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【4月14日の国会】政府が進める地方分権改革の中身とは?- 寺田 洋介

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14日の衆議院本会議にて、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」の趣旨説明および質疑が行われた。政府が進める地方創生の一環として地方分権改革も進められているが、具体的には何を行おうとしているのだろうか。民進党・青柳陽一郎議員の質疑と、それに対する答弁を中心に、その中身を見ていきたい。

地域が自らの発想と創意工夫により、課題解決を図るための基盤

まずは石破茂地方創生担当大臣により、法律案の趣旨説明がなされた。地方分権改革について大臣は、「地域が自らの発想と創意工夫により、課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生における極めて重要なテーマであります。」と冒頭で述べた。法律案の具体的な内容については、①「住民に身近な行政を、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするため、国から地方公共団体または都道府県から市町村への事務・権限の移譲、地方公共団体への権限の付与、地方版ハローワークの創設等を行う」、②「地方が自らの発想でそれぞれの地域に合った行政を行うことができるようにするため、地方公共団体に対する義務付け、枠付けの見直しを行う」と説明した。

質疑に立った民進党・青柳議員は、はじめにTPPに関する政府の姿勢を批判した上で、甘利前大臣が説明責任を果たしていないことや、最近の自由民主党議員の暴言や不祥事を追及した。本題の法律案については、さらなる地方分権改革の必要性や、地方版ハローワークによる二重行政の恐れなどを訴えた。以下は法律案に関する質疑とその答弁の全文。

権限・財源・人間の「3ゲン」の徹底的な移譲を

民進党・青柳議員:

法案の質問に入ります。

民進党は党綱領において、自由・共生・未来への責任を結党の理念としています。これは公正・公平なルールの元、多様な価値観や人権が尊重される自由な社会。多様性を認め全ての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな共生社会。地域や個人が十分に連携しあう社会。そして、未来を生きる次世代のため、税金の無駄遣いを排す行財政改革。政治家の身を切る改革。地方の創意工夫による自立を可能とする、地域主権改革を断行していくことにあります。こうした理念に賛同する議員が結集してできた党が我々民進党です。

特に、東日本大震災以降、人と人の絆や地域コミュニティの大切さが再認識されました。私たちが目指す国の形は、官僚主導の政治を変えて、国民主導・地域主導にしていくこと、地域のことは地域が決められる、地域が主役の政治です。そのためには、権限・財源・人間の東京一極集中を脱し、基礎自治体の強化を図り、地域の事情と選択を尊重しつつ、道州制へ移行することを目指す、これこそが、既得権の打破、地方創生、持続的な経済成長に繋がるものと考えます。

しかし、安倍政権では、こうした骨太な改革議論は影を潜め、官僚主導、一部族議員主導の政治が蔓延していると言わざるを得ません。第2次安倍政権はこれまで、第3次・第4次・第5次と、地方分権を進めてきているように見えますが、現在議論されているものは、残念ながら小粒なものに留まってしまっていると言わざるを得ません。今通常国会の安倍総理の施政方針演説で、地方分権についての記述は大変に少なく、そこで紹介された唯一の事例が、地方版ハローワークの設置のみで、正直失望しました。安倍政権の地域主権改革に対する覚悟や気迫は全く感じられません。石破大臣は、担当大臣として地域主権改革に本格的に取り組むつもりなのか、その覚悟を伺いたいと思います。また合わせて、道州制について、大臣の見解を伺いたいと思います。

繰り返しますが、地域主権改革・地方分権に必要なのは、権限・財源・人間の「3ゲン」を徹底的に移譲することです。それにより、基礎自治体、市町村が地域の実情に合わせ、きめ細かい対応を行うことで、地域が活性化し、日本全国が元気になっていく。これが地方再生のあるべき姿です。政府は平成5年の本院での、地方分権の推進に関する決議を皮切りに、これまで累次にわたり、一応の地方分権改革を進めてきました。民主党政権下でも、義務付け・枠付けの見直しと、条例制定権の拡大、一括交付金制度の創設、国と地方の協議の場の法定化などを行い、国と地方が対等な関係のもと、地域主権の観点から、地方自治体が住民に必要な行政を自主的に広く担えるようにするための改革を進めてきました。

また、国の機関の一部である、国交省の地方整備局、経産省の経済産業局、環境省の環境事務所を、地方の広域連合へ移管する法案も策定しました。しかし、安倍政権は、新たに地方創生を掲げてはいるものの、実際には国主導の地方誘導策であって、地域の自主的な新しい運動の展開の推進とは、程遠い内容となっております。地方創生法では、国が策定した総合戦略を勘案して、都道府県や地方自治体に地方版の総合戦略を策定するよう、努力義務を課しています。

地方版の総合戦略を策定しなければ、今後国が支援してくれる保証はなく、地方は自身の戦略策定を作らざるを得ない状況です。実際、地方創生推進交付金は、総合戦略を策定した地方公共団体が対象であり、先導的なものと、縛られています。また、取り組みの成果が出るまでには一定の時間がかかるにもかかわらず、交付金を、いつまで、どの程度の規模で継続するかが明らかではありません。そうした中で、国に財源を握られている地方は、国がメニューを示しているものではない、独自の事業を行うことは、事実上困難であり、その結果は、国の目に適う、画一的な施策ばかりになる恐れがあります。国が、あれをやれ、これをやれとメニューを示すやり方はやめて、地方が創意工夫を発揮して、地域の自主性や多様性を尊重しつつ、白地から政策を考えるやり方に、改めるべきではないでしょうか。今の地方創生策が、真の地域再生に資するものと本当にお考えなのか、石破大臣の御所見をお伺い致します。

提案型地方分権の今後の方向性について、お聞きします。各府省自らが、時代の趨勢により陳腐化されたものや、長年の規制の歴史の中で、意義を失った規制があるのかどうかを検証し、国が必ずしも縛り付ける必要のない規制は、積極的に緩和を進めるか、地方の裁量に委ねるかを強く打ち出すべきです。平成26年6月に取りまとめられた地方分権改革の総括と展望では、国から地方への権限移譲の突破口として、手挙げ方式を導入すべきと提言しているとともに、地方公共団体間で制度が異なることにより、住民に不利益が生じないよう留意する必要がある、と付言されております。提案募集型や手挙げ方式による規制改革のあり方も含め、今後の各府省からの事務・権限の移譲をどのように積極的に行っていくのか、石破大臣の見解をお聞きいたします。

今回の第6次地方分権一括法では、地方版ハローワークを創設することとされています。これが目玉事例というのも寂しい気もしますが、無料職業紹介を行う地方自治体に対して、国のハローワークの求人情報と求職情報を、オンラインで提供するとのことです。これは、例えば自治体で生活困窮者等に対して、職業紹介と生活支援等を一体的に提供できるようになるなど、求職者の利便性向上に一定のメリットがあることは認めます。しかし効果を出していくには、利用者目線の制度設計や、利便性のさらなる向上、制度の運用に十分配慮しなければなりません。そこで、懸念される点について伺います。

都道府県が求職者に求人情報を提供する場合、自らの都道府県内の企業の情報を優先して提供し、求職者にとってベストな求人情報が提供されないということが起きないのか。また、国のハローワークと地方版ハローワークとの役割分担について、どのようにお考えか。国と地方の事業の重複による行政の非効率、二重行政が生じないようどのような処置を講ずるのか。大臣のご見解をお伺いしたいと思います。

最後に、我々民進党は、規制改革や地方分権改革をはじめ、さらなる行政改革を断行することを通じて、既得権の打破と持続的経済成長を実現し、未来への責任を果たしていくことをお約束し、私の質問を終えます。どうも、ありがとうございました。

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