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アングル:浪費好きな「月光族」、中国成長のカンフル剤か

[北京/上海 13日 ロイター] - 個人消費が新たな成長エンジンになるという中国の期待に、今年はすでに陰りが見える。だが、限界まで浪費する新世代が、中国経済のカンフル剤となるかもしれない。

テクノロジーに精通した中間層の若者は、月末になると銀行口座が軽くなるため、「ムーンライト・ジェネレーション(月光族)」と呼ばれている。彼らは、しっかり貯金し信用を重んじる親世代の慎重なやり方には背を向ける。

経済成長率が25年ぶりの低い伸びにとどまり、消費者への融資を増大するよう銀行を促した中国当局や、人員を削減し在庫を積み上げている小売業者などにとって、これは朗報だろう。

中国で320万の利用者がいるというモバイル金融サービス「我来貸」の設立者で最高経営責任者(CEO)の龍沛智氏にとっても、また良いニュースだ。

「ミレニアル世代の消費行動はかなり異なる。すぐに得られる満足を求めている」とし、長期的な資金計画は二の次だと龍氏は語る。

中国を専門とする投資ストラテジストのアンディ・ロスマン氏は、1900年代に米国で起きた借金主導の消費ブームに言及し、中銀当局は当時の米国の水準にまでもっていこうとしていると指摘。

「素晴らしいことだが、慎重に行われるべきだ。さもなければ、悪用され、問題が生じるのを、われわれは米国で目の当たりにした」と同氏は語った。

国際金融協会(IIF)によると、 家計の負債はすでに所得水準の60%近くに達しており、2007年の35%から増加している。

上海の国有企業に努めるTian Xueさん(27)は、自身を「月光族」に属すると考えており、一部の仲間は問題を抱えつつあると言う。「多くの人が結局何も考えずに、実際に払える以上の消費を行っていると思う」とTianさんは話す。

両親と暮らすTianさんは、インターネット上の「財布」に預金している。通常、このようなオンライン金融は、系列のプラットフォームでクレジットサービスを行っている。

彼女はしばしば月に2万─3万元(約34万─50万円)を使うというが、この額は彼女の所得約6000元をはるかに上回っている。

<緩い規制>

Tianさんのような若い消費者は、数多くの融資オプションが利用できる。従来のクレジットカードのほか、ネット上で貸し手と借り手を結びつけるピア・ツー・ピア(P2P)融資、アリババ・グループ・ ホールディング<BABA.N>や京東商城(JDドット・コム)<JD.O>のような電子商取引(Eコマース)企業が提供する融資プラットフォームなどさまざまだ。

アリババのオンラインショッピングモール淘宝網(タオバオ)を使うと、同社の支払いサービス螞蟻花唄(Ant check later)の画面が画面に出てくる、と話すのは、北京で駅の改札員をしているというPang Yuさん(25)だ。

Pangさんはクレジットカードのほか、翌月に支払いができる螞蟻花唄を利用している。時には支出が自身とパートナーの収入を上回り、1カ月に2万元にもなってしまうことがあるという。

アリババがコメントを差し控えた一方、京東商城はビッグデータを利用して、より迅速な支払い能力のある消費者をターゲットにしていると明らかにした。

国内総生産(GDP)比で言えば、中国人の消費や借入の規模は、米国の消費者のわずか半分程度にすぎない。世界銀行による最新データによれば、中国は世界で3番目に預金額が大きいが、状況は急激に変化している。

2月に消費者の借り入れが約20兆元に上り、2010年から3倍に増加した。GDPに対する家計の負債比率は、2008年以降倍増しており40%近い。

規制の緩いオンライン融資の急成長は、信用の質を損ねるリスクを引き起こしかねない。当局はすでに、家計の負債を膨らませ、不動産バブルのリスクを高めている、野放し状態の不動産向け融資を取り締まる方針を打ち出している。

潜在的リスクについて、中国銀行業監督管理委員会(CBRC)にコメントを求めたが返答はなかった。

政府や企業が大半を占める国全体の債務は、昨年GDP比250%に上り、それに比べると、個人負債の規模は見劣りするかもしれない。

エコノミストたちは、中国の高い預金率(中国人民銀行の周総裁によれば、昨年はGDP比で約46%)が、消費者金融によるシステミックリスクの緩衝剤として自然と機能していると指摘する。

もしうまくいかなかった場合、「月光族」の辛抱強い親たちが、子供を救済すると暗に言っているようなものだ。北京で自動車販売の営業担当をしているGongさん(26)はまさにその一人だ。

Gongさんは昨年、「必要経費」だとしてカードで支払った鼻の整形手術代2万元を返済することができなかった。結局、両親が肩代わりした。

だが、Gongさんは後悔はしていないという。

「それだけの価値はある。やって良かった」とGongさんは語った。

(Sue-Lin Wong記者、Adam Jourdan記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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