- 2016年04月01日 20:39
クールなオコエ瑠偉 ルーキーたちに見る情報処理能力 - 赤坂英一
先週末から開幕したプロ野球、今年は例年以上に新人たちの活躍が目立つ。金本知憲新監督にスタメン1番に抜擢された阪神のドラフト1位・高山俊(明大)をはじめヤクルト・原樹理(東洋大)、DeNA・今永昇太(駒沢大)、巨人・桜井俊貴(立命館大)ら同じドライチの即戦力投手も開幕から先発ローテーション入り。広島のドラフト6位・仲尾次オスカルも負けじと、27日のDeNA戦で新人投手一番乗りの初勝利を挙げて見せた。
小姑指導者も何のその
毎年新人たちを見ていて感じることだが、彼らは活躍すればするほど周りに〝小姑〟が増える。頼まれてもいないのに、ああしろ、こうしろ、いいことを教えてやろうと監督やコーチはもちろん、OBの評論家が群がってくる。その最たる例が楽天のドラフト1位・オコエ瑠偉(関東一高)だ。試合前の練習中に池山隆寛、礒部公一両打撃コーチ、米村理外野守備走塁コーチが入れ替わり立ち替わり指導。人気者だから記者や評論家にもしょっちゅう声をかけられて、さぞや頭の中が混乱しているのではないかと心配になってくる。
ところが、オコエ本人はクールそのもの。「コーチにはいろいろなことを言われてますが、自分にプラスになるものだけを生かしていこうと思ってます。教えられたことを全部覚えきれるものではないし、池山さんからも何でも言われた通りにする必要はないと言われてますから」と話している。打撃練習中、脇を締めるのに使っているゴムチューブなども、コーチに押しつけられたわけではなく、自分の考えで取り入れたものだそうだ。
〝小姑〟にあれこれ言われる以前に、自ら積極的にアドバイスを求めているルーキーもいる。ヤクルトの原樹理はキャンプ中、学生時代から興味を抱いていた先輩・小川泰弘の下へ〝弟子入り〟した。「軸足にしっかりと体重を乗せること。腕を振るときに力み過ぎないことが大事だ」と教えられた。成瀬喜久には「コントロールを意識するあまり、コーナーの四隅を突こうとしたらかえって制球を乱す」との助言をもらったという。さらに、新外国人のデイビーズにも「自分の持ち球のシュートを生かしたいからスライダーの投げ方を教えてください」と頼み込んでいた。
ドラフト1位で入ってくる新人には自信もプライドもある。周りが下手にあれこれいじろうとしてはかえって逆効果だ、と指摘する声もプロ野球界では根強い。しかし、元西武監督・渡辺久信(現シニアディレクター)にインタビューしたとき、彼は「今時の新人にはいくら教えても教え過ぎということはありませんよ」とこんなことを言っていた。
デジタルネイティブ世代
「現代の新人は、ぼくたちが新人だった時代とは置かれている環境がまったく違います。彼らは子供のころから携帯電話やパソコンを使っていて、膨大な量の情報を収集してるでしょう。テレビやラジオしかなかったぼくらと違って、小さいときから情報の洪水の中で生きてる。そのおかげで、プロに入ってくる前から、高度な情報処理能力を身につけてるんですよ。おれだったら頭がグチャグチャになるほどの話をされても、彼らは自分の頭の中で、必要なものとそうでないものを短時間のうちに取捨選択できちゃう。個人差もありますけど、最近の新人はいくら詰め込んでも詰め込み過ぎということはないでしょう」
逆に、「こちらからいちいち教えることはない」と首脳陣を感心させているルーキーもいる。DeNA・ラミレス監督は就任直後、「捕手には1球1球ベンチからサインを出す」と公言していたが、ドラフト4位の新人捕手・戸柱泰孝(NTT西日本)には「そんな指示をする必要はない。開幕戦からリードはずっと彼に任せているよ」と話していた。今後はプロの壁にぶち当たることもあるだろうし、スタメン落ちも経験するかもしれないが。
なかなかの個性派に加えて、〝頭脳派〟も多い今季の新人、この中で何人が生き残れるのか。今季の大きな見どころである。
【編集履歴】巨人・桜井は3月31日のDeNA戦に初登板、初先発でプロ初黒星。翌31日、再調整のため、登録抹消となった。
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