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イエレンFRB議長、早期利上げ観測を一蹴

Yellen Dismisses Early Rate-Hike Outlook With Dovish Stance.

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、あらためて「慎重」な姿勢を打ち出しました。おかげで、FF金利先物動向でみた6月利上げ織り込み度は前日の38.0%から28.0%へ低下しています。米株も3指数がそろって上昇、ダウとS&P500は終値で年初来高値を更新しました。

NYのエコノミック・クラブで行った講演のタイトルからして、「見通し、不透明性、そして金融政策(The Outlook, Uncertainty, and Monetary Policy)」とハト派寄りなムードが立ち込めてきます。気になる注目ポイントは、以下の通り。

・FF金利見通しは、予想(forecast)であって確定した道筋ではない。
・世界経済と金融動向に合わせ、金融政策を考案する上で特に必要な条件は「忍耐(patient)」である。
・3月にFF金利が示す年内利上げ示唆を4回から2回へ変更したが、成長やインフレ見通しなどが2015年12月から大きく変わったわけではない。
・均衡実質金利はマイナス1~マイナス0.25%にあり、逆風が収まれば徐々に上向きFF金利も併せて上昇させていく。

・成長見通しにおける第一の懸念材料は、中国の輸入動向が与える世界成長への影響が大きい。内需主導型への政策転換がいかに円滑に行われるのか、通貨政策が与えた市場への混乱も不透明感を増幅した。
・第二の懸念材料は、原油を中心とした商品先物価格。米国で消費を促進する一方、産油国の政府支出を抑制し、エネルギー企業の人員削減につながるほか(業績不振、資金繰り困難で)金融引き締め効果を与える。
・以上、2つの下方リスクが実現すれば米国の経済活動を鈍化させ、投資家はリスク資産に高いプレミアムを求め、金融環境は引き締め寄りになる。

・インフレ見通しは、不透明性強まる。世界経済動向をはじめ原油安、ドル高が要因で、米国の成長軌道も事前予想以下にとどまる公算で賃上げや物価の伸びが鈍化しうる。
・インフレ目標値2%の達成までに時間が掛かるのであれば、さらに緩和寄りスタンスが必要となる可能性もある。
・ただしインフレが加速する場合に備え、賃金と物価指標を注視し続けなければならない。

・金融政策は、以上のリスクを踏まえ慎重に(cautiously)調整を進めることが適切と考える。
・市場関係者は、FOMCが経済指標に沿って金融政策を舵取りしていくと認識しているようで経済指標は市場の政策織り込み度に変化を与え、それによって引き起こされる金利の低下が、経済や株式市場や“自動安定装置”として機能した。
・経済状況が力強さを増せば利上げを順次行っていくが、状況に応じゼロ金利政策へ戻す場合もありうる。
・ゼロ金利政策へ反転させたとしても、政策余地が限られていると誇張すべきではない。他の中銀の成功例に則り、量的緩和(QE)やフォワード・ガイダンスを採用できる。

JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、講演を受けて「3月16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)後に行った記者会見でのハト派寄りな見解を補強し、繰り返した」と振り返る。特に、世界経済の減速リスクをめぐっては「中国を強調した」とも指摘。インフレ動向では「下方リスクに警戒を促し、上方リスクへの言及は限定的だった」とし、あくまで慎重な見解に終始したと結ぶ。さらに「FRB議長こそFOMCを代表した見解を表明していると説き、他の参加者はあくまで自身の意見を述べるに過ぎない点を明示した」ともコメントした。

シティグループは、講演後に年内の利上げ予想を2回から1回へ修正した。時期は9月あるいは12月を見込む。

バークレイズのマイケル・ゲイピン米主席エコノミストは、結果に対し「当方は6月と12月の2回の利上げ予想を維持するが、英国の国民投票などを控え1回にとどまるリスクが高まりつつある」との見方を示した。

――足元でCNBCが「FOMC参加者の反乱(Fed Chair Yellen has a mini revolt on her hands)」と報じたように、セントルイス連銀のブラード総裁などが4月利上げ論を主張していました。FF先物の織り込み度が上向きつつあるなか、フェローリ米主席エコノミストが指摘したように、火消しにまわった格好です。こちらで指摘させて頂いたように、6月以降はイベントが目白倒しですから、非常に慎重な性格のイエレンFRB議長が早々に利上げを決断するとは考えられません。

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