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トイレットペーパーの配布は女性優先に

避難先での生活用品の配布について、女性の生理用品に対する男性の無理解を指摘している書き込みをネット上で見た。必需品という認識がなく、月に一回だから我慢できないのか、大きな声で言うものじゃない、緊急性は低いだろうなど、困った上に無神経な男性の言動に心を傷つけられたといった訴えが多かった。

 私も今までPMS(月経前症候群)という言葉は知らなかったのだが、労働組合の女子寮での性教育にかかわったこともあるから、現象としては知っていた。母性にかかわる女性の問題を「女の弱点」ととらえては、いけないのだ。母性の保護は、女性の生涯を通しての「権利」だという認識を、そのときに身につけた。

 それに関連して、避難所でのトイレットペーパーの配布が心配になってきた。たぶん樋口恵子さんの講演の中で聞いた話だが、物品不足のときのトイレットペーパーの配布が、男女同数だったらひどい不公平になるということだった。これも、女性の側からは言い出しにくい場合があるかもしれないが、考えれば当然ことだから、気がつかない男がいたら教えてあげなければならない。

 それはそうとして、戦中・戦後にはトイレットペーパーなどは存在しなかった。すべて用足しは「チリ紙」を使うのだが、それさえも市中に出回らなくなっていた。そこで新聞紙をよく揉んで、柔らかくして使うのが一般的だった。そんな時代を知っている世代としては、人間の適応力のたくましさについての記憶もある。緊急の場合には、かなりのことをしても生活はできるものなのだ。

 私の母は上品だったが、農家育ちのたくましさもあった。以前どこかに書いたかもしれないが、買い出しに出た駅でトイレに困ったことがあった。大便所があまりに汚くて使えなかったのだ。そこで小学生の私が見ている前で、男便所の便器の前で後ろ向きに立ち、思いっきり上体を曲げて、股間から狙いをつけ、みごとに小便を便器に命中させて用を足したのだった。農家の娘として野良に出ていたときの経験が役立ったに違いない。

 そのときの母は、悪びれるでもなく、さばさばした顔で、いたずらを見つけられた少女のように少し笑った。母についての私の思い出の中の、大切な一つになっている。空襲の中でも子供たちを守り抜いた母は強かった。

 だが今は平和な時代だから、現代の人間らしく暮らすのがいい。避難所で配られるトイレットペーパーが少なかったら、女性の多い家族にたくさん上げましょう。

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