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大学の文系のこと

大学の「文系」のあり方をめぐって、このところ議論が起こっている。私は以前から、文系、理系、という区別自体がナンセンスだと思っているが、それにしても、いわゆる「文系」(便宜上)の学問は、もちろん必要だと思っている。

経済学や法学は、実学としての側面があるから必要性がわかりやすいが、哲学や文学といった学問も、もちろん大学の中で必要で、これらが「役にたたない」からやめてしまえ、という議論は、話し手の知性の低さを表しているだけだと思う。

「文系」にかぎらず、大学の問題は、もう少し別のところにあると思う。これは、とてもむずかしい、感覚の問題なのだけれども、「自己満足」に陷って、怠惰になっている精神状態である。外の風が吹かず、世の中に接していない感覚がある。

学問は、熱意さえあり、工夫すれば、なんとか生き延びるものだと思う。本居宣長の「本業」は医者だったが、それは彼が古事記伝などの学問をする妨げにならなかった。極論すれば、大学文系がなくなっても、学問は死に絶えなどしないだろう。

ぼくがある種の大学の先生とお話して感じる違和感は、その地位や社会的文脈に安住していて、風が吹いていない感じというか、そのような時、なんだかなあ、と思うことがある。しかし、そのような違和感は、実はどの分野も同じだ。

一般の会社の方でも、アスリートでも、アーティストでも、自分のやっていること、自分のいる文脈に安住して人間として弛緩している雰囲気というのは一瞬にして伝わってきて、大学の先生にも、同じことが起こっているだけということだと思う。

では、なぜ、大学の文系の先生の「弛緩」が時に目に余るように感じるのかというと、二つあるかもしれない。一つは、自然科学系のようにデータや技術という外部性、更新の文法がないこと。もう一つは、学問が時に属人的であるから、個人崇拝や権威と結びつきやすいということ。

これは、なかなか難しいところで、例えば古典文学や倫理学のような浮世離れした学問をしていても、現代との緊張関係をもってきびきびとやっている先生もいるし、経済学のような世に通じるはずの学問でも、だらけて弛緩している先生もいる。

自分の地位に安住して目が曇っているのは別に大学の文系の先生だけでなく、あらゆる分野において見られる現象なのだけれども、学問というものは本来はもっときびきびした、鋭利なものだという期待、幻想があるから、がっかりするだけの話なのではないかと思う。

弛緩して堕落した感覚が時に漏れるから、大学の文系なんてつぶしてしまえ、という暴論になる。考えてみると一番損をしているのはご本人で、これについては自己責任でいい気がする。人間なんて、堕落しようと思えばいつでも堕落できる、か弱い存在なのだ。大学教授という金看板故に堕落するのではない。

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