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- 2016年04月06日 06:34
「奨学金のせいで結婚が出来ない」という勘違いについて。
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先日、奨学金に関するアンケート調査が公表された。奨学金の返済が重荷になって結婚に影響している人が3割もいるという。
奨学金の返済で困っているワカモノが増えている、という報道を目にしている人は多いと思う。先日も野党が返済不要の奨学金制度の設立を政策として掲げるなど度々話題にのぼるが、制度や仕組みについて誤解も多い。奨学金のせいで結婚ができない、というアンケート結果はその一つと言えるだろう。これは奨学金の制度に限らず、そもそも借金の仕組みを理解せずに借りている人が多いことも影響している。
これは結婚をしたいと考えているカップルが、それぞれ一人暮らしをしている状況と、一緒に暮らしている状況を比較すれば簡単に分かる。
例えばアパートで一人暮らしをした時に家賃が毎月6万円かかるとする。二人で別々に借りれば12万円だ。一緒に暮らして10万円の賃貸マンションを借りれば、それだけで月に2万、年間で24万円も負担が軽減する。
一緒に住むことで、電気・水道・ガス・電話・NHKといった公共料金系の支払い、さらに食費の軽減効果等も加われば最低でも1万~2万円程度は浮くだろう。低めに見積もって軽減効果を月に1万円とすれば、家賃の軽減効果と合わせて月に3万円、年間36万円となる。節約しようと思えばもっと負担は減らせる。
日本学生支援機構のパンフレットには、奨学金を毎月5万円、4年間借りた場合の借入額は240万円、これを15年で返した場合の返済額は月に14,017円となっている(利息負担ありの二種、固定金利0.63%の場合)。この返済額は上記でシミュレーションをした生活費軽減の効果を上回る。夫婦ともに240万円、合計で480万円を借りている場合でも、返済額は毎月2.8万円と、先ほど低めに見積もった軽減額を下回る。
こういった生活費の軽減効果は子どもの大学進学時に、実家から通う場合と一人暮らしをする場合を比較すれば容易に分かる。地方に住む家庭から東京の大学に通うために上京する場合、学費以外に生活費の負担も発生する。これは重く家計にのしかかる。つまり複数の人が一緒に暮らす場合とバラバラに暮らす場合の生活費を考えれば、一緒に暮らす方が当然少ない。
また、奨学金の返済はあくまで個人に紐付いたものであり、例えば夫の収入が減って返済が出来なくなった場合でも、妻の側に返済の義務はなく返済の減免措置もあるが、一緒に暮していればそうも言ってはいられない時もあるだろう。そんな時でも、共働きで収入源が2つあれば返済が滞らずに済む可能性を高めることは可能だ。夫婦であれば一時的に相手に頼る事はなんら恥ずかしいことではないだろう。
すでに説明したように、奨学金は結婚の障害にはならず、それどころか結婚をした方が返済はラクになることはちょっと計算をすれば簡単に分かる。奨学金があるから結婚できない、という話は「気分の問題」でしかない。借金が無く、収入も増えて安定した状態で新婚生活を迎えたいという考えは当然誰でもあると思うが、それはあくまで理想の話だ。大学生の3人に2人が奨学金を借りる現在、奨学金があるからこそ結婚して返済の負担を減らした方が良いということになる。
結婚に伴う費用についても、現在ブライダル業界は「ナシ婚」と言って、結婚式を挙げないカップルが半数にのぼる事が死活問題になっている。数万円程度で小規模な結婚式を挙げられるサービスも人気を博している。結婚式や新婚旅行に何百万もかけるカップルは決して多数派では無いし、当然義務でもない。
子どもが生まれれば妻の収入は一時的に途絶え、子育て費用の負担も発生する。しかし、結婚したらすぐに子供をつくらないといけないという決まりがあるわけでもない。奨学金の返済にめどが付いたら子供の事を考えよう、ということで問題は無いだろう。
二人とも収入が低くて独立して生計を立てることが厳しいというのであれば、奨学金の返済が無くても生活は苦しいだろう。問題は収入が低いこと、多額の学費をかけて大学に通ったのに収入に結びついていないことであり、奨学金の有無が問題ということにはならない。
なぜ奨学金が結婚の障害になるかのような誤解、勘違いがまかり通っているのかを考えると、これはやはり借金という仕組みに対する無理解が根底にあると思われる。
※この記事では奨学金の功罪や返済義務があるのはおかしいといった議論には触れず、既に返済義務を負った人がどのように行動すべきか、という視点で話を進める。奨学金の仕組みに関する議論は「奨学金の取り立てを強化すべき理由」を参考にされたい。
「労働者福祉中央協議会(中央労福協)が、奨学金を借りている34歳以下の働く男女に行った調査で、回答した2061人のうち、「奨学金返還が結婚に影響している」としたのは31.6%に上ることが29日、分かった。出産への影響があるとの回答は21.0%あった。」
奨学金の返還「結婚に影響」3割 中央労福協調べ 日経新聞 2016/2/29
奨学金の返済で困っているワカモノが増えている、という報道を目にしている人は多いと思う。先日も野党が返済不要の奨学金制度の設立を政策として掲げるなど度々話題にのぼるが、制度や仕組みについて誤解も多い。奨学金のせいで結婚ができない、というアンケート結果はその一つと言えるだろう。これは奨学金の制度に限らず、そもそも借金の仕組みを理解せずに借りている人が多いことも影響している。
■奨学金がある人こそ結婚すべき。
最初に結論を書いてしまうと、奨学金が残っているから結婚が出来ないという考えは勘違いであり、間違った思い込みである。一切気にせず結婚して良い。もっと言えば奨学金の返済が苦しい人ほど結婚すべきだ。これは結婚をしたいと考えているカップルが、それぞれ一人暮らしをしている状況と、一緒に暮らしている状況を比較すれば簡単に分かる。
例えばアパートで一人暮らしをした時に家賃が毎月6万円かかるとする。二人で別々に借りれば12万円だ。一緒に暮らして10万円の賃貸マンションを借りれば、それだけで月に2万、年間で24万円も負担が軽減する。
一緒に住むことで、電気・水道・ガス・電話・NHKといった公共料金系の支払い、さらに食費の軽減効果等も加われば最低でも1万~2万円程度は浮くだろう。低めに見積もって軽減効果を月に1万円とすれば、家賃の軽減効果と合わせて月に3万円、年間36万円となる。節約しようと思えばもっと負担は減らせる。
日本学生支援機構のパンフレットには、奨学金を毎月5万円、4年間借りた場合の借入額は240万円、これを15年で返した場合の返済額は月に14,017円となっている(利息負担ありの二種、固定金利0.63%の場合)。この返済額は上記でシミュレーションをした生活費軽減の効果を上回る。夫婦ともに240万円、合計で480万円を借りている場合でも、返済額は毎月2.8万円と、先ほど低めに見積もった軽減額を下回る。
こういった生活費の軽減効果は子どもの大学進学時に、実家から通う場合と一人暮らしをする場合を比較すれば容易に分かる。地方に住む家庭から東京の大学に通うために上京する場合、学費以外に生活費の負担も発生する。これは重く家計にのしかかる。つまり複数の人が一緒に暮らす場合とバラバラに暮らす場合の生活費を考えれば、一緒に暮らす方が当然少ない。
また、奨学金の返済はあくまで個人に紐付いたものであり、例えば夫の収入が減って返済が出来なくなった場合でも、妻の側に返済の義務はなく返済の減免措置もあるが、一緒に暮していればそうも言ってはいられない時もあるだろう。そんな時でも、共働きで収入源が2つあれば返済が滞らずに済む可能性を高めることは可能だ。夫婦であれば一時的に相手に頼る事はなんら恥ずかしいことではないだろう。
■奨学金があるのに結婚するのは非常識?
この程度の話は延々と説明するまでも無いと思うのだが、先ほどの調査結果のみならず「奨学金 結婚」で検索すると、ネット上にある各種相談サイトで奨学金が残っているから結婚できない、あるいは相手が多額の奨学金を抱えているから結婚に踏み切るのが不安といった書き込みが多数ヒットする。中には奨学金が残ってる状態で結婚するなんて非常識と主張する人もいて、ずっこけそうになってしまった。すでに説明したように、奨学金は結婚の障害にはならず、それどころか結婚をした方が返済はラクになることはちょっと計算をすれば簡単に分かる。奨学金があるから結婚できない、という話は「気分の問題」でしかない。借金が無く、収入も増えて安定した状態で新婚生活を迎えたいという考えは当然誰でもあると思うが、それはあくまで理想の話だ。大学生の3人に2人が奨学金を借りる現在、奨学金があるからこそ結婚して返済の負担を減らした方が良いということになる。
■結婚生活にお金はかからない。
収入が低くてとても結婚出来ない、という人は大抵の場合大きな勘違いをしている。上記の通り一緒に生活すれば生活費は軽減する。結婚に伴う費用についても、現在ブライダル業界は「ナシ婚」と言って、結婚式を挙げないカップルが半数にのぼる事が死活問題になっている。数万円程度で小規模な結婚式を挙げられるサービスも人気を博している。結婚式や新婚旅行に何百万もかけるカップルは決して多数派では無いし、当然義務でもない。
子どもが生まれれば妻の収入は一時的に途絶え、子育て費用の負担も発生する。しかし、結婚したらすぐに子供をつくらないといけないという決まりがあるわけでもない。奨学金の返済にめどが付いたら子供の事を考えよう、ということで問題は無いだろう。
二人とも収入が低くて独立して生計を立てることが厳しいというのであれば、奨学金の返済が無くても生活は苦しいだろう。問題は収入が低いこと、多額の学費をかけて大学に通ったのに収入に結びついていないことであり、奨学金の有無が問題ということにはならない。
なぜ奨学金が結婚の障害になるかのような誤解、勘違いがまかり通っているのかを考えると、これはやはり借金という仕組みに対する無理解が根底にあると思われる。
※この記事では奨学金の功罪や返済義務があるのはおかしいといった議論には触れず、既に返済義務を負った人がどのように行動すべきか、という視点で話を進める。奨学金の仕組みに関する議論は「奨学金の取り立てを強化すべき理由」を参考にされたい。



