- 2016年03月30日 07:15
「朝9時に出社」って実は楽?──働き方を選べる環境が、社員にとって優しくない理由
1/2多様性の考え方は、どうやったら身に着くもの? 前回に引き続き、「100人100通り」を掲げるサイボウズ社長の青野慶久に、東京農工大学リーディング大学院の学生さんたちが質問を投げかけました。多様性をどう教えるのか? 育休から戻った人に仕事はあるのか? 若者たちからの直球の問いかけに、青野社長が直球で答えます。
*この質疑応答は、東京農工大学リーディング大学院特任准教授・坂根シルックさんの依頼で行われた、青野社長講演会のあとに行われたものです。
リンク先を見る2016年3月25日多様性ばかり追求して、本当に会社は成り立つんですか? 大学生が「100人100通りの働き方」を掲げる社長に聞く
「あなたは、どうなりたい?」を考え続けてもらう
画像を見るいまの日本の教育の中では、「多様性」って身につかない気がします。みんな同じようなレールの上を走って、「みんな仲良く公平に」と教育されてきている。青野さんの会社では「多様性」という価値観を共有するために、何か教えているんですか?
画像を見るほんと日本の学校って、多様性を認めていないですよね。そういうところで過ごしてきた人たちが、サイボウズに入ってくる。
だから、「あなたは、どうなりたいんですか?」ということを問うようにしています。これをみんなに、半期ごととかで考えてもらっている。
サイボウズってよく「選択肢がいっぱいあっていいですね」と思われるんですけど、実際はそんなに優しい環境ではないんですよ。「選べる」ってことは、「責任が発生する」ってことだから。
「朝9時に来い」とか「夜10時まで働け」と言われれば、言われた通りやっとけばいいだけで、実は楽なんですよ。何も考えなくていい。
でもそれが「朝、何時に来てもいいです」「何時に帰ってもいいです」と言われた瞬間に、「えっ、僕、何時に来たらいいんですか!?」となって「知らん」と言われる、これがサイボウズなんですね(笑)。
「好きに選んでいい、でもそれは選んだあなたの責任ですよ」ということですから、結構厳しい。これを「自立」って言います。多様性を維持するには、その自立を、みんなにしてもらう必要があるんです。
自分はどんな風に働きたいのか? 人生において何をやりたいのか? 自分はどんなことをモチベーションとしていて、それを得るために何をするのか?
これを考えて、選択してもらわないといけない。そのトレーニングをすることが、僕たちの仕事かなと思います。
「こうしなさい」とほかの人を縛りたくない
画像を見るいまの質問とも重なりますが、やっぱり日本で普通に育ってきた人が「多様性」の価値観を持つって難しいと思うんです。
外国で暮らすとか、異なる環境に移る経験があると自然と多様性を知ると思うんですけれど。青野社長は、どうやってその価値観を身につけられたんですか?
僕自身はけっこう普通に育ってきたんですよね。外国も行ってない。めっちゃ田舎で、片道1時間くらいかかる学校に通って、兄と僕は“放牧”のように育ってきた(笑)。だから特に多様性を学ぶ環境があったわけではないんです。
ただ、「言われたことをやりなさい」っていうのが、ずっと苦手でした。人にあれこれ言われて、何かしたくない。宿題とかすごい苦手で、手が止まっちゃうんです、やろうという気持ちはあるんですけど。
そういう感性が、多様な存在を受け入れる土台に?
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そうですね。僕の基本的な価値観は、「おれは好きなように生きたい。だから、あなたもそうすればいいんじゃないですか」ということ(笑)。
だから僕は、ほかの社員の人たちに「こうしなさい」とか言って、あんまり縛りたくないんですね。たぶん心のどこかに、それがあるんだろうと思います。
相手との関係性で見えてくるものもある
画像を見る青野さんは「イクメン社長」として有名ですが、ご夫婦の関係性のなかで育まれてきた部分もあるんじゃないかと思います。いろいろなことを、ご家族で話し合ったりして決めているんですか?
画像を見るサイボウズ社長、青野慶久。愛媛県生まれ。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、1994年パナソニック(旧松下電工)入社。1997年にサイボウズを起業し、2005年より代表取締役社長。育児休暇を3度取得。新刊『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)を発売した
画像を見るあぁ、こういう話をしていると、わが家のチームワークもうまくいっていると誤解されがちなんだけど、まったくうまくいっておりません(笑)。
帰ったら僕はもうとにかく、妻の言うことを聞かないといけない。共通のビジョンを作ろう、とか言い出したら、「は?」みたいな。そんなもんですわ。(一同笑)
でもね、おっしゃるとおり、関係性のなかで作られる部分というのはありますね。たとえば僕、畑さん(サイボウズをいっしょに立ち上げたプログラマー。大学で1年上の先輩だった)と接していなかったら、プログラマーになっていた気がするんです。
たまたま、この世代を代表する畑さんというものすごいプログラマーが身近にいたから、プログラマーから離れて、自分の別の個性を探しにいった、その結果、僕は今ここにいる。
それと同じで、いま「イクメン社長」と呼ばれてますけど、もしほかの相手と結婚していたら、絶対にこうはなっていない。自信がありますよ。
子どもも欲しいと思ってなかったし、「仕事で死ねればそれでいい」と本当に思ってましたからね。それが今は3人のパパですよ! 不思議ですよね、人生何があるかわからない。



