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- 2016年03月29日 09:32
政府の待機児童緊急対策は、合格点だったのか
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昨日、塩崎厚労大臣から、政府の待機児童緊急対策が発表されました。政府の有識者会議の委員の立場から、また現場の保育園経営者で2人の子育てしている父親の立場から、僭越ながら細かい解説と評点をさせていただきます。
以下が、今回示された案の中で、重要な点です
財源の問題がネックということですが、そんなわけがありません。江田議員も指摘しています(保育所対策「自民案は的外れ」 江田・民進代表代行:朝日新聞 http://bit.ly/1SrLDz5 )が、公共事業費は7兆円。毎年2〜3兆使い残しているわけです。それなのに3000億が出せない、ということはないのです。
今後、「1億総活躍プラン」において、保育士処遇の改善に踏み込む、ということですが、自民党内の議論を見ていると、4%(8000円増)に毛の生えた程度の額に収まりそうです。官邸のリーダーシップによって、大胆な改善をしなくては、来年も待機児童問題は政権にとっての時限爆弾になるに違いありません
自治体が独自で認証し、補助金を入れている、「準認可保育所」とも言うべき施設があります。東京都であれば、認証保育所。横浜市なら、横浜保育室のようなところですね。
こうしたところが、認可保育所に移行するための支援をもっとしよう、ということなのですが、効果は薄いと思います。というのも、移行できる面積だったり保育士率の園は、子ども子育て新制度施行の年である今年度に、もう移行しているので。
これ、地味に大切です。自治体は、参入意欲がある事業者がいても、「いや、そのエリアは要らないんで」とかいって、門前払いしたりします。江東区も「小規模保育は作らせない」ということを言っていますし、世田谷区も自治体が用意しなくちゃいけない「連携園」を「事業者が確保しないと、認可しないよ」というような、法律に全く書いていないような、勝手なルールを作って障壁を作っているのです。
国がここまで強く書くのは、こうした自治体のどうしようもない勝手なファイアウォール設定に、業を煮やしている、ということの表れです。
そもそもこうした「自治体が認可して、利用したい人たちに必要量だけ配給する」という仕組み自体が、保育所が戦争で父親を亡くした子ども達の救済施設だった時の名残りで、法改正してやめるべきものです。
保育所への参入は明確なルールのもと、誰でも可能で、違反があったら指定取り消し。ポイント制はやめて、保育所と利用者が直接やり取りをする、という仕組みにすれば、行政コストも削減できます。また、公立保育所は、民間保育所ではこぼれてしまうような障害児や、ケアが必要な家庭を中心にお預かりする体制に変えていくのです。
これだけ待機児童が溢れている要因の一つは、認可制という制度そのものです。そして、子ども子育て新制度においては、一度はそれをなくそうと厚労省がトライしたにも関わらず、そのまま残したのは当時の野党だった自民党自身なのです。今、そのしっぺ返しを自民党がくらっている、というのは皮肉なものです。
親の病気や買い物などで、一時的に子どもを預かる一時保育ですが、短時間のパート等の働き方をする方のために、月・水・金は必ず使います、といった定期利用という使い方はこれまでもされてきました。
これを広げて、一時保育で定期利用の枠を作って、待機児童を吸収しよう、と。一時保育は使いにくくなるけれど、定期利用者を優先しつつ、一時保育の枠も増やそうね、と。
これ自体はやったら良いかとは思いますが、問題があります。まず、都市部においては、一時保育の枠は満杯のところも多いです。都内だと「アイドルのライブかよ!」というくらいに、速攻で枠が埋まる、という地域もあります。なので、定期利用の枠って、本当にあるの?と。
よしんば純粋一時保育枠を潰し、定期利用に振り分けたとすると、今度は病気通院で利用するような親が押し出されてしまい、それはそれで問題です。
また、一時保育枠を増やそうと思っても、主体は基礎自治体です。彼らのスピードはものすごく遅いので、国から言われて、計画を立てて、議会承認を経て、とかやっていると、今年度中は無理だね、となるでしょう。
さらに、一時保育も保育士が必要ですので、冒頭の保育士不足の問題からは逃れられません。というわけで、どこまで効果があるかは不透明です
昨日、塩崎厚労大臣から、政府の待機児童緊急対策が発表されました。政府の有識者会議の委員の立場から、また現場の保育園経営者で2人の子育てしている父親の立場から、僭越ながら細かい解説と評点をさせていただきます。
以下が、今回示された案の中で、重要な点です
【保育士給与引き上げ額を示さず】 0点
今回、最もガッカリな点は保育士給与の引き上げについて言及しなかった点。何度も言及していますが、保育士不足が保育園増設の足を引っ張っているのです。そして保育士不足の元凶は処遇が低いこと。財源の問題がネックということですが、そんなわけがありません。江田議員も指摘しています(保育所対策「自民案は的外れ」 江田・民進代表代行:朝日新聞 http://bit.ly/1SrLDz5 )が、公共事業費は7兆円。毎年2〜3兆使い残しているわけです。それなのに3000億が出せない、ということはないのです。
今後、「1億総活躍プラン」において、保育士処遇の改善に踏み込む、ということですが、自民党内の議論を見ていると、4%(8000円増)に毛の生えた程度の額に収まりそうです。官邸のリーダーシップによって、大胆な改善をしなくては、来年も待機児童問題は政権にとっての時限爆弾になるに違いありません
【認証保育所等の認可化移行支援】 30点
リンク先を見る自治体が独自で認証し、補助金を入れている、「準認可保育所」とも言うべき施設があります。東京都であれば、認証保育所。横浜市なら、横浜保育室のようなところですね。
こうしたところが、認可保育所に移行するための支援をもっとしよう、ということなのですが、効果は薄いと思います。というのも、移行できる面積だったり保育士率の園は、子ども子育て新制度施行の年である今年度に、もう移行しているので。
【自治体に積極認可を促す】 90点
リンク先を見るこれ、地味に大切です。自治体は、参入意欲がある事業者がいても、「いや、そのエリアは要らないんで」とかいって、門前払いしたりします。江東区も「小規模保育は作らせない」ということを言っていますし、世田谷区も自治体が用意しなくちゃいけない「連携園」を「事業者が確保しないと、認可しないよ」というような、法律に全く書いていないような、勝手なルールを作って障壁を作っているのです。
国がここまで強く書くのは、こうした自治体のどうしようもない勝手なファイアウォール設定に、業を煮やしている、ということの表れです。
そもそもこうした「自治体が認可して、利用したい人たちに必要量だけ配給する」という仕組み自体が、保育所が戦争で父親を亡くした子ども達の救済施設だった時の名残りで、法改正してやめるべきものです。
保育所への参入は明確なルールのもと、誰でも可能で、違反があったら指定取り消し。ポイント制はやめて、保育所と利用者が直接やり取りをする、という仕組みにすれば、行政コストも削減できます。また、公立保育所は、民間保育所ではこぼれてしまうような障害児や、ケアが必要な家庭を中心にお預かりする体制に変えていくのです。
これだけ待機児童が溢れている要因の一つは、認可制という制度そのものです。そして、子ども子育て新制度においては、一度はそれをなくそうと厚労省がトライしたにも関わらず、そのまま残したのは当時の野党だった自民党自身なのです。今、そのしっぺ返しを自民党がくらっている、というのは皮肉なものです。
【一時保育を、待機児童向けに使う】 30点
リンク先を見る親の病気や買い物などで、一時的に子どもを預かる一時保育ですが、短時間のパート等の働き方をする方のために、月・水・金は必ず使います、といった定期利用という使い方はこれまでもされてきました。
これを広げて、一時保育で定期利用の枠を作って、待機児童を吸収しよう、と。一時保育は使いにくくなるけれど、定期利用者を優先しつつ、一時保育の枠も増やそうね、と。
これ自体はやったら良いかとは思いますが、問題があります。まず、都市部においては、一時保育の枠は満杯のところも多いです。都内だと「アイドルのライブかよ!」というくらいに、速攻で枠が埋まる、という地域もあります。なので、定期利用の枠って、本当にあるの?と。
よしんば純粋一時保育枠を潰し、定期利用に振り分けたとすると、今度は病気通院で利用するような親が押し出されてしまい、それはそれで問題です。
また、一時保育枠を増やそうと思っても、主体は基礎自治体です。彼らのスピードはものすごく遅いので、国から言われて、計画を立てて、議会承認を経て、とかやっていると、今年度中は無理だね、となるでしょう。
さらに、一時保育も保育士が必要ですので、冒頭の保育士不足の問題からは逃れられません。というわけで、どこまで効果があるかは不透明です



