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突き崩される保守強硬派支配 イラン変化のカギは?- 岡崎研究所

英フィナンシャル・タイムズ紙のガードナー国際問題編集員が、3月2日付同紙掲載の記事で、2月末のイランの選挙について、イランはこれまでと異なる政治的環境にあり、ロウハニには過去の改革派と異なり成功するチャンスがある、と分析しています。論旨は次の通り。

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2009年、アフマディネジャドの再選に対し抗議するイラン市民(iStock)

 1997年5月、ハタミが投票率90%弱、得票率70%で大統領に選出された。民衆の称賛が高まる中、ハタミは、法の支配の下にある、より自由な社会、説明責任を果たす政府を約束し、1年のうちに米国との間で「文明の対話」を開始しようとしたが、全ては失敗に終わった。強硬派は、司法、イスラム革命防衛隊(IRGC)、議会を監督する監督者評議会、最高指導者ハメネイの周りに再結集、ハタミは政治的に弱体化し、アフマディネジャド選出に繋がった。

 2009年のアフマディネジャドの不正な再選に抗議する、改革派による「緑の運動」は容赦なく鎮圧された。今回の選挙でロウハニがうまくやったことは再び希望をもたらしたが、何が今までとは違うのか。

一掃された反動的指導者たち

 イラン内部の力のバランスは、任命制で最高指導者に責任を負うイスラム機関が、選挙で選ばれる共和国機関に対し圧倒的に優位のままである。しかし、今やロウハニの与党が強硬派への強力な壁となっている議会は、イランが強く欲する投資を可能にするのに必要な経済改革を実現させ得る位置にある。

 変化の文脈も異なる。イランは、世界との再関与、経済的強さの再建に傾いている。若年層は、イランを孤立させてきた化石のようなイデオロギーを持った高齢の復古派による独裁には、うんざりしている。

 「改革派対強硬派」以外に、今の政策を支持する幅広い勢力と、核合意に反対し開放を国家反逆罪に等しいとみなす勢力の対抗がある。前者には、最高指導者ハメネイ、保守派だがロウハニの同盟者のAli Larijani国会議長の支持がある。後者の多くは有権者により排除された。

 さらに、イランを徐々に開放しようとの政治的勢力が、イランで重要な機関の内部に入り込もうとしている。同時に行われた専門家会議(8年の任期中にハメネイの後継者を選ぶことになる)の選挙で、ロウハニは、専門家会議のテヘラン選挙区の16のうち15の議席を得て、反動的な指導者たちを一掃した。

表面的にはロウハニはハタミに似ているが、ロウハニは国内の支持をより広範に集めることができ、よりタフである。両者の重要な違いはここにある。20年前、イランの体制は、ハタミがゴルバチョフのようになり、イラン革命に終わりをもたらすことを恐れた。ゴルバチョフは国内よりも海外で称賛されたが、ハタミはちょうど逆だった。

 それも変化した。核合意により、国際的なイラン傾斜が起こっている。米欧は、地政学的プラグマティズムと商業的機会ゆえに、イランの国際社会への復帰を望んでいる。ロウハニの前途には厳しい戦いが待っていようが、ロウハニにはハタミとは異なりチャンスがある。

出典:David Gardner,‘Rouhani brings hope that this time it might be different in Iran’(Financial Times, March 2, 2016)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/814cdfd2-dfdb-11e5-b67f-a61732c1d025.html#axzz41xWyNDxm

*   *   *

地殻変動起きたイラン政治

 2月26日に行われたイランの議会と専門家会議の選挙は、イランで保守強硬派の支配体制に地殻変動が起きつつあることを示しました。

 投票数の3分の1を得た候補者がいなかった選挙区では、4月に再選挙が行われ、そのような選挙区が50以上ありますが、2月26日の選挙で、改革派が躍進し、保守派が後退したことは明瞭です。首都テヘランの40の選挙区では、改革派が完勝、最高指導者を選ぶ任務を持つ専門家会議でも、テヘランの16の選挙区のうち15の議席を得たといいます。

 しかも、これは保守派の選挙妨害を乗り越えてのことです。イランではいわゆる監督者評議会の審査にパスしないと立候補の資格が得られません。選挙前、監督者評議会は改革派の大量の候補者を失格としています。

カギ握るのはハメネイか

 改革派は、あらゆる手段でユニークな選挙戦を展開しました。FT紙の外報部長兼副編集長のRoula Khalafによれば、改革派の選挙運動員はソーシャルメディアを駆使して投票を呼び掛け、改革の担い手としていまだに人気の高いハタミ元大統領のメッセージをビデオで流したということです。このように、若者などを投票へと駆り出させたのは、ハタミの変わらぬ人気によるものであったということです。

 今回の選挙で改革派が躍進したからといって、イランの政治が保守強硬路線から改革開国路線に急展開するとは考えられません。法学者グループ、革命防衛隊などを根城にする強硬派の影響力は簡単には弱まらないでしょう。しかし強硬派も今回の選挙で示されたイラン国民の総意をいつまでも無視できません。

 カギを握るのはやはりハメネイでしょう。ハメネイは一般的には強硬派と目されており、今でも時々米国非難の発言をしています。しかし核交渉のイニシアティブをとったのはハメネイです。ハメネイは制裁を解除してイラン経済を立て直したかったに違いありません。ハメネイは外国の投資を受け入れ、イランと世界との通商の復活を望むでしょう。この点に関しては、ハメネイは通常の強硬派と異なります。イランの統治体制は、徐々にではありますが確実に変わっていくと思われます。

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