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- 2016年04月06日 23:52
マスコミで報じられないGPIF運用の問題点
日本株は軟調な展開が続いている。
6日続落を記録した4月5日(火)時点での昨年末比騰落率を見ると、日経平均は▲17.3%の下落、TOPIXは▲18.0%の下落と、世界同時株安の震源地となった上海総合の▲14.5%を上回り、世界の主要国市場の中で下落率トップになっている。
株価下落が顕著になって来ると増えるのが、公的年金の運用に関するマスコミからの問い合わせ。今週もフジテレビ「直撃LIVE グッティ!」と週刊誌、日刊紙と取材が続いた。
ただマスコミを通して紹介されるのはインタビュー取材のごくごく一部であるのと同時に、必ずしも説明したことが正確に報じられるわけでもない。
4日に放映された「直撃LIVE グッディ!」では、専門家の話しとして小生の顔写真と共に「年金は今資金が必要、積立金が毎年目減りしているのに長期運用をしている場合ではない」というコメントが紹介された。
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しかし、これは必ずしも正確なコメントではない。
記者からの質問は「年金運用の損失問題に対して、政府が『短期的な動きで一喜一憂しないで欲しい』 という答弁を繰り返すことに対してどう思うか」というもの。
この問いに対する小生のコメントは、「資産は何のために持っているのか。それは収入がなくなった時に取り崩すためだ。団塊の世代が年金受給者になった今、GPIFは年金給付のために昨年度で4兆円以上の年金資産を取り崩している。つまり、今必要な資金を準備するために資産を取り崩す必要に迫られているGPIFには長期運用などと言っている暇はないんです」という内容だった。
こうした回答が番組内のフリップでは「年金は今資金が必要、積立金が毎年目減りしているのに長期運用をしている場合ではない」というコメントとして紹介された。細かなことかもしれないが、「GPIFは資金流出主体だ」という発言が「積立金が毎月目減りしている」というように微妙に違う表現になっている。
日本語的にはほとんど同じ意味に取られるかもしれないが、運用上この二つは異なるもの。
3月12日に東京ドームシティ プリズムホールで行われた「投資戦略フェアEXPO2016」で開催したセミナー「“Bye – bye Abenomics” でどうなる?日本株」でもお話ししたが、今後の株式市場の展開を考える上で、「GPIFが資金流出主体である」という点は重要な要素となる。
2014年10月にGPIFは、国内債の比率を減らし、国内外の株式の比率を引き上げるという基本ポートフォリオの変更を行った。それ以降、株式市場ではGPIFを中心とした公的年金の買いを常に意識することになった。
しかし、「GPIFが資金流出主体である」という現実は、GPIFが株式を購入出来るのはポートフォリオの変更によって株式の組入れ比率を引き上げる時だけでしかないということを意味する。
さらに、「GPIFが資金流出主体である」ということは、GPIFが年金給付のために保有資産を売却して現金に換えなければならないという宿命を負っていることでもある。
2014年度にGPIFが年金給付のために取り崩した資産はネットで4兆5000億円強である。仮に国内株式の投資比率が25%のGPIFが年給付のために毎年4兆円の資産売却を余儀なくされるとしたら、GPIFは毎年1兆円の国内株式の売手になるということだ。
GPIFが安定的売り手になるということは、市場に2つの影響を及ぼすことになる。
それは「株価の下落」と「ボラティリティーの低下」である。
この辺の詳細は有料メルマガ「近藤駿介のAnother Sense『マーケット・オピニオン』」やセミナー等で適宜お伝えしていくので、そちらを参考にして頂きたい。
「資金流出主体」であるGPIFの基本ポートフォリオを国内外の株式の組入れ比率を高める方向に変更したということは、将来の売却額を増やすことでもある。そして、こうした世界最大の投資家であるGPIFの売りを、政府の意をくむ形で吸収できる主体は、昨年11月に上場したグループ以外にないのが現実。
これは、国民が公的年金を通して損失を受けるか、貯蓄を通して損失を認識するかという形の違いで、国民が公的年金運用改革のツケを払うことには変りはない。
この辺りも取材を受ける度にお伝えすることだが、活字や画面では決して報じられない部分。
「GPIFが資金流出主体」となった今、GPIFは30年後を睨んで運用できる状況にない。それは、現在損失を出すということは、将来世代の元本を減らすことになるからだ。日本の公的年金の運用を「長期で考えろ」という主張は、「今の失敗には目を瞑れ」「結論を先延ばししろ」と言っているのと同義でしかないという認識が必要だ。
6日続落を記録した4月5日(火)時点での昨年末比騰落率を見ると、日経平均は▲17.3%の下落、TOPIXは▲18.0%の下落と、世界同時株安の震源地となった上海総合の▲14.5%を上回り、世界の主要国市場の中で下落率トップになっている。
株価下落が顕著になって来ると増えるのが、公的年金の運用に関するマスコミからの問い合わせ。今週もフジテレビ「直撃LIVE グッティ!」と週刊誌、日刊紙と取材が続いた。
ただマスコミを通して紹介されるのはインタビュー取材のごくごく一部であるのと同時に、必ずしも説明したことが正確に報じられるわけでもない。
4日に放映された「直撃LIVE グッディ!」では、専門家の話しとして小生の顔写真と共に「年金は今資金が必要、積立金が毎年目減りしているのに長期運用をしている場合ではない」というコメントが紹介された。
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しかし、これは必ずしも正確なコメントではない。
記者からの質問は「年金運用の損失問題に対して、政府が『短期的な動きで一喜一憂しないで欲しい』 という答弁を繰り返すことに対してどう思うか」というもの。
この問いに対する小生のコメントは、「資産は何のために持っているのか。それは収入がなくなった時に取り崩すためだ。団塊の世代が年金受給者になった今、GPIFは年金給付のために昨年度で4兆円以上の年金資産を取り崩している。つまり、今必要な資金を準備するために資産を取り崩す必要に迫られているGPIFには長期運用などと言っている暇はないんです」という内容だった。
こうした回答が番組内のフリップでは「年金は今資金が必要、積立金が毎年目減りしているのに長期運用をしている場合ではない」というコメントとして紹介された。細かなことかもしれないが、「GPIFは資金流出主体だ」という発言が「積立金が毎月目減りしている」というように微妙に違う表現になっている。
日本語的にはほとんど同じ意味に取られるかもしれないが、運用上この二つは異なるもの。
3月12日に東京ドームシティ プリズムホールで行われた「投資戦略フェアEXPO2016」で開催したセミナー「“Bye – bye Abenomics” でどうなる?日本株」でもお話ししたが、今後の株式市場の展開を考える上で、「GPIFが資金流出主体である」という点は重要な要素となる。
2014年10月にGPIFは、国内債の比率を減らし、国内外の株式の比率を引き上げるという基本ポートフォリオの変更を行った。それ以降、株式市場ではGPIFを中心とした公的年金の買いを常に意識することになった。
しかし、「GPIFが資金流出主体である」という現実は、GPIFが株式を購入出来るのはポートフォリオの変更によって株式の組入れ比率を引き上げる時だけでしかないということを意味する。
さらに、「GPIFが資金流出主体である」ということは、GPIFが年金給付のために保有資産を売却して現金に換えなければならないという宿命を負っていることでもある。
2014年度にGPIFが年金給付のために取り崩した資産はネットで4兆5000億円強である。仮に国内株式の投資比率が25%のGPIFが年給付のために毎年4兆円の資産売却を余儀なくされるとしたら、GPIFは毎年1兆円の国内株式の売手になるということだ。
GPIFが安定的売り手になるということは、市場に2つの影響を及ぼすことになる。
それは「株価の下落」と「ボラティリティーの低下」である。
この辺の詳細は有料メルマガ「近藤駿介のAnother Sense『マーケット・オピニオン』」やセミナー等で適宜お伝えしていくので、そちらを参考にして頂きたい。
「資金流出主体」であるGPIFの基本ポートフォリオを国内外の株式の組入れ比率を高める方向に変更したということは、将来の売却額を増やすことでもある。そして、こうした世界最大の投資家であるGPIFの売りを、政府の意をくむ形で吸収できる主体は、昨年11月に上場したグループ以外にないのが現実。
これは、国民が公的年金を通して損失を受けるか、貯蓄を通して損失を認識するかという形の違いで、国民が公的年金運用改革のツケを払うことには変りはない。
この辺りも取材を受ける度にお伝えすることだが、活字や画面では決して報じられない部分。
「GPIFが資金流出主体」となった今、GPIFは30年後を睨んで運用できる状況にない。それは、現在損失を出すということは、将来世代の元本を減らすことになるからだ。日本の公的年金の運用を「長期で考えろ」という主張は、「今の失敗には目を瞑れ」「結論を先延ばししろ」と言っているのと同義でしかないという認識が必要だ。



