記事

<熊本地震テレビ報道のありかた>緊急事態の今だけは「視聴率調査」を休止すべき

影山貴彦[同志社女子大学 教授/元・毎日放送 プロデューサー]

***

大きな事故、事件、災害等が発生した際、報道特別番組のため、各局のレギュラー番組が休止、延期となるような場合がある。

少し違った表現をすれば、通常のコマーシャルの一部、あるいは時としてその全部が休止される場合と言えようか。まさに熊本地震の今が、その時期に該当するだろう。

筆者がここのところずっと思っていることがある。こういう緊急事態の場合、「視聴率調査を一時的に休止することはできないだろうか?」ということだ。

【参考】<熊本地震で民進党ツイッターが炎上>「中傷ツイートは職員の責任」理論は炎上が加速するだけ

好むと好まざるに関わらず、視聴率は放送業界、メディアの世界に大きな影響を与え続けている。そして恐らくこの事実は、これからもあまり変わることはないだろう。

視聴率を気にしないタイプの番組の作り手がいたら、お会いしてみたいぐらいだ。おそらくその人間は、よほどの自信家か、よほど鈍感か、よほど仕事のできないタイプのいづれかであろう。それほど視聴率の重みは、放送界で働く人々の肩に、常にずっしりと響いている。

だからこそ、「緊急時における視聴率調査一時休止」の提案である。

視聴率調査を休止させることで、各局は、視聴率を越えて冷静な取材に邁進しやすくなる。また場合によっては異なるテレビ局同志が、系列を越えて協力しあって行動することも容易くなるだろう。視聴率という重しを取り除くことで、本来のジャーナリズム精神も根付きやすくなる。

【参考】フジテレビ 安倍首相と松本人志共演の「ワイドナショー」を放送休止

無論、視聴率調査を一時的に休止させることが、万能の処方箋であるとは思ってはいない。

ただ筆者が、出来の悪い頭で考える限り、この方法は、報道におけるデメリットよりもメリットのほうがはるかに多いと確信している。技術的には可能ではないだろうか。おそらく費用もさほどかかるまい。

大きな意味があるとも思えない過熱報道合戦に違和感を持ち、心を痛めている人が、被災地の皆さんに限らず、今、日本全国にとても多い。そして作り手は、その事実に時として鈍感である。横並びの局の中で、「飛び切りの映像で抜いた、抜かれた」と大騒ぎしているのは、実は「内輪」だけのことなのだ。

取材している現場の記者たちの苦労は、十分わかっているつもりだが、今、視聴者が報道機関に求めているのは、もっと別のことだ。

関係者の皆様、是非ご一考頂けたら幸いである。

あわせて読みたい

「熊本地震」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    都の感染者が3865人のからくり 検査数が増えれば陽性者数も増える

    諌山裕

    07月30日 13:07

  2. 2

    緊急事態宣言下で爆発している今の状況での延長なんて反感しか産まない ただ政府だけに責任押しつけるな 

    中村ゆきつぐ

    07月31日 08:58

  3. 3

    歌舞伎×ジャズピアノ、タップダンスにイマジン…五輪開会式はなぜ変化球で攻めたのか

    毒蝮三太夫

    07月31日 08:05

  4. 4

    どうして日本から敢えて海外移住するのか?

    内藤忍

    07月31日 11:03

  5. 5

    無法地帯になってきた空港と選手村 感染爆発が止まらないのも道理

    田中龍作

    07月31日 08:43

  6. 6

    もう、オリンピック・ムードに浸り続けるのは無理なんじゃないかな

    早川忠孝

    07月30日 08:37

  7. 7

    なぜ無効な政策をいつまでも続けるのか?

    青山まさゆき

    07月30日 16:11

  8. 8

    第4波から何も学ばなかった政府 リーダーは意思とメッセージを明確にせよ

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    07月31日 08:55

  9. 9

    ゆうちょ銀行 東証の新区分プライム市場に不合格 上場株式は量よりも質の時代へ

    川北英隆

    07月31日 09:49

  10. 10

    「"おじさん構文"でも大丈夫」部下とのLINEが苦手な人がやるべき"シンプルな解決策"

    PRESIDENT Online

    07月31日 09:40

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。