記事

ロビイングで社会を変える / 『誰でもできるロビイング入門』著者、明智カイト氏インタビュー

2/2

――政局によってどの程度影響されるものなのですか。

すごく影響されますよ。いろんな政治家と手を組みます。政党間で異動する人も多いです。ロビイングで一番やりやすいのは、政権交代しないことです。私は2度の政権交代を体験していますが、本当に大変でした。またゼロから作り直さないといけない。

最近は議員定数の削減が議論されていますが、非常に疑問を感じています。なぜなら、政治家は私たちの代表であるわけですから、その人数を減らすとその分損するのは私たちです。

もちろん、私たちの代表と言えるのか?という人もいます。たとえば、選挙である党が大量に当選した場合、比例で名前だけ載せた人が受かることが問題視されています。それは今の選挙制度が悪いのであって、議員の数とは関係ありません。

それに、いま政党の数が多くて超党派でやることがとても大変です。基本的に議員立法は超党派でやります。政党が増えたり減ったりするとそれだけ手続きが煩雑になります。みんな、政党が多いほうが多様な意見をくみ取れると言いますが、あまりにも政党が多いと議論は進んでいきません。

実際に、政党に話を通しているのに、党内で分裂することがあります。党内では、代表がいて、執行部があっていろんな役職の人がいて、手続きが進んでいきますが、政党が分裂・合併するとそのプロセスをもう一度踏まないといけなくなります。何のための政党なのか……と思ってしまいます。小さな政党は多様な意見を形成するためではなく、政党交付金をもらったり、自分の保身のためにあるのではないかと思ってしまいますね。

確かに、小さな政党は話を聞いてくれるかもしれませんが、基本的に何かするのは難しい。国会の中には委員会がありますが、5人しかいないとイシューもたくさん持てない。大きい政党の方がいろんな委員会に人がいますし、委員もいますので話は吸い上げてもらいやすいです。

よし、ロビイングしよう

――ロビイングする際に気を付けることはなんでしょうか。

ロビイングには鉄則があって、与党に行ってから野党に行く。これは、仁義みたいなもので、野党から行くと「失礼」となってしまう。断られてから野党に行けばいい。やはり、どれだけイシューが正しくても、まわる政党の順番が間違ってしまうとそれだけで賛成できなくなってしまう。

やはり政治なので、党内手続きを踏めるのかどうかが大事なんです。自民党の人は「なんで与党なのに、うちからこないの?」という感覚ですし、議員には当選回数による序列もあります。一般の市民からすると、「知らないよ」って思われるかもしれませんが、政治家には政治家のルールがある。

それさえきちんと守っていれば、賛成か反対かは別として話は聞いてくれます。自民がダメなら公明党から自民に働きかけてもらう。今のところ、自民党が賛成するマイノリティや弱者の問題に野党が反対することはほとんどありません。

このように細かい決まりが沢山ある。そんな細かいことで、はじかれてしまうともったいないから、この本では明文化しようと思いました。

――この本を読んで、「よし!ロビイングをしよう!」と思いたったとき、まずは何をすればいいでしょうか。

地元の選挙区にいる国会議員に会いにいけばいいと思います。一票を持っているわけですから。政治家の仕事は自分の地域の有権者の声を聞くことです。そのために様々な場所に足を運んでいます。ですが、今は話を聞く人たちが固定化されています。

政治家の人も、いろんな声を聞きたがっていますが、なかなか聞ける機会がない。いきなり、ロビイングやロビイストというと難しいように聞こえますが、政治家は私たちの代弁者です。議会で代弁するのが政治家の役割なのです。

ですが、今は「政治家が悪い」と言われているだけになっています。ですが、本当にそうなのでしょうか。そもそも私たちが使いこなせていないだけなのかもしれません。せっかく私たちの代表なのですから、使って使って使い倒さないといけない。

今の日本は、まだ市民と政治家をつながりが薄いです。この間を埋めていくのがロビイングなのでしょう。もっとロビイングが世の中に浸透していけば、少しずつ日本の民主主義も変わっていくと考えています。

リンク先を見る 誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術 (光文社新書)
著者/訳者:明智 カイト
出版社:光文社( 2015-12-16 )
定価:¥ 842
Amazon価格:¥ 842
新書 ( 256 ページ )
ISBN-10 : 4334038948
ISBN-13 : 9784334038946



画像を見る
明智カイト(あけち・かいと)
「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」代表
認定NPO法人フローレンス所属。主に「子ども」「女性」「マイノリティ」の権利擁護や政策提言を行う。自身も中学生の時にいじめを受け、自殺未遂をした経験から「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」を立ち上げて、「いじめ対策」「自殺対策」などのロビー活動を行う。2012年の自殺総合対策大綱の見直しでは「性的マイノリティ」も含めるように政府に対して働き掛けを行う。国際連帯税の導入、休眠預金活用についても提言している。全国LGBT活動者の会(カラフル連絡網)呼びかけ人、ストップいじめ!ナビのメンバー、SVP東京パートナー。著書に『誰でもできるロビイング入門~社会を変える技術~』(光文社新書)

あわせて読みたい

「ロビイング」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。