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恐るべきセンス、スタミナ、身体能力 悩ましい大谷翔平の起用法 - 赤坂英一 (スポーツライター)

3日、TBS〈サンデーモーニング〉で、プロ野球解説者の張本勲氏が日本ハムの二刀流プレーヤー・大谷翔平を手厳しく批判していた。大谷はこの日まで先発投手で2試合に登板して未勝利ながら、打者としてスタメン出場した試合で打率3割6分4厘、本塁打2本をマーク。この活躍を「偶然ですよ。また飛ぶボールが使われてるんじゃないですか。あのぐらいの打球が(スタンドに)入っちゃうんだから」とバッサリ斬って捨てたのだ。

ウイークポイントを克服

 しかし、当の大谷はその3日、東京ドームで行われたデーゲームに5番・DHで出場。前々日の先発登板から僅か中1日だったにもかかわらず、堂々とクリーンアップに入り、0-1と1点をリードされていた六回、1死一塁、ソフトバンクのエース・武田翔太からセンター前へヒットを打っている。その後にレアードの逆転3ラン本塁打が飛び出して、チームの勝利にもしっかりと貢献した。

 まったく恐るべきセンス、スタミナ、身体能力である。前々日は105球投げていたのに、試合前の打撃練習からほかの選手と一緒に参加して、「(体調は)まったく問題なかったです」と平然としたもの。ヒットにしたのは大きなカーブで、「タテの変化に弱い」と言われる大谷のウイークポイントを突いた球種だった。それを「全然予想してなかったです」と言いながら、前に突っ込むことなくバットですくい上げ、「ヒットになってよかった」と笑っている。こういう巧みな打撃は「飛ぶボール」かどうかとは無関係だろう。

 大谷は今季、原則として先発登板→1〜2日休養→3〜4日打者スタメン→1日休養→先発登板というサイクルで起用される予定。昨季までは大谷の疲労度を考慮し、代打要員としてベンチ待機させるケースも少なくなかったが、「1打席の代打でも集中力を持って準備していなければならないのはスタメンと同じ。それなら最初からスタメンで出場したほうがいい」と栗山英樹監督は話している。

 もっとも、その背景には台所事情の苦しさも垣間見える。外野でレギュラー争いをすると期待されていた3年目の岡大海が腰痛、2年目の浅間大基が左膝関節炎で、キャンプ中に一軍から離脱してしまった。加えて、4番の中田翔も開幕から打棒が振るわず、一時は打率1割台半ばにまで落ち込んでいる。打線の層が薄くなり、著しく得点力が落ちているいま、力のある大谷をベンチに温存していられる余裕などない、というのが実情なのだ。

さて、この二刀流起用で大谷のスタミナがシーズン終了までもつのか。そのうち大きな故障につながる恐れはないのか。そこが問題である。大谷本人が「問題ない」と強調しても、栗山監督の目には「試合前の練習を見ていていつもの翔平とは少し違う」と映ることもあるという。実際、3日のソフトバンク戦に5番DHで使うときには、果たしてこれがベストの起用法なのか、ぎりぎりまで検討を重ねていたそうだ。大谷が結果を出したからよかったとはいえ、相手バッテリーに厳しく内角を攻められる場面も増えている。今後、大谷が打てば打つほど、もっとあからさまに胸元や膝元をえぐられるようになるはずだ。

二刀流のために知恵を絞る

 だから二刀流なんか早くやめろ、投手一本に専念すればいいのだと、張本氏ら球界の御意見番の声が聞こえてきそうだ。だが、これは正しいとか、間違っているとかいう問題ではない、と私は思う。大谷はそもそも、2012年秋のドラフト1位で日本ハムに指名されたとき、「投手と打者の両方やらせてもらう」ことを入団の条件にしていた。つまり、二刀流起用とは球団と交わされた約束事であり、れっきとした契約の一部なのだ。大谷本人が故障したり、ギブアップしたりしない限り、二刀流は今季も最後まで続けられるだろう。

 もっとも、栗山監督は大変である。ほかの監督が勝つことだけ考えている最中、彼だけはひとりの選手に投手も打者もやらせるために知恵を絞らなければならないのだから。

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