが、政策行動を起こすか明確なシグナルを発することは控えた。黒田総裁はインフレ率を2%に押し上げるため必要であればいかなる措置も講じる意向だと強調しているが、踏み込むことはないとする領域が一つある。「ヘリコプターマネー」だ。これは中銀が、例えば国債買い入れを通じて貨幣を増刷し、政府支出拡大や減税を支える資金をあからさまに調達することを意味する。

 黒田総裁はヘリコプターマネーのような政策の活用は意図していないと言明し、財政政策を担う国会と、独立して金融政策を設定する中銀の責任分担をあいまいにすることになるためだと説明した。

By Jon Hilsenrath and Takashi Nakamichi

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