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【読書感想】半熟アナ

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半熟アナ

作者: 狩野恵里
出版社/メーカー: KADOKAWA
発売日: 2016/02/20
メディア: 単行本
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Kindle版もあります。

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作者: 狩野恵里
出版社/メーカー: KADOKAWA / 中経出版
発売日: 2016/02/23
メディア: Kindle版
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内容紹介

「モヤさま」でお馴染み、テレビ東京の人気女性アナウンサー・狩野恵里が綴る、初めてのエッセイ! 仕事を充実させ、毎日をポジティブにする狩野アナ流のこだわり、考え方とは? 巻頭ミニグラビアも収録!?

 狩野恵理さんが大江麻理子さんの後任として(この本によると、狩野さんを推薦したのは、大江さんだったそうです)『モヤモヤさまぁ~ず2』のレギュラーになったのが、2013年4月。そうか、もうすぐ3年になるんですね。

 「さまぁ~ず2と大江アナの番組」というイメージが強い『モヤさま』の中で、ちょっとムリしているというか、空回りしているようにも見えた狩野さんなのですが、最近はすっかり馴染んでいるみたいです。いつでも一生懸命で、身体を張っている狩野さん。もちろん、そういう狩野さんのキャラクターをうまく受けとめている、さまぁ~ずの力も大きいのでしょう。

3年もやっていれば、もう、「狩野モヤさま』のほうを長く観ている、という視聴者も多いはず。

「モヤさま」を見てくださっている方はおわかりになるかもしれませんが、あの番組には独特の”間”があります。

「モヤモヤSPOT」(気になる人やもの)を探して街を練り歩く、さまぁ~ずさんの後ろについて、私は街の情報などを捕捉する立場。どのタイミングで、どの程度の話をするかは、各々の裁量に任せられています。

 普通は、円滑に場を回すのが、アナウンサーの役割のひとつだと思います。その場が静かになった時に、「これは○○ですね」と、情報を提供していくのがアナウンサーの仕事ですが、「モヤさま」の現場ではそれが通用しません。

 私は、つい”間”を埋めるようにしゃべりすぎてしまい、そのつど、スタッフから指摘されていました。

「狩野、しゃべりすぎだな! ”間”を埋めようとしなくていいから!」

 こんな注意も受けました。

「彼らの番組なのだから、狩野が前に出すぎたらダメだろう」

 頭ではわかっているつもりでも、いざ現場に出ると、楽しさと緊張のあまりか、つい言葉が次から次へと出てきて”間”を埋めてしまいます。

ああ、こういう気持ち、わかる、というか、画面からも伝わってきていたなあ……

狩野さんは、天真爛漫にみえて、けっこう考え込んでしまうこともあったり、いろんなコンプレックスを抱えてしまったりもしていて(というか、こういう人気商売では、みんなそういうのがあるのが普通なんでしょうけど)、『モヤさま』をすでに1年間担当していた時期に、アメリカから帰国していた大江麻理子さんとさまぁ~ずの2人で食事に行った際に、大江さんとさまぁ~ずの会話のキャッチボールから「絆」の深さを感じて、泣きじゃくってしまったことがあったそうです。

最近は、さまぁ~ずも、狩野さんの「元気で前向きなんだけど、ちょっとこじらせてしまっているところ」をうまく掬い上げてネタに昇華しているし、狩野さん自身も、力みが抜けてきているように見えるのですけどね。

 この本、狩野恵理アナウンサー初のエッセイ集なのですが、あの天真爛漫(でも、ちょっと気配りのしすぎて大変そう)な狩野さんのキャラクターのルーツ(親の仕事でアメリカの学校に通っていたときに「コミュニケーションがうまくいかないこと」にけっこう長く悩んでいたそうです)と、どうやって狭き門であるアナウンサーになったのか、そして、ここまでどんなことに悩み、どんなふうに仕事と向き合ってきたのか、ということがけっこう率直に書かれています。

ほんの少しですが、アナウンサーになってすぐの時代の「相手に依存してしまった」という恋愛話などもあって、そういう一面もあるのだな、と意外な感じがしました。

アナウンサーとして早い時期から大活躍してきた先輩達に比べて、技術的にも未熟で(狩野さんは、アナウンサー予備校みたいなところにも、ほとんど通っていなかったそうです)、芸能人的な「華」もなく、なかなか表舞台に立てなかった狩野さんは、さまざまな場で、少しずつ実績を積みあげてきました。

それにしても、競輪学校に「本当に」一日体験入学したという話とか、けっこうすごいな、と。

やらせるテレビ東京もすごいけど。

2009年、入社1年目の夏、ヘリコプターに乗って隅田川の花火大会のリポートをしたときの話。

その数日前に、番組の宣伝も兼ねて、歌番組で「前説」をすることになったそうです。

ちなみにこれが、大勢の前で話をするはじめての舞台だったのだとか。

 前説というのは本番前に観客に行う説明で、毎年、新人アナウンサーが数百人を前に、「この合図で拍手してください」といった案内をするものです。

 観客の中には常連さんも多く、今年はどんな新人が来るかと、温かい目で見てくださる方もいらっしゃいます。

 それなのに、数百人のお客さまを前に舞い上がってしまい、冒頭に、はりきってこう言いました。

「狩野恵理です。7月25日の隅田川花火大会でリポートを担当いたします。当日は、ヘリコプターに乗って皆様を見下し(みくだし)ながらリポートしたいと思います!」

その瞬間、観客席にどよめきが。事態がわからずオロオロとしている自分に、お目付役の先輩の₹fり声。

「狩野、見下しちゃダメ! 見下ろす(みおろす)、だろう!」

 こうして思い出話として読むと、笑ってしまうのですが、その場にいた人たちは、さぞかし驚いたことでしょう。「えっ、みくだされちゃうの?」って。

 これを読んでいて感じたのは、狩野さん自身のキャラクターの面白さと、ものすごい努力家であるということ、そして、そんな狩野さんをうまく活かしてくれる周囲の人々の温かさなんですよ。

狩野さんは、自分の性格を「一言で言うと『極端』。『0』か『100』しかなくて、その間の選択肢はない」と仰っています。

そういう人は、大きな成果をあげることが多い一方で、何かのきっかけで、精神的に崩れてしまうことが少なくないのです。

こんなふうに、周囲の方たちからいろいろなアドバイスをいただきながら、あっという間に3年近く経ちました。

それでもいまだに、「モヤさまメンバーの一員」だとは、なかなか胸を張って言えない自分がいます。

私以外の主要スタッフは、番組の立ち上げから参加されている方ばかり。皆、固く信頼し合っています。

 そう思っていたある日のロケ。

「なんだなんだ、今日は朝からテンションが高いな」と、お二人に言われました。

「ああっ!! すみません!! 静かにします」

と謝ると、三村さんはこう言われました。

「いいんだよ。俺ら三人でバランスとれば。そのほうが楽だし。ガハハ」

 「狩野さんがモヤさまメンバーの一員であるかどうか」に疑問を抱き、思い悩んでいるのは、今では、狩野さん本人だけではないか、という気もします。でも、こういうのって、周りがどんなに言っても、っていうところはありますよね。

 ただ、この三村さんの言葉が、『モヤさま』の心地よさなんだろうな、というのは伝わってくるのです。

 最初は「誰このアナウンサー?」だった狩野さんの「ちょっとめんどくさい彷徨」の物語。

 僕は読んでいて、「自分ももう少し、仕事をがんばってみようかな」と思ったんですよね。

 不器用なのは、けっして、悪いことばかりじゃない。

 回り道のように見えるルートが、実は、最も早く目的地に辿り着けるのかもしれない。

そんなことを、考えさせられるエッセイでした。

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