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「丸亀製麺」非効率経営で目指す、外食チェーン世界ベスト10!【後編】

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海外事業推進プログラム 部長補佐 福富弘員氏

「現地の店舗でキーマンになる方々には、数週間来日していただきます。座学では、オペレーションや衛生管理、日本のサービスマインドといった事柄に加え、うどんとはなんぞやといううんちく、空海が日本に伝えたんだというような歴史も話しますし、モチモチ感を科学的に説明したり、日本各地のうどんを紹介したりします」

さらには丸亀製麺が最重要視する製麺所のあり方そのものを学んでもらうため、1日で5、6軒の製麺所を回る弾丸ツアーも敢行する。現地向けに様々なアレンジを加えたとしても、ここで叩き込まれたイメージがあれば、ブランドの軸がぶれることはないと考えてのことだ。

昨年、トリドールは「10年後、世界外食企業ランキングトップ10入りを目指す」という目標を発表した。現在、日本でランク入りしているのはゼンショーホールディングスのみ。トリドールにとっては相当野心的な目標であり、言うまでもなく丸亀製麺ブランドだけで達成できるものではない。

昨年6月には、ヨーロッパのファストフードチェーン「ウォク・トゥ・ウォーク」を連結子会社化している。

「提供するのはスープヌードルではなく、フライヌードルですが、メニューを自分でカスタマイズして注文し、店員が目の前で作ってくれる。ある意味、丸亀製麺と同じです」(粟田氏)

今年2月には、マレーシアの人気ヌードルチェーンをグループ化した。

「もともとタイの水上マーケットで働く人たちに向けて、ボートで売り歩いていたというのがルーツです。お客様の目の前で調理するという点で、私たちと同じ価値観を持っている。そんな相互理解が得られるパートナーを探していきたい」

そう語ったのは執行役員経営企画室長の小林寛之氏。この発言からもトリドール哲学の一貫性が窺える。新たな業態の自社開発や現地企業のグループ化により、着実に拡大していくトリドール。「世界6000店舗、売り上げ5000億円」という目標は達成されるか。外食産業に詳しい、いちよし経済研究所アナリストの鮫島誠一郎氏はこう指摘する。

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執行役員 経営企画室長 小林寛之氏

「うどんだけで1000店舗を達成したのち、さらに国内で展開するのはかなり厳しい。東南アジアに飛び込んだのはいい判断ですね。昔から市場や屋台が発展していて、そこで食事を取ることは一般的だし、今後は中流階級も増えてくる。しかし、それ以上に重要なのは、米国でしょう」

日本のファストフードは最大手で1000店規模だが、米国は1万店規模と、まさに桁が違う。世界の外食チェーントップ10を見ても、日本人になじみの薄い名前が交じっているが、それらは米国で大きな売り上げを誇る。

「すでに吉野家が米国で100店舗を達成していますが、米国出店のためには、各種免許が必要であったり、住民への説明が求められたり、日本よりもハードルが高い。実際、日本企業も米国での出店は予定より1年ほど遅れることが多いんです。そこで重要なのは『時間を金で買う』ということ。自分たちで一から店舗をつくるより、買ったほうがはるかに早くなります」(鮫島氏)

実演性が高く、非効率な部分にこそ心血を注ぐ。そんな丸亀製麺に通じる精神を持つパートナーと、米国でもめぐり合うことができるか。トリドールが世界企業に躍進できるかは、そのあたりに鍵がありそうだ。

ヌードルライターが査定
「丸亀製麺は『讃岐うどんの最大公約数』である」

ふわりと湯気が上がる木桶から麺を数本つまみ上げる。それから下のほうをつゆに浸し、ズッズッズーッと勢いよく啜ってちょうど3回。口の中にピシャッと収まった麺は、噛みしめるたびにしなやかなコシが感じられ、小麦の風味が鼻へ抜ける。啜っているうちにいつしかリズムが生まれ、それが味わいをいっそう引き立たせてくれた。この「釜揚げうどん」が全国どこででも1杯290円(並サイズ)で楽しめるのだから、心底、感心させられる。

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いわゆる美味しいうどんは全国津々浦々で違う。例えば京都や大阪のうどんにおいては古くから出汁を重要視する向きがあり、一方で、群馬県の水沢うどんになると麺が備えたコシの強弱で良し悪しが判断され、その逆で、三重県の伊勢うどんはふわんとやわらかな麺が命であるから、各県民のうどんにおける嗜好は、なかなか一様には語れない。

讃岐うどんに求められるのは何か。やはり、第一にコシであり、麺の美味しさだろう。イリコや鰹節、昆布、アゴなどでとった出汁もうどんに欠かせない要素ではあるが、それによって讃岐うどんの好みが語られることは珍しい。真っ先に思い浮かぶのは、コシの強弱であり、麺の厚みや幅といった形状であり、それらによって自分好みの一杯が決まるケースがほとんどだ。

「丸亀製麺」の麺は、全国の人が美味しいと感じる“讃岐うどんの最大公約数”のように思う。ぼく自身、何度も本場・香川に足を運び、有名店を中心に食べ歩いてきたが、「丸亀製麺」のうどんは実に“ちょうどいい”食感なのだ。

この絶妙な塩梅こそ、多種多様な好みを持つ人々を惹きつける最大の魅力ではないか。やわらかい麺に慣れた博多っ子のぼくが食べても気持ちよくコシの強さを楽しめるし、コシこそ第一である地域の人々も「丸亀製麺」の麺に満足感を覚えている。双方の欲求を同時に満たすのは、なかなか簡単なことではない。

そんな麺を、さらに美味しく感じさせるのがセルフ方式の店構え。店に入り、すぐに目に飛び込むグラグラと沸き立つ茹で釜、そしてその中で悠々と泳ぐ麺を見た後に食せば、味わいも格別だ。

安さというキーワードもある。釜揚げうどんの並は290円で、本場・讃岐のうどん店にも引けを取らない。さらに「丸亀製麺」の麺は北海道産の小麦粉と塩のみ。手軽に食べられる安心なうどんは、小さな子供連れのファミリーにも嬉しい存在だ。

山田祐一郎
日本で唯一のヌードルライター。 1978年、製麺所の長男として生まれる。著書に福岡発のうどんカルチャーブック『うどんのはなし福岡』。

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