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広島宣言でも二枚舌を使った安倍政権

先に発表された「広島宣言」は、G7外相会合で採択されたもので、その正文は英語で書かれている。それを日本語に翻訳したものを国内向けに発表したわけだが、そこで恣意的な改ざんを加えていたことが発覚した。核保有国に遠慮して原爆の「非人道性」という言葉は避けたものの、「壊滅と非人間的な苦難」という言葉を使って、辛うじて被爆国としての真情を表現したように思われた。新聞ではそのように書かれていた。だがその正文の用語は human suffering だったというのだ。

 この言葉では、人間の経験する苦難一般を表現するに過ぎない。最初に連想するのは貧困だろう。その前にimmense devastation and(巨大な破壊と)と書いてあるから原爆のことを言っているのはわかるが、少なくとも inhuman suffering でなければ「人間にあるまじき苦難」の意味にはならない。正文のままでは、形容詞の immense が suffering までかかるとしても、大量の死者が出たことさえ表現していない弱い表現になっている。 inhuman では crime against humanity (人道に対する罪)を連想するというので嫌ったのだろう。

 このように外向けには卑屈とも言える弱気な宣言を出しておいて、内向きには国民感情を意識して「非人道性を認識させた」かのような訳文を出していたわけだ。とどのつまりは、G7外相会合を利用して、「世界に平和を訴えた日本」を演出して見せたのが一連の行事だったのだ。全体を通して、選挙目当てらしい、うさん臭さが漂っていたものの実体がこれだった。

 英文と訳文との相違を指摘された外務報道官は、新聞記事によると「必ずしも辞書に出ている訳を一対一で定訳として当ててはいない」として、訳文は適切で問題ないと答えたということだ。学校の英語の試験では、どんな点を取っていたのだろう。

 外国向けと国内向けで言うことが違っても気にしない。選挙に得になることなら何を言っても構わない。安倍政権の二枚舌は、広島宣言でも徹底していた。

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