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地震がモラルパニックを起こし、いかがなものか症候群に陥るニッポン社会

地震とかテロとか、あるいは凶悪残虐な犯罪とかでも、社会がショックを受けると、社会全体の雰囲気が一変し、普段ならしないような行動に駆り立てられることがある。
そういう事態を称してモラルパニックと呼ぶのなら、今の日本社会はまさしくモラルパニックを起こした状態と言える。

そして、とても日本的な反応が、いわゆる自粛ムードであり、大きな地震とか災害とかが起きるたびに観測される。

これは約20年前の阪神淡路大震災の時分にも現れており、その時、友人の江下・明大教授が「いかがなものか症候群」と呼んでいたのがとても印象的だ。

熊本を中心とする九州中央を横切るような地震災害は、今もなお継続中で油断できない状況にあるが、そんな時だからといってテレビのCMを中止して公共広告機構の広告に差し替えたり、芸能人が普段と変わらない写真をブログにアップしたら非難されて削除に追い込まれたりといったことが現れている。

東日本大震災の時も、全く同じような自粛ムードというか「いかがなものか症候群」が観測されたが、その時にこんなバカバカしいことはヤメよう、花見を中止したりしないようにしようという声が上がった。

私も「news:自粛禍---とくしまマラソン」という記事を書いた。ここで題材にしたマラソンについては、その運営に必要な人材を確保することが当時の状況で困難という事情もあり、中止ないし延期もやむを得ないことであったかもしれないが、そこで問題とした「自粛禍」という現象の問題性は変わらない。

しかし、こうした見方は、日本的な自粛ムードにかき消され、かえって地震=自粛が慣習として定着したかのようでもある。

今回参考にした記事は徳力さんの「本田圭佑選手の問題提起で考える「支援」と「自粛」の間にある選択肢」であり、彼は自粛なんてバカバカしいことと言い切らないところが大人ではあるが、それでも以下のように述べている。
「支援」と「自粛」の選択肢の間には、本田圭佑選手が言うようにいつも通りのことを「普通」にやる、いやむしろ普段より積極的にやる、という選択肢があります。

その「普通」の行動は一見不謹慎に見えるリスクがあるかもしれませんが、実際には「自粛」よりもはるかに間接的に「支援」につながるケースもあるわけです。

そう、東日本大震災の時も、自粛のような愚かなことをして日本経済を沈滞させるのは、かえって復旧・復興に妨げとなると言われていた。
こうしたポイントを全く学ばないまま、喉元が過ぎてしまったようである。

社会的には自粛ムードが規範となり、それをネットの民が「炎上」を武器として強制するという構図ができあがっているが、実はこれは建前にすぎない。
社会的な活動を自粛するのは、それによって余ったエネルギーを被災地支援に回すということが本来の狙いかも知れないが、これは建前にすぎない。本音では、外面は自粛していても、被災地以外の人たちは自分のことしか考えない行動を平気でしている。
いわゆる復興予算を大盤振る舞いしたら、日本全国の、復興とは関係のない建築土木業にお金が回って被災地の復興に必要な予算が足りなかったという事態も記憶に新しいところであり、被災地のためにエネルギーをつぎ込むことなど考えてもいないのに外面だけ自粛している連中がたくさんいることは明らかだ。
そういう連中にとっては、ネット民による炎上圧力も、格好の道具なのである。要は、いいように使われているってことだ。

そういうわけで、被災地にボランティアに行くとか、必要な物資を提供するとか、あるいはせめて義援金を送るとか、そのような行動に出るのは別として、日常の営みは楽しいことも嬉しいことも続けていこうよ、ということである。

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