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ハンセン病を過去のものにしない

ビブリオバトル参加者による発案で
大学生たちがハンセン病療養所を訪問

桜のつぼみが膨らみ始める3月半ば、東京・東村山市の国立ハンセン病療養所「多磨全生園(たまぜんしょうえん)」を、都内の大学生4人が訪問。東京ドーム7個分を超える広さの園内や併設される資料館を、約5時間かけて巡りました。参加した男子学生は、「書物で読むのと実際に足を運ぶのとでは、理解の深度が全く違う。ここで感じたことを周りにも伝えていきたい」と話しました。

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国立ハンセン病療養所多磨全生園を訪れる大学生

訪問の発起人は、文学部4年の横森夏穂里さん。大学の授業でハンセン病患者でもあった作家・北条民雄を取り上げたことがきっかけで、ハンセン病について関心を深めたと言います。1月に日本財団主催で行われた「ハンセン病文学ビブリオバトル」にも参加。紹介した本が、見事チャンプ本に選ばれました。

横森さんの呼びかけで、前述の北条民雄が20歳から亡くなるまでの3年間を過ごした全生園を見に行こうと、今回の訪問が実現。資料館では、同氏が使っていたとされる万年筆や自筆の原稿などの展示物を、学生同士、「繊細な字を書いていたんだね」などと言葉を交わしながら見学しました。

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東京ドーム7つ分を超える広さをもつ緑豊かな園内を歩く

全生園は、全国に13ある国立ハンセン病療養所の1つ。かつてハンセン病患者は療養所に強制隔離され、多くが療養所を出ることなく生涯を終えました。園内には商店から理容室、寺や教会などの宗教施設、さらには墓地まであらゆるものがあり、患者たちがこの中だけで暮らしていたことを物語っています。

見学後は、歩いて20分ほどの秋津駅へ。当時、園の周りは民家もほとんどない雑木林で、人目につかない夜に園から脱走した入所者も多かったといいます。大学生たちは、不自由だったであろう手足で、真っ暗闇な雑木林の中を駅まで手探りで歩いた患者たちに思いを馳せながら、駅までの道を歩きました。

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ハンセン病患者たちによるハーモニカバンド「青い鳥楽団」の音源を聴き、演奏のレベルの高さに驚嘆

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全生園を取り囲んでいた柊(ひいらぎ)の生け垣。現在は低く刈り揃えられているが、当時は入所者の脱走を防ぐために2メートルほどの高さがあったという

横森さんは見学を終え、「入所者が高齢化し、ハンセン病が過去のものとなっていく中、私たち若い世代がもっと知識を得て、伝えていかなくてはいけない」との思いを強くしました。

卒業後は中学校教師を目指しているそう。「書物から得られる知識だけでなく、今日のように実際に足を運び、見聞きすることで経験値を高め、説得力のある先生になりたい。そして、これは正しい、これはダメと価値観を限定せずに、自分で考えて判断ができる子どもを育てていきたい」と展望を語ってくれました。

多磨全生園 ウェブサイト
住所:〒189-0002 東京都東村山市青葉町4丁目1-1

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