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直ちに違憲無効とは言えない新安保法制

日本のこれまでの憲法法制、憲法秩序を蔑ろにしている面が強い、という一点で批判的にならざるを得ないのだが、だからと言って今日から施行された新安保法制が一見明白に違憲で無効だとまで断言するつもりはない。

結局はこれからの運用次第に係っているし、具体的運用の段階でここまでは合憲有効で、そこから先は違憲無効となるということもあるから、新安保法制が成立、施行されたからと言って、将来違憲無効と裁判所によって判断されてしまうようなことはそもそもやるべきではない、という、実に漠とした物の言い方になってしまう。

これが、私のような余りにも平凡で常識的な法曹人、弁護士の限界だと言えば限界かも知れない。

いわゆる憲法の専門の学者や研究者、安全保障、外交、国際関係等の専門家の方々なら、裁判所がどんな結論を出そうが、ご自分の独自の論理、ご自分の独特の世界の論理に基づいてそれぞれに合憲論や違憲論などを展開されても自由だが、結局は独自の議論でしかない。

画一的に現時点でこれが正しい、と断言できないところがあって、一般的な社会通念の変化や社会情勢の変化で合憲、違憲の判断が左右される部分がある。
全面的に賛同は出来ないが、全面的に否定することも出来ないな、というところだ。

まあ、どんな場合でも最後は何とか結論を出さなければならないから、エイヤットと気合を掛けて、これは合憲だ、ここから先は違憲だ、などと言ってしまうのだが、その結論に至るまでは相当に判断が揺れ動くことがある。

基本的にこれ以上は嫌だな、何とかどこかで歯止めを掛けなければならないな、と思ってはいるが、しかし、この段階で違憲訴訟を提起することもないし、安保法制廃止法案に賛成することもない。
あくまで、現行憲法法制、現行憲法秩序の枠内でしか機能しないように新安保法制関連法律の諸条項を読み込んでいくことにしよう、というのが、私の立場である。

多分法制局の人も裁判所の人もそういう思考方法を取るのではないかしら、というのが、私の感想である。
実に悩ましいが、目下のところそうするしか道はなさそうだ。

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