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大人のひきこもりが「非正規雇用」の先鞭として政治権力化できるかも

■「非正規雇用4割」を誰が代表するか

政治権力というとかなりイカついが、つまりは現在、4割を占める非正規雇用労働者(その数2,400万程度、国民の5人に1人ほどにのぼる)の声を政治的に代弁する勢力がないことが、日本の大きな問題の1つになっている。

言い換えるとこれは、50%に届きそうな膨大な「無党派層」の声なき声を表象する「政治権力」がないことが大きな問題だということだ。

そうした非正規雇用労働者や無党派層の潜在的声を誰かが代弁して「権力」(政治的パワー)の中に埋め込むことがてきなければ、それはアンフェアである。

だが、現在の政治状況においては、民主党あらため民進党は、連合を中心とする既存労働組合が最大支持母体であるため、非正規雇用労働者の声を受け止めることができない。

労働者=マイノリティーと捉えることができたのは70年代頃までであって、現在の労働者は正規雇用6割と非正規雇用4割に厳しく峻別され、それは年収的には、ミドルクラス(中流)vsアンダークラス(下流)に分けられる。

これは、「正規雇用=ミドルクラス(中流)vs非正規雇用=アンダークラス(下流)」としてまとめられる。

■民進党ではムリ

そして、連合は正社員の集まりのため(非正規雇用にもやっと配慮しそうではあるが)、「持てる者たち」つまりはミドルクラス=中流の声しか代弁しない。これら「古典的ミドルクラス労働者」がいくら政治権力化して(その集積が民進党)発信しても、最大のマイノリティー層である非正規雇用=アンダークラスの人々の声を代表できない。

これが日本の停滞の一因でもある。最大のマイノリティーの声が政治権力化できず無党派層5割としてくすぶっている。この事態を誰かが何とかしなければフェアではないと思うのは僕だけではないだろう。

夏の参院選を控えてそうした雑感を抱いていた昨今、思わぬところから「マイノリティーの政治権力化」の可能性を感じる事件が起きた。

事件というと大げさかもしれないが、テレビ朝日「TVタックル」の中で、強行で暴力的でダメなエセ支援団体紹介映像に対する反対記者会見の中で、「元ひきこもり当事者」の人々が複数で顔出しして反対声明を読み上げたのだ。

「TVタックル」のダメさについては、この記事等を参照にしてほしい(「大人のひきこもり」特集に、経験者ら異議 テレ朝「TVタックル」)。

こうしたダメな機関の紹介のダメさについては、斎藤環さん(精神科医)や池上正樹さん(ジャーナリスト)にがんばっていただけるだろうし、僕は応援している。

この反対運動の中で、「高齢化」した元ひきこもり当事者のみなさん(僕も少しは知っている)が顔出しで反対声明読み上げに参列した。

このことが、僕にとっては画期的だと思うのだ。

■サバルタン

哲学的にいうと、本当の「当事者」は、決して現在進行形で声をあげることはできない。その声は常に潜在化され抑圧されていく(『サバルタンは語ることができるか』G.スピヴァク/みすず書房)。

その当事者の思いは、誰かが「代弁」するしかない。

ここでいうと、日本の非正規雇用労働者やアンダークラス、さらに児童虐待被害者やひきこもり者の経験と思いは、その事態が現在進行形であればあるほど、当事者自身には語ることができない。

そのたいへんな思いは、そのたいへんな思いが一定の「過去」になった人たちによって「代弁」するしかない。

その代弁者代表が、ここでいう「大人のひきこもり」あるいは「高齢化ひきこもり」だ。

また、労働者の4割に及ぶアンダークラスの人々は、簡単にはその声を表象することはできない。

基本的に、アンダークラスの人々は、日々の生活を肯定するしかなく、その、「小さな幸福」と「小さな不幸」が行き来するスモールワールドのなかでの生活を肯定するしかない(古市憲寿著『絶望の中の国の幸福な若者たち』)。

つまりは、アンダークラスの人々の思いは、基本的に潜在化されていく。

けれども冒頭に書いたとおり、こうした抑圧される声を、現在の我が国においては代表/代弁するグループがない。

これがおそらく、現代の日本の最大の悲劇だ。

■マイノリティーの新しいあり方

この悲劇は、誰かが突破し、誰かが代弁し、代表していくしか解消はできない。

だが僕は、基本的にこの問題の解消については諦めていた。

が今回の「TVタックル」事件によって、思わぬところで可能性を見いだせたのかもしれない。

つまりは、大人のひきこもり、高齢化したひきこもり、これら「社会のお荷物」(長年彼女ら彼らを支援しつつ、彼女ら彼らに同時に励まされ癒やしてもらっている僕からすれば、愛すべきお荷物野郎たちなのです)たちが、もしかして日本の「希望」の先鞭になるのかもしれない。

それは、5割に及ぼうとする無党派層の声を「代弁」できる可能性があるということだ。

弱い人々、社会から痛い目にあってきた人々、その代表者たちが今回は何人も顔を出して訴えた。そのパフォーマンスそのものが、マイノリティーの新しいあり方をポジティブに提案する。★

※Yahoo!ニュースからの転載

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