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3周年を迎えた「職親プロジェクト」。出所者支援の成果と見えてきた課題

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「再犯が減れば、自分たちに振りかかる犯罪も減る」

雲水・立花太郎代表(撮影:畠山理仁)
 今回開かれた3周年記念シンポジウムでは、「職親プロジェクト」の参加企業から巣立ち、独立開業を果たした2名からも報告があった。  壇上に上がって発表したのは、リサイクル業を営む「雲水」代表の立花太郎さんと、花卉栽培農家「ニューフラワー」代表の川島光一朗さんだ。  立花さんは言う。

「自分の場合は、社長のようになりたい、この人のようになりたいという憧れがあった。男同士でも、『この人についていきたい』と思わせるような人がいれば、立ち直れる人も増えると思います。もちろん企業が面接していく中で、気になることはあると思います。『こいつ、本当のことを言っているのか?』『辞めるんじゃないか?』『来ないんじゃないか?』と。

 もし、面接する側に少しでもそういう疑いの気持ちがあれば、(出所者は)来ません。本気で最初から100%心を開いて、『何がしたいのか』と聞いてみてください。そして夢を語らせたら、100%応援して下さい。それができたら、裏切りません。悪いことをする人は、意外と情に厚い。『こいつの親父になってやる』という気持ちでやってくれれば、いなくなるパターンは減ると思います」

ニューフラワー・川島光一朗代表(撮影:畠山理仁)
 川島さんも自身の更生経験を踏まえながらこう述べた。

「再犯率を下げるためには、コミュニケーションと仕事のおもしろさが大切ではないか。『仕事をして頑張ったら、こういう喜びがあるよ』というのを退所者に教えれば伸びるんじゃないか。あれはダメ、これはダメ、というと、決まりごとができてしまって伸びない」

 立花さん、川島さんの話を会場で聞いて感じたことがある。それは出所者を受け入れる側の会社の意識と、社会に出たばかりの出所者との意識の違いだ。現在は二人とも就労者を受け入れる側だが、立花さんは職親参加企業の「株式会社ヒューマンハーバー」で就労を始めたばかりの自分をこう振り返り、報告を締めくくった。

「無断欠勤、寝坊遅刻は当然。そのわりには『僕は仕事しています』といっぱしのことを言う。普通の人からするとやっていないが、自分たちからするとやっている。そういう意識の違いがある。そこを見放さずに面倒を見きれるかどうかにかかっている。

『あいつにもできたんだから、おれにもできる』と思って下さい。再犯が減れば、自分たちに振りかかる犯罪も減ります。自分の子どもが被害者になる確率も減ります。自分が犯罪をやってきてなにを今更と思われるかもしれませんが、犯罪者を減らすことに協力したいと思っています」

“予定調和”で終わらぬトークセッション

トークセッションの様子。左から司会の中村すえこさん、堀江貴文氏、中井政嗣氏(撮影:畠山理仁)
 3周年記念シンポジウムの最後には、「矯正施設と更生支援のあり方」と題したトークセッションも行われた。講師として登壇したのは、「職親プロジェクト」の中心メンバーである千房株式会社の中井政嗣社長と、刑務所での服役経験もある実業家の堀江貴文氏だ。

 こうしたイベントでのトークセッションの場合、予定調和で終わることも珍しくない。しかし、今回のトークセッションを会場で聞いた率直な感想は、「再犯率を下げることを目標にしていても、立場や経験で話が噛み合わないことが多々ある」というものだった。そしてこの「食い違い」が「職親プロジェクト」の難しさを表しているようにも思えた。

中井政嗣氏(撮影:畠山理仁)
たとえばトークセッションの冒頭、中井氏が「少年院は罪を償うところではない。矯正、育てるところ。刑務所も社会にどう役立てるかという『生き直しの場所』だ」と発言すると、堀江氏は即座に疑問を投げかけた。

「それはレベルの高い話で、1〜2%の上位の話。僕はもっとすごいレベルの低い話から実現しなきゃいけないと思っています。

 刑務所に入ると最初に訓練工場で2週間の新人研修をやりますが、そこで言われるのは『再犯率は五割を超えている。注意しろよ』ということ。まずは再犯率を下げることが一番ハードルの低い目標になるが、実際には半分以上が再犯している。つまり(刑務所での取り組みは)成功していない」

 その理由を堀江氏は次のように分析した。

「刑務所を運営している法務省の官僚が『真面目君』なんです。そもそも犯罪者を刑務所に入れても、私が刑務所の中で会ってきた多くの人たちは『おれは悪くない』と思っています。そんな彼らに『お前ら悪いことして刑を受けて償って、次からは正しい道を生きなさいよ』と建前論でやっても成功しません」

 それではどうすれば成功するのだろうか。中井氏が堀江氏にアドバイスを求めると、堀江氏は自身のアイデアを披露した。

「技術的に再犯率を下げるためにはどうすればいいかというのは、ある程度わかる。  たとえば道交法違反は、車の運転を禁止すればOK。これは技術的には自動運転車で10年以内に可能になる。その前段階として、自動ブレーキや飲酒検知装置を備えることでも再犯率が下がる。

 性犯罪は、病気、性癖で、浮き上がってくる衝動を抑えることができないから再犯率が非常に高い。すでに自主的に行なっている人もいるが、薬物投与やホルモン治療をすることで再犯率は下がる。アメリカであれば、GPSの着用を義務付けたり、性犯罪者の住所を公開したりする取り組みもある。

 覚せい剤も再犯率が高いが、あれも依存症という病気です。ニコチン中毒の治療に使われるようなパッチ治療や、覚せい剤を打ったら気持ち悪くなる薬の投与を義務付けるなどの方法も考えられる。  これは突拍子のない話を言っていると思われるかもしれませんが、『覚せい剤特区にいる限りは打てる』とかもやってみて、効果があるのかどうなのかを試してみたっていい。  改めて裁判起こして収容して出すまでにはコストがかかる。それを考えても、それぐらいディープな議論をして、どうやれば一番減るのかを考えたほうがいい」

 堀江氏の提案に、会場に集まった参加者たちは明らかに戸惑っていた。しかし、これこそが多様性のある社会だ。現在行われている再犯防止策が目覚ましい効果を上げていないなら、どんな意見も何らかの参考にはなる。

 議論の途中、中井氏が「職親参加企業はみなさん一生懸命やっておられる」と会場に集まった関係者をねぎらうと、堀江氏は元犯罪者の心理をこう説明した。

堀江貴文氏(撮影:畠山理仁)
「それが厳しい。期待されればつらい。元犯罪者は心が弱い。戻ってきて、まじめにやれよというのはプレッシャーだと思う。期待されることでプレッシャーに感じて、逃げてしまう人がかなりいることも知ってほしい。  助けることが悪いんじゃない。もっとゆるい感じがいい。建前論での更生論はキツイ。立ち直る人も一定数はいるが、10人が10人違うから、入り口の段階で個別のカウンセリングが必要だと思う。思い込みは排除して、ゼロベースで考えないと結果がついていかない。トライアンドエラーでやっていくしかない。それに、もっと一般の人達にもPRしていくべきです。地道にみんな活動すれば仲間が増えてくるんだという甘い世界ではない」

 再犯率を下げるための取り組みはこれからも続く。その先には困難も予想される。それ故に大きな意義があるとも言えるだろう。
[ PR企画 / 日本財団 ]

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