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- 2016年04月10日 19:24
学ぶ時間をどうつくるか
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前回は、中堅エンジニアがモチベーションを失わずに成長するためには、自分の専門分野以外にも学ぶべきことがある、と書いた。ところで、ここに重大な問題が立ちはだかっている。それは、企業人の学ぶ時間が、次第にうばわれているという事実だ。
普通の企業人は、年間どれくらいの時間を「学び」にあてているのか? 平成23年度調査によると、正社員の延べ受講時間平均は39.5時間だ、という(「人事マネジメント」2012年11月号・門田政己氏の記事より)。
http://www.acroquest.co.jp/company/press/2012/img/20121206.pdf
年間に39.5時間ということは、月にわずか3.3時間だ。週に1時間もない。これでは「学び」どころか、技術やスキルの維持さえおぼつかないではないか。しかもこの数値には、新入社員の集合研修の時間なども含まれている。中堅層だけを抜き出したらもっと少ないに違いない。
この数値の元になっているのは、厚生労働省の「能力開発基本調査」http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/104-1.html である。調べてみると、一番新しい平成27年度では、OFF-JTを受講した者の延べ受講時間平均はのっていない。ただグラフから推算すると、平均24時間弱となり、4年前よりさらに少なくなっている様子だ。また、これは正社員の話で、非正規雇用者への研修時間はもっと少ない。別の政府資料では、20歳代を比較すると1/3程度しかないらしい(「平成25年度年次経済財政報告」 http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je13/h03_01.html)。
わたしが若い頃に聞いた話では、英語を満足に話せるようになるには、だいたい700〜1,000時間の勉強が必要だということだ。もし年間24時間しか時間がないのなら、英会話を身につけるのに30年かかる計算だ。定年退職する頃、やっと海外で英語の仕事ができるようになるのでは、まるきり遅いではないか。
もっとも、上記はあくまでOFF-JT、すなわち座学による研修だ。これ以外にOJT(On-the-Job Training)を実施していると、企業側はいうかもしれない。ただしOJTの計画性はどうかというと、平成23年度調査で63%の事業所が「計画的なOJTを実施していると回答」したのだそうだ。逆に言うと、1/3の企業は計画性なきOJT、つまりまあ「俺の背中を見て育て」式の教育をしている訳だ。
こうした統計から分かる事が、一つある。それは、企業に人材教育をする余裕がなくなっている、ということだ。
人が成長するには、時間がかかる。年単位の時間がかかる。昨今の企業は、それを待てなくなっている。だから「即戦力」などという言葉が飛び交うのだろう。それを大学教育に要求したりもするのだろう。大学教育の側にもいろいろな問題はあろうが、マクドナルドのような作業標準化・マニュアル化の努力もせずに、自社の業務にさまざまな特殊性や例外を残したままで、外部労働市場に「即戦力」を求めるのは、どうかと思う。
こまったことに、研修費用を減らしても、バランスシートではすぐ分からない。株主もあまり文句を言わない。だが、それは組織の自滅への道である。まさに、貧すれば鈍す、だろう。
では、どうするか。答えは、自分で学ぶしかない、ということだ。
自分で仕事について学ぶ行為には、『自己啓発』という用語が使われたりする。ちなみに、さきの能力開発基本調査H27年版によると、正社員では年間に「『10時間以上20時間未満』 が20.7%と最も高い」のだそうだ。月に、平均1時間半程度である。これで十分だとは、みな思っていないだろう。だが自己啓発は自己負担が原則である。そんなお金は出せないよ、が正直な気持ちだろうか。
ところで、複数の知人に聞いた話では、米国ではよく大規模なベンダーコンファレンスが開催され、チュートリアルや研修セッションも同時に行われるが、こうした行事に自費で参加する米国人が、けっこう多いのだそうだ。通常は3〜4日で、参加費も高い。飛行機代・ホテル代もあわせれば、軽く2千ドル(20万円)以上はかかるだろう。それを自費で? ちょっと信じられない気持ちだが、彼らにとっては、それが自分の能力の保証になるから、なのだそうだ。まあそれがゆえに、多くのセミナーでCertificate(受講証明書)だのPDUをだしたりするのだろう。それが転職時に有利になるのかもしれない。
つまり、彼らは「学び」を自分への投資と考える訳である。株を買ったりするかわりに、自分に投資する。そして、学びに優る投資なし、とも言えるだろう。
わたし達は、なぜ学ぶのか。それは自分への投資だから、である。自己の価値を上げる唯一の方法だから。ここでいう自己の価値は、「社内の地位」とはまったく違う。会社に関わりなく、客観的に評価できる能力の意味だ。
では、何を学ぶのか? これについてはすでに書いた。専門分野も継続した学びが必要だ。そして、それ以外に三つ、視野に入れるべきことがある。
そして、どう学ぶべきなのか。ここでは、学ぶ時間に関して、いくつかのヒントを書いておこうと思う。
普通の企業人は、年間どれくらいの時間を「学び」にあてているのか? 平成23年度調査によると、正社員の延べ受講時間平均は39.5時間だ、という(「人事マネジメント」2012年11月号・門田政己氏の記事より)。
http://www.acroquest.co.jp/company/press/2012/img/20121206.pdf
年間に39.5時間ということは、月にわずか3.3時間だ。週に1時間もない。これでは「学び」どころか、技術やスキルの維持さえおぼつかないではないか。しかもこの数値には、新入社員の集合研修の時間なども含まれている。中堅層だけを抜き出したらもっと少ないに違いない。
この数値の元になっているのは、厚生労働省の「能力開発基本調査」http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/104-1.html である。調べてみると、一番新しい平成27年度では、OFF-JTを受講した者の延べ受講時間平均はのっていない。ただグラフから推算すると、平均24時間弱となり、4年前よりさらに少なくなっている様子だ。また、これは正社員の話で、非正規雇用者への研修時間はもっと少ない。別の政府資料では、20歳代を比較すると1/3程度しかないらしい(「平成25年度年次経済財政報告」 http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je13/h03_01.html)。
わたしが若い頃に聞いた話では、英語を満足に話せるようになるには、だいたい700〜1,000時間の勉強が必要だということだ。もし年間24時間しか時間がないのなら、英会話を身につけるのに30年かかる計算だ。定年退職する頃、やっと海外で英語の仕事ができるようになるのでは、まるきり遅いではないか。
もっとも、上記はあくまでOFF-JT、すなわち座学による研修だ。これ以外にOJT(On-the-Job Training)を実施していると、企業側はいうかもしれない。ただしOJTの計画性はどうかというと、平成23年度調査で63%の事業所が「計画的なOJTを実施していると回答」したのだそうだ。逆に言うと、1/3の企業は計画性なきOJT、つまりまあ「俺の背中を見て育て」式の教育をしている訳だ。
こうした統計から分かる事が、一つある。それは、企業に人材教育をする余裕がなくなっている、ということだ。
人が成長するには、時間がかかる。年単位の時間がかかる。昨今の企業は、それを待てなくなっている。だから「即戦力」などという言葉が飛び交うのだろう。それを大学教育に要求したりもするのだろう。大学教育の側にもいろいろな問題はあろうが、マクドナルドのような作業標準化・マニュアル化の努力もせずに、自社の業務にさまざまな特殊性や例外を残したままで、外部労働市場に「即戦力」を求めるのは、どうかと思う。
こまったことに、研修費用を減らしても、バランスシートではすぐ分からない。株主もあまり文句を言わない。だが、それは組織の自滅への道である。まさに、貧すれば鈍す、だろう。
では、どうするか。答えは、自分で学ぶしかない、ということだ。
自分で仕事について学ぶ行為には、『自己啓発』という用語が使われたりする。ちなみに、さきの能力開発基本調査H27年版によると、正社員では年間に「『10時間以上20時間未満』 が20.7%と最も高い」のだそうだ。月に、平均1時間半程度である。これで十分だとは、みな思っていないだろう。だが自己啓発は自己負担が原則である。そんなお金は出せないよ、が正直な気持ちだろうか。
ところで、複数の知人に聞いた話では、米国ではよく大規模なベンダーコンファレンスが開催され、チュートリアルや研修セッションも同時に行われるが、こうした行事に自費で参加する米国人が、けっこう多いのだそうだ。通常は3〜4日で、参加費も高い。飛行機代・ホテル代もあわせれば、軽く2千ドル(20万円)以上はかかるだろう。それを自費で? ちょっと信じられない気持ちだが、彼らにとっては、それが自分の能力の保証になるから、なのだそうだ。まあそれがゆえに、多くのセミナーでCertificate(受講証明書)だのPDUをだしたりするのだろう。それが転職時に有利になるのかもしれない。
つまり、彼らは「学び」を自分への投資と考える訳である。株を買ったりするかわりに、自分に投資する。そして、学びに優る投資なし、とも言えるだろう。
わたし達は、なぜ学ぶのか。それは自分への投資だから、である。自己の価値を上げる唯一の方法だから。ここでいう自己の価値は、「社内の地位」とはまったく違う。会社に関わりなく、客観的に評価できる能力の意味だ。
では、何を学ぶのか? これについてはすでに書いた。専門分野も継続した学びが必要だ。そして、それ以外に三つ、視野に入れるべきことがある。
そして、どう学ぶべきなのか。ここでは、学ぶ時間に関して、いくつかのヒントを書いておこうと思う。



