記事

【パナマ文書の衝撃】

Panama Papersが話題ですね。中身はさんざん出ていますので、別の視点から。International Consortium of Investigative Journalists のGerald RyleやEurasia GroupのIan Bremmer らが登場したラジオ番組(米NPRのOn Point)がおもしろかったのでご紹介します。

画像を見る

IT技術の進展で、これまで隠されていた情報が簡単に拡散できるようになり、強制的に公開されることをforced transparency through technological empowerment とブレマー氏が表現していました。Forcedtransparencyとはうまいですね。

Gerald Ryleは、ICIJの調査報道記者兼ディレクター。 The Guardian, McClatchy newspapers, Fusionなど世界 100を超える報道機関と連携して、取材にあたったそうです。ラジオ番組ではNY Times など大手メディアにも声をかけたものの、承諾を得られなかったと言っています。大手は、何でも独自に取材をしたかったのだろうということを示唆しています。

一方のNY TimesはPanama Papers: Why No Big Splash or Times Participation?(パナマ文書:なぜNY Timesは騒がず、取材に参加していないのか?)を公表。「ICIJから連絡を受けていたが違うテーマだった」と釈明しています。

ICIJは、取材のための組織をこえた情報共有をradical sharingと呼んでいます。チームとして参加したメディアにはすべての情報を共有する一方で、公開にあたっては解禁 (embargo)を順守することだと説明しています。

IT技術の進展でこうした取材方法はさらに増えるだろうと、Gerald Ryleは解説しています。最初にまず政治家などのpublic figureを対象に公表し、このあと芸能関係者ら徐々に公開対象を増やすとしています。

Ian Bremmerの論点はざっくりこんな感じ。

画像を見る

Pentagon Papers, Wiki-leaks, Snowden Fileと、これまでも様々な情報が世に出されてきた。今回の Panama Papersは桁違いに大規模な情報のリークだが、どれも forced transparencyと言える。

公開するつもりのない情報が勝手に公開されたものだ。この背景として考えなければならないのは、広がる格差。アメリカの大統領選挙戦を見ても、多くの国民が格差拡大に不満なのがよく分かる。

今回の文書が出た結果、先進国の政府や個人は倒されるだろう。現にアイスランドで起きた。

一方、独裁国家では、文書が出た結果、多くの人の命がかかっている。多くの貧しい国民から資産を盗む形で私腹を肥やしてきた場合、暗殺されかねない事態だ。こうした情報のために人は死に、人は殺される(this is the kind of information that people die for and kill for)。まさにそうした情報だ。

自分が首脳から一番、寵愛を受けていると思っていたら、そうでないことが今回の文書で赤裸々になってしまったのだ。ある種、革命的なことが始まる

本来は秘匿されると思っていた情報がIT 技術を通じて強制的に公開できる時代になったのだ(an era of forced transparency through technological empowerment) 。

北朝鮮がソニーピクチャーズの電子メールを暴露した時は、ハリウッドでは女性の方が男性より給与が低いということが明らかになった。それだけ。

ところが、Bank Of America といった大手銀行、Exxon Mobileといった巨大なグローバル企業のメールがいっせいに暴露されれば、その銀行/企業を倒産に追いやることだってできる。

つまり、強制公開によって世界は、地政学的にも経済的にもいっそう不安定になる(more geopolitical volatility, more economic volatility)

あわせて読みたい

「パナマ文書」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    iPhone12 ProMaxからiPhone13 ProMaxに買い替えた結果

    永江一石

    09月27日 14:35

  2. 2

    米タイム誌が評価した隈研吾氏の新国立競技場が「負の遺産」に

    渡邉裕二

    09月27日 09:00

  3. 3

    不誠実な政治家は国民が生んだ?菅首相の弁論回避が合理的になった理由

    物江 潤

    09月27日 10:26

  4. 4

    詐欺が増加する不動産取引 司法書士はリスクに見合う仕事なのか

    内藤忍

    09月27日 15:28

  5. 5

    スーパーシティって何だ?

    ヒロ

    09月27日 10:32

  6. 6

    世襲だらけの非自由非民主党の総裁選は選挙の顔で選ぶのか

    篠原孝

    09月27日 18:40

  7. 7

    次の総理・世論調査 「立憲支持者も河野1位」の驚愕

    田中龍作

    09月27日 14:50

  8. 8

    TPPの厳しいハードルを迅速にクリア出来るのは中国か?台湾か?

    船田元

    09月27日 14:56

  9. 9

    緊急事態宣言とまん延防止措置、30日で全面解除の方針固める 政府

    ABEMA TIMES

    09月27日 20:09

  10. 10

    【読書感想】スポーツとしての相撲論 力士の体重はなぜ30キロ増えたのか

    fujipon

    09月27日 11:28

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。