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【社説】在日米軍、米国民には安い買い物

 日本で先週、集団自衛権の限定行使などを可能にする安全保障関連法が施行された。これにより、たとえ日本が標的とされていない場合でも、米軍が攻撃を受ければ日本の自衛隊が防衛で協力することができるようになった。これは、共和党の大統領候補指名争いでトップを走るドナルド・トランプ氏が米国の同盟諸国を非難し、西太平洋からの米軍撤退を提案する際に見落としている重要な事実のひとつである。

 トランプ氏は先月、米国は日本と韓国の「面倒をみているが、(その見返りとして)何も得ていない」と発言した。同氏は米国が日韓両国とそれぞれに締結している安全保障に関する条約の再交渉もしくは破棄を訴えている。これらの条約は5万人規模の在日米軍と2万8000人規模の在韓米軍を配備する根拠となっている。

 だが、これらの条約は一方的なわけでも、米国が負担しきれない取り決めでもない。日本と韓国は現在、駐留米軍経費の半分近くを負担している。年間で日本は約20億ドル、韓国は約9億ドルだ。仮に日韓から駐留米軍が撤退すれば、米国の納税者の負担は増えるだろう。しかも、壊滅的な戦争が起きてきた地域の平和と繁栄を数十年間にわたって持続させてきた価値を抜きにしてだ。

 太平洋における米軍の4大建設プロジェクトは日韓両国が300億ドル超を負担しているため、米国の納税者の負担はわずか70億ドルに過ぎない。トランプ氏は建設に関わる人間として、そのことを知れば関心を持つかもしれない。米太平洋軍の2015年4月の記録によると、韓国のキャンプ・ハンフリーズ(韓国平澤市)では2017年までに在韓米軍のほぼすべてを集約させるために拡張工事が進められているが、110億ドル近くに上る建設費用の93%を韓国側が負担している。 

 日本は岩国の米海兵隊航空基地の必要経費約50億ドルのうち94%を負担しているほか、普天間基地の移転にかかる約120億ドルを全額負担している。日本はさらに、米領グアム島の新基地に必要な経費30億ドルの36%をあらたに負担している。

 韓国は国内総生産(GDP)の約2.5%を防衛費に充てている。米国の3.5%を下回るものの、GDP比で世界トップ10に入る。徴兵制を採用している韓国軍は北朝鮮の核兵器や長距離ミサイルを阻止するための最前線に立っている。冷戦時代、日本は西側諸国にとって、太平洋を潜航するソ連の潜水艦に対する防衛の要だった。今日では、東アジアにおける中国の台頭に対抗するうえで重要な砦(とりで)となっている。

 GDP比1%という防衛費はあまりに少ないが、日本は4年連続で防衛予算を増やしている。改革論者の安倍晋三首相は米国、東南アジア、オーストラリア、インドとの関係を築いてきた。これがなければ中国は地域の覇権を楽に掌握することになろう。

 多大な政治的犠牲を払ったうえで、安倍政権は憲法解釈を変更し、集団的自衛権の限定行使を可能にする新たな法律の施行に道を開いた。日本は今や、北朝鮮のミサイルから米国を守ることができる。南シナ海で米軍の艦船がパトロールを行っている際には、中国の政策立案者らは常に日本の海上自衛隊のことも念頭に置かなければならなくなった。

 安倍首相とシンガポールのリー・シェンロン首相はここ数日の間に、アジアにおける米国の役割を称賛し、近視眼的な撤退がもたらすダメージについて警告した。米国民はこれらの国がフリーライダー(ただ乗りする人)ではないことと、アジアでの前方展開が米国の安全保障にとって重要であることを理解しなくてはならない。

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