- 2016年04月02日 07:46
【大統領選挙と通商アレルギー】
大統領選挙と言えば、毎回、自由貿易が悪者にされますが、今回も例外ではないですね。
画像を見る(写真はすべてWashington Post)
米ワシントンのシンクタンクPew Research CenterのBruce Stokes がアメリカ人の通商に対する意識をまとめました。自由貿易協定( FTA)はアメリカにとって良いことか、悪いことか?
このグラフがおもしろいです。
画像を見る2009年には共和党支持者の方が「良いことだ」が多かったのに(共和党59%、民主党51%)、2016年は共和党側で急落 (共和党39%、民主党59%)。
よく共和党議員の方が貿易自由化に理解があると聞きますが、支持層を見ると必ずしもそうではないようです。
アメリカの自由貿易協定の代表格がTPP。アメリカ議会のTPP承認の時期についてアメリカ政府関係者に聞くと、ことし11月8日(火)の大統領選挙と議会選挙が終わった後、次期議会が始まる2017年1月3日までの議会(いわゆるlame duck session)で必要な法案が通るとみんな言います。
オバマ大統領の強い決意、共和党のライアン下院議長の水面下の交渉などを理由に挙げています。ただこの調査結果を見ると、共和党がそこまで本当に票をまとめられるのか疑問も!
65歳以上の白人の男性がとりわけ反対していますが、この20年くらいで、外国との競争に負けた産業の工場が閉鎖され、雇用に影響したからではないかと推察します。
Bruceからけさメールで送られてきた資料は、ざっくりこんな感じです。
画像を見る通商や自由貿易協定は、2016年大統領選挙で共和党・民主党の両方から厳しい目で見られている。
画像を見る共和党のトランプ氏、クルーズ氏、民主党のクリトン氏、サンダース氏の全員が TPPに反対している。
画像を見るPewは「自由貿易協定はアメリカにとって良いことか、悪いことか?」を聞いてきた。最新の調査によると、共和党の中でもとりわけトランプ氏の支持者での間で反発が強い。
このうち、65歳以上の白人の男性が特に通商に対する反対が強い。民主党のクリントン氏とサンダース氏はどちらもTPPには反対の姿勢を打ち出しているが、支持者はと言うと、自由貿易協定がアメリカにとって良いことだと見ている。
最近、自由貿易協定に対するアメリカ人全般の見方が厳しくなっている。51%が良いことと答えている一方で、 39%が悪いことと答えている。自由貿易協定の支持がもっとも高かったのは2014年(59%)。
画像を見る自由貿易協定に対する前向きな評価は民主党支持者の方が高い(60%が良いこと、30%が悪いこと)。一方、共和党支持者は自由貿易協定に対する支持が低い(40%が良いこと、52%が悪いこと)。
共和党支持者のうち、トランプ支持者はとりわけ自由貿易に反対である。トランプ支持者の67%が自由貿易は悪いことと言っている(27%が良いこと)。共和党のクルーズの支持者は48%が良いこと、40%が悪いことと言っている。
画像を見る民主党のクリントン支持者は、58%が良いこと、31%が悪いこと。民主党のサンダース支持者も似たような傾向で55%が良いこと、38%が悪いことと答えている。
画像を見る人口動態別にみると、白人は意見が割れている。45%が良いこと、46%が悪いこと。黒人とヒスパニック系は、自由貿易協定に明らかに賛成である。
男女別に見ても意見が割れている。女性は54%が良いこと、34%が悪いこと。男性は48%が良いこと、45%が悪いこと。白人の男性に限ると、52%が悪いこと、40%が良いこと。
年齢別にも見てみよう。18歳から29歳の若者層は67%が良いこと、25%が悪いこと。65歳以上の層では、41%が良いこと、47%が悪いことと答えている。年齢別の意見の違いが鮮明である。