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原油安どこまで 産油国は価格安定へ努力続けよ

サウジアラビアやロシアなど主要産油国が17日に開いた会合で、原油の増産を凍結する合意が見送られた。原油安の要因である供給過剰の解消に向け、生産量を今年1月の水準で据え置くことをめざしたが、増産姿勢を崩さないイランの欠席にサウジが反発し、結論は先送りされた。

ほとんどの産油国が原油安に歯止めをかけるべきとの認識を共有するのに合意が見送られたため、原油市場では“失望売り”が広がり、米国の原油先物相場は、1バレル=40ドル台を割り込んだ。東京市場もドバイ産原油の先物相場が一時、急落した。今後も市場の動きを注視する必要があるだろう。

長引く原油安で産油国の財政は悪化している。サウジの昨年の財政赤字は国内総生産(GDP)の15%に相当する。輸出の9割超を原油に依存しているアンゴラは、国際通貨基金(IMF)に金融支援要請を行った。こうした状況を踏まえ、多くの産油国は増産凍結で足並みをそろえる考えだった。

しかし、核開発問題をめぐる欧米の経済制裁が1月に解除されたイランは、失ったシェアを回復するまで増産する方針を示した。原油市場のシェア争いを巡る産油国間の調整の難しさが浮き彫りになった形だが、背景にはサウジとイランの宗派対立もある。

イスラム教スンニ派の盟主・サウジと、シーア派の大国・イランは中東の覇権を争っている。サウジが体制に批判的なシーア派指導者を処刑したことを契機に、両国が今年1月に国交を断絶するなど、対立は激化している。

合意を阻む要因は複雑に絡み合っているが、原油安は産油国の経済に悪影響を及ぼすだけでなく、世界経済全体のリスクとなっている。産油国は価格安定の具体策について、引き続き妥協点を模索してもらいたい。

石油消費国の日本にとっても人ごとではない。原油安は幅広い産業で有利に働くが、世界経済の低迷が国内景気に及ぼす影響は軽視できない。また、中東情勢が不安定化すれば、原油の調達に支障が出る可能性もある。日本は、これまで培った各国との友好関係を最大に生かして中東の安定に寄与するべきである。

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