- 2016年04月21日 11:00
沈む三井物産、三菱商事、独り勝ち伊藤忠「社長続投」の自信 - 総合商社「冬の時代」が再来したのか
総合商社「冬の時代」が到来したのか
世界市場を襲った「資源デフレ」の直撃を受け、総合商社の2トップ、三菱商事、三井物産が沈んだ。しかも、そのダメージは半端でない。海外資源開発投資で巨額の減損損失を計上し、2016年3月期の最終損益はともに両社の歴史始まって以来、初の赤字に陥る轟沈だ。両社に限らず、資源バブルに沸いた総合商社は、再び「冬の時代」に見舞われかねない。
画像を見る 非資源に注力してきた伊藤忠が総合商社で初の最終利益トップに躍り出る。この非常事態をあざけるように、非資源ビジネスへの注力が功を奏し、総合商社で初の最終利益額トップに躍り出る伊藤忠商事の高笑いが響いてきそうだ。700億円、1500億円。三井物産、三菱商事がそれぞれ3月23日、24日と相次ぎ発表した16年3月期の連結最終損益(国際会計基準)の赤字予想額だ。前3月期にそれぞれ3064億円、4005億円の黒字を計上したことを踏まえれば、資源バブルを謳歌してきたわが世の春から奈落の底に突き落とされた格好だ。
両社の赤字転落に共通するのは、資源価格の下落を背景にチリの銅開発やオーストラリアでの液化天然ガス(LNG)開発などで巨額の減損損失を計上することにある。三井物産が2600億円、三菱商事に至っては4300億円の減損損失を計上し、従来の黒字予想を吹き飛ばし、ともに不名誉な初の赤字に追い込まれる。
資源関係については、両社以外にも16年3月期に住友商事が1700億円、丸紅も1200億円の減損損失をそれぞれ計上するなど、総合商社は資源デフレで大きな痛手を負っている。これは、バブル経済崩壊に伴い投資先の資産デフレが加速し、巨額の不良債権を抱え、下位企業が再編に追い込まれた「冬の時代」の再来を、まさに思い起こさせる。
総合商社は事業構造の変革を迫られる
総合商社は資源頼みだったこれまでのビジネスモデルや事業構造の変革を余儀なくされる。資源事業の先行きに不確実性が色濃いだけになおさらだ。とりわけ、この4月1日付で小林健社長が会長に就き、垣内威彦常務執行役員が社長に昇格した三菱商事、昨年4月に「32人抜き」で安永竜夫社長が就任した三井物産の両社は、「世代交代」のタイミングに有史以来の赤字に見舞われるだけに、経営革新に向けた真価が問われる。
三菱商事の場合、今回の人事で代表権が外れた小林会長が「今の資源価格が当面続くのを前提に、すべて処理した」と語ったように、巨額減損損失の計上で資源デフレの膿を出し切れるかが鍵を握る。同時に、新社長の垣内氏は生活産業グループを統括してきた、食糧や食品畑の出身であり、非資源事業により軸足を据えた事業構造転換への手腕が試される。
その一方で、総合商社が軒並み資源デフレに沈むなかで、資源事業への過度なシフトを避け、衣料、食品など非資源部門に注力してきた伊藤忠の鼻息は荒い。それもそのはずで、同社は現時点で16年3月期の最終利益を従来予想の3300億円を据え置き、このまま推移すれば総合商社で初の首位に躍り出る見通しだからだ。
伊藤忠にしても資源デフレに無傷だったとはいえない。しかし、非資源事業が好調なほか、資本提携した中国最大の国有複合企業CITICグループの利益が寄与し、北海の原油開発での減損損失などを補い、利益を押し上げる。同社を率いる岡藤正広社長は、同社にとっては任期6年の“慣例”を破り、社長続投を宣言したほどであり、冬の時代を迎える同業他社を尻目に、総合商社で利益トップという躍進に導いた自信をにじませる。その先には、赤字に陥る三菱商事、三井物産を前に、独り勝ちに高笑いする岡藤氏の姿が浮かび上がる。
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