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財務省「女性公聴会」~心に残った質問~

1. 7年ぶりの公聴会 ~財政制度等審議会「女性公聴会」~
 2016年4月22日、財務省主催 財政制度等審議会「女性公聴会」がイイノホールで開催された。同審議会の公聴会としては7年ぶりの開催なのだそうだ。そして、この公聴会は、その名の通り、女性のみ参加が許される。金曜日夕方6時からの開催である。しかも応募に際して、日本の財政や社会保障政策に関して400字の作文まで求めるのだ。果たして、参加者が集まるのだろうかと懸念されたが、応募数は600人近くになりお断りをしなければならない状況だった。会場は400名を超える女性たち(10代~70代)で埋め尽くされた。

 出演者は麻生太郎財務大臣、大岡敏孝政財務大院政務官、そして、同審議会の委員である、竹中ナミ氏、遠藤典子氏、十河ひろ美氏、武田洋子氏、中空麻奈氏、そして私である。
 最初に、委員が、日本の財政状況、国債、社会保障、受益と負担等について説明した。高校生も参加していることを配慮しできるだけ平易な言葉で説明するように努めたが、なかなか難しい。それでも、1000兆円もの債務残高を抱えながら、借金をして赤字を埋め、その一部を返済に充てているこの状況では、将来世代に明るい未来を示すことができないという、委員の主張は伝わっと思う。

2. 心を打つ質問 ~事前準備で対応に迷った質問~
 その後、会場との質疑応答のセッションに移った。予め事務局によって選ばれた3名の方が質問文を読み上げた。どの質問も非常にしっかりとしたもので流石だ。壇上の委員はこの質問に対して応答した。
 舞台裏を明かすようで恐縮だが、事務局からは回答のポイントが示されたメモが提示された。無論、委員はそれを参考にしても、しなくても構わない。
 その中で、回答ポイントが記されていない質問があった。事務局もどう回答してよいのか思案していたのだろう。質問の論旨は次の通りだ。

「「保育園落ちた日本死ね」が話題になったが、個人が真正面から声を上げるための方法は何か?選挙でも「絶対この人!」という完璧な候補者が見つからない。何かを諦める選択を迫られる。「私はこうしたい」とか、「こうなったらいな」と考えている人が自分の理想を政策に反映できる方法は何か?自分が政治家になって行動すること以外の方法で、もっと効果的もしくは効率的な方法を知りたい。」

 この質問を読むなり、すぐ様「私が答えたいです」と手をあげた。質問者の社会に対する前向きな姿勢、生き方のようなものがら伝わってきたからだ。
 
3. 個人の意見を政策に反映するNPO
 私は、2つの視点から回答した。


 第1に、「絶対この人という完璧な候補者が見つからない」という点である。
 ドイツの歴史を例に挙げながら、第1次世界大戦敗戦後、ワイマル共和国という民主主義国家が誕生したが、逼迫した財政状況、不況、そして多額の賠償金で、国家運営は困難を極め、短期間に選挙と政権交代を繰り返していた。やがて、国民は「選びたい政治家、政党がない」と不満を持つようになり、1928年には最低投票率を記録した。その結果、少数政党に分裂し、議会で合意形成ができなくなり、議会が機能しなくなっていった。そして1993年にナチス政権になっていった。


この史実が教えてくれるのは、有権者が自らの権利と義務を放棄すれば、結局は政治も悪化するということだ。

 第2に、政治家になって行動すること以外の方法で、自らの意見を政策に反映する方法についてだ。
 3月に財務省の調査で渡米した際の例を挙げ、米国には財政や税制、個別政策について調査や議論を発信するNPOが相当数存在し、人々が参加している。それが世論を形成したり、議会や行政に圧力をかけていることを伝えた。

 では日本ではどうなのか。残念ながら日本では未だそうしたNPOが多くない。僭越ながら、自らが理事として参加している言論NPOを例示させてもらった。言論NPOは15年前から、政権与党の実績を評価し、選挙時には各政党のマニフェストを評価し、さらに全候補者にアンケートを行い、無回答も含めてその結果を広く発信している。その目的は有権者の判断材料を提供することであり、政策議論を広げることだ。こうした活動が都心部だけでなく地方でも存在し、政治に対してプレッシャーをかけながら、政策議論を切磋琢磨できるような社会が作れれば、政策が政府の専有物ではないという気持ちが高まるのではないか。

 正直なところを言えば、今回、女性公聴会に出席することにやや気が重いところがあった。誰の立場で意見を述べなければならないのかと迷うところがあったからだ。しかし、先の質問に出会えたことで、よかったと思うことができた。

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