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「男性育休」「夫婦別姓」「配偶者控除」、なにが女性の活躍を阻むのか ──野田聖子×サイボウズ青野慶久

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最高裁判決のおかげで「夫婦別姓は立法府の仕事」と、やっと国会にボールが来た

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私の認識では、野田さんの旦那さんは家事育児をしっかりされているんですよね。

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夫は息子の保育園の送迎、食事、ほぼ全て完璧ですね。後は掃除を時々です。

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今日は、個人的な興味のあるところで、夫婦別姓についてもうかがいたいです。

夫婦別姓問題とは

現在日本で焦点になっているのは、婚姻時に夫婦どちらか一方の姓に揃えなければならないとする”夫婦同姓”の見直し。先進国では稀な夫婦同姓制度を守る日本では、慣習的に女性の側が男性の氏に改姓するケースが96%に及んでいる。

パスポートや運転免許証、銀行口座や資格証明書など、日本社会では原則戸籍名で表記しなければならないものがたくさんある。結婚後も仕事上の便宜性から旧姓を引き続き名乗りたいとする女性が、暮らしのあらゆる場面で不便を強いられることから、夫婦同姓は現代社会にそぐわない制度であるとして、90年代以降「結婚した時に夫婦同姓か別姓かを自由に選択できる」とする選択的夫婦別姓の導入実現が望まれ、社会的な議論が重ねられてきた。

しかし2015年12月、事実婚の夫婦合わせて5人が「夫婦別姓を認めない民法の規定は憲法違反」として、日本国政府に対し損害賠償を求めた訴訟で、最高裁判所大法廷は、民法の規定を合憲とする判断を示し却下。民法改正の動きは頓挫したとして、大きな社会的反響を呼んだ。

2016年には国連女性差別撤廃委員会が「実際には女性に夫の姓を強制している」として、選択的夫婦別姓制度導入のための民法改正を求める再度の勧告を行っている。

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別姓、私も一生懸命取り組んでますよ。昨年、「夫婦同姓は男女差別にならない、憲法違反ではない」と最高裁判決が出て、別姓推進派は敗訴になったわけですね。婚姻届は両性の合意で出すものですから、一方的に女性が強制されているわけではないと。

でも夫婦同姓一択であることで不利益を受けている夫婦、もしくは女性がたくさんいるんです。私としては、この最高裁判決によって、いわば「立法府で法律を変えるべし」とのボールが立法府へ送られたのだと受け止めています。最高裁判決を根拠、確たる軸として、言われたらやらなくちゃと。

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なるほど、前向きに取り組むための理由ができたわけですね。

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今までは別姓を掲げる「夫婦別姓愛好会」のような人たちが活動していましたが、なかなか進まず立ち消えになってきたわけです。しかし、今回はきちんと立法府である国会にボールが投げられました。

1月には公明党・山口那津男代表がついに衆議院本会議で「国会で議論を深め、時代に応じた立法政策を決めていくのが政治の責任だ」と発言しましたね。

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そうなんですよ、代表が発言したことに驚きました。夫婦別姓への流れがついに進み始めたという感想を持っています。

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自民党内では、現政務調査会長の稲田朋美さんは「(夫婦同姓規定合憲は)合理的な判決だ」として、個人的に反対のスタンスを取られていますが、党全体としてはちゃんとやらないとまずいですよ、というお話はしてきたんです。

私が夫婦別姓派の人たちを紹介して、まず会って話を聞いてみてください、そこから始めましょうと申し入れしてきました。私はこの孤独なバトルを当選後23年やっていて、”夫婦別姓岩窟王”と呼ばれてるんです(笑)。

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それはすごい(笑)。私も旧姓が「青野」で、15年前に結婚したときに妻の姓の「西端」に変えたんですが、会社の登記ですとか、まあ不便なこと。

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うちの夫もそうなんですよ。「野田」という私の姓に変えまして、不便だとめっちゃ怒っています。夫は結婚当時、青野さんほどじゃないけれど小さなIT会社をやってました。今はだいぶ制度も緩くなってきたとの話ですが、以前は相当ひどい目に遭ったと。

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結局、中途半端なんですよね。パスポートは本名じゃないといけないけれどホテルは通名で可、だとか。使い分けるのが不便です。

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「通称使用が拡大したからいいだろう」と最高裁が言っていたけれども、それが逆に不便ですよね。ここだけは本名にしろとか、ところどころ引っかかるのでシームレスじゃない。

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それにしても、23年間とはすごいですね。今では国連加盟国で夫婦別姓の選択肢を持たない国で残ったのは日本とジャマイカだけ、みたいなことになっていますよね。ぜひこれは進めていただきたいです。

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最高裁判決を受けて、別姓推進派の皆さんや、特に弁護士さんなどは深く落ち込んでいましたけれど、私はむしろやっと堂々と訴えていける大義名分を最高裁からもらった気分です。

青野さんも、ぜひいろいろな方面の人と協力して発起人になってください。

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いいですよ! ついに波がきたと思っています。

僕が夫婦別姓を唱えているのは、「96%の女性が婚姻時に苗字を変えていることに引っかかりを感じているから」です。もしそこが50/50だったらこんなに問題にならないのに。

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もし50/50だったなら、男性の方から夫婦別姓に賛成意見が出ますよ。夫婦別姓は男性のほとんどがスルーする話なので、問題意識すら生まれていないんですよ。

法律が成立しないのは賛否が拮抗しているからだと思ったら大間違いで、国会では関心が低くて、話題にならないからなんです。改姓の不利益を受けているほとんどが女性なのに、国会議員の約9割は男性ですから。

しかも、職業柄苗字を変えることで利益を受けた人のケースだけは見聞きしていることから、苗字を変えることはメリットしかないと勘違いしている人も多いんです。(一同笑)

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もう慣習化して、見方が固定してしまっているんですよね。

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でも、最高裁からのボールがきましたから、もう関心が無いなんて言っていられない。結論を出すのが立法府の「義務」になったんです。

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いいですね。夫婦別姓が進めば、固定したまま長く続いてきてしまった「男女の役割分担観」や「日本の家庭こうあるべき」みたいなのが、いろいろあっていいんじゃないのという感じに変わっていくのでは。

女性の活躍の阻害要因、もう一つは専業主婦のお値打ち感のシンボル「配偶者控除」

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私は、「女性の活躍」と本当に言いたいなら、2つの阻害要因を取り除くべきだと思っています。1つが「夫婦同姓の強制」、もう1つが「配偶者控除」です。

配偶者控除は、もうほとんど本来求められた機能を果たしていないんだけれど、専業主婦のお値打ち感のシンボルになっちゃっている。その2つの旗を降ろせば、政権は本気だと受け取ってもらえるのではないかと。政権がいろいろ言いながらもこの2つが依然として残っていると、どこか社会が疑心暗鬼になってしまう気持ちも分かるんです。

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たしかにこの2つ、ずっと変革を求められているのになかなか変わらずに続いているものですよね。配偶者控除は、いまどのフェイズですか?

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事実上は所得税で調整されていて、控除としての効果は決して大きくないのだけれど、やっぱりそれを理由にパートの人は働き方をセーブするし、時給の高いところの事業者はそれを理由に雇い止めするんですよね。あれは高度経済成長期の役割分業に必要な制度だったわけですが、今ではもう役割分業はマイノリティですから。

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そうですよね、今は共働き家庭のほうがずっと多いのに。

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自民党の保守を掲げる議員の中には、「男たるもの妻を働かせないのが甲斐性」といった道徳観念がいまだにあって、配偶者控除の見直しはそれを否定することになるので改革を嫌がります。

法律という合理性で進めるべき議論を、観念論で考えているんですよね。まったく合理性なんてないのに。

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まだ説得に時間がかかりそうですが、なんとかその2つを倒したいですね。

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倒しましょう。

次回につづく(4月19日に公開予定)

文:河崎環/写真:谷川真紀子/編集:小原弓佳

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