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日本でテロを起こすのに銃も爆薬もいらない…というシナリオ

日本のテロに対する警備と訓練の甘さ」の続き。

 伊勢志摩サミットや2020年のオリンピックを控えて、日本でテロが起きる可能性を憂慮している記事が多く見られるようになった。

 可能性は否定できないのだが、有効な対策としてなにができるのかは疑問もある。

日本が「テロの標的」になる日が迫っている | 「日本の外交」超入門 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
このテロを対岸の火と考えてはならない。伊勢志摩サミットや五輪などビッグイベントを控える日本も、真剣にテロ対策を考えなければならない。

(中略)

空港では、搭乗手続きを終えた先のエリアにおける警備が厳しいが、それ以外の場所は無防備に近い。空港全体が厳戒態勢の下にある空港もあるが、それは例外的である。ブリュッセルに限らずほとんどすべての空港では誰でも自由にロビー内に入れる。日本でも同様だ。

空港よりも厳しいのが鉄道である。とくに地下鉄の駅は、監視カメラなどがあるとはいえ、どこも突発的なテロに対して無防備といえる。

(中略)

しかし、今回の事件もパリの事件も過激派組織ISからの直接の指示で行われた犯行でないようだ。どうやら、犯行者が自発的に事件を起こした可能性が高い。米国でもそのような自発的参加型のテロ事件が起こっている。

(中略)

「防御」については説明するまでもないように思われるかもしれないが、ブリュッセルの事件では、前述したように事前に情報をつかんでいても十分な対応ができていなかった恐れがある。事件発生後に多数の警官が投入されているのを見ると、当然だと思うのと同時に、後手にまわっているという印象もある。ともかく、「防御」の面でさらに改善する余地はあるはずだ。

「自覚」は、人を殺傷することがいかに罪深いかの「自覚」であり、いわゆる「聖戦」という名目で無辜の人を殺傷することの罪深さの「自覚」だ。多くの人にとって人を殺傷してはならないことは当たり前であっても、そう考えない人が出てきているのが現実である。
 各国首脳が集まるサミットは、たしかに格好のターゲットではある。だから、警備を厳重にするのは当然だ。

 とはいうものの、ISを主体とするテロリストにしてみれば、場所が日本であることのデメリットもある。開催場所がヨーロッパであれば、潜伏しているテロリストにとっては、距離的に近く、すでに用意しているであろう武器・弾薬を持っていくことも容易だし、加えてテロが与えるインパクトも大きい。ISが一番のターゲットにしているのは、欧米であり異教徒であるキリスト教圏だ。ISがヨーロッパを「十字軍」と例えるのは、背景に宗教的な対立があるからだ。

 遠く離れた極東の日本まで遠征してのテロというのは、彼らにとってもリスクが増す。電車や車で移動できるヨーロッパと違い、空路または海路でないと行けない日本は、わざわざ行くほどのメリットはない……と考えるかもしれない。

 日本から見ると、ベルギーのテロが遠い国の出来事であり、切迫感が乏しいと感じるように、日本でテロを起こしてもヨーロッパの人たちに与えるインパクトも薄くなる。言い方は悪いが、日本まで遠征してのテロは、費用対効果が乏しいともいえる。

 外国人が多くなった日本ではあるが、それでも地方に行くとアラブ系の外国人は目立つ存在だ。善良なアラブ系の人であっても、警備する警察官には目をつけられるだろう。言葉が通じず、地理的に不案内な日本で行動するのは、移動するだけでも一苦労。日本人または日本在住の協力者がいないと、なにがしかの計画を実行することは難しい。

 ISに参加しようとするバカな日本人もいるようなので、前出の記事にある「自発的なテロリスト」が警戒対象になるのだと思う。しかし、その兆候を事前に察知するのは極めて困難だ。

 国内にいるかもしれないテロリスト予備軍が事件を起こすとしたら、ベルギーのテロのような爆薬を使った大規模なテロを起こすのは難しい。

 むしろ、銃も爆薬も使わないテロの可能性の方が高いのではないか。

 想定できるシナリオとしては……

(1)サイバーテロ

 サイバーテロであれば、海外からも攻撃を仕掛けることは可能だが、ハッキングなどの高度なサイバーテロを仕掛ける必要もなく、メールを一通、「○○○○に爆弾を仕掛けた」と送るだけでも、混乱を引き起こせる。それが嘘であっても、真偽を確かめるために爆発物の警戒と捜索をしなければならず、一時的に都市機能を麻痺させられる。

 それが頻発したらどうだろうか?

 電車や飛行機を止めることも可能だ。直接的な死傷者は出ないにしても、経済的損失は大きい。

(2)ダミー爆薬での攪乱

 前述の方法との関連で、ダミーの爆薬っぽいものを置いておけば、さらに恐怖感をあおれる。

 爆薬そのものは入手できなくても、時限発火装置は初歩的な電気回路の知識と技術があれば容易に作れる。プラスチック爆薬はプラスチック粘土と見た目は似ている。電極を粘土に差しておけば、それっぽくなる。

(3)除染土を凶器に使う

 除染土とは、福島の原発事故で発生した放射性物質を含む土壌のことだ。除染土は野積みにされ、放置同然になっているから、くすねてくることは可能だろう。リュック一杯に除染土を詰め込んで、人がたくさん集まるところでばらまくといったテロが考えられる。あるいは水源に混入させるとか。

 実際のダメージをともなう攻撃としては、これが現実的な脅威になりうる。

(4)サミットを中止に追い込む妨害

 前述の(1)~(3)をサミット開催直前に実行すると、サミットそのものを中止できるかもしれない。

 ブラフのテロで、空港が閉鎖され、電車や新幹線が止まり、道路が封鎖されれば、各国首脳は日本に来ることができなくなるし、日本に来ていたとしてもサミット会場まで行けなくなってしまう。

 日本のメンツが潰れるだけでなく、国際会議ができなくなる状況は、テロとの戦いで各国との連携に支障が出る可能性もある。

(5)アメリカ軍や自衛隊の中から、自発的テロリストが出てくる可能性

 想定できる最悪のテロ要因は、日本にいる軍人がテロを起こすことだろう。現役の軍人が、過激な思想に染まらないという保証はない。軍人であれば、武器・爆薬を入手しやすい環境にある。

 「機動警察パトレイバー 2 the Movie」みたいな話になってしまうが、可能性としてはありうる。

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冨永みーな
バンダイビジュアル
2008-07-25


 想定できるシナリオを考えはじめたらキリがない。

 一連のテロ対策の記事を見ていると、銃や爆薬を使った派手なテロを警戒しているようなのだが、日本で起きるとしたら爆破系のハード・テロでなく、非爆破系のソフト・テロとでもいうような手法ではないかと思う。

 銃器や爆薬によるテロだけを警戒していると、そうではない手段を使われた場合、まったく警戒していない盲点をつかれてしまう。

 たとえば、ペットボトルにガソリンを入れて持ち歩いていても、パッと見には不審物には見えない。電車に乗るときは、手荷物検査などはされないので持ち込みは可能だ。新幹線の車内で焼身自殺した事件があったが、あのような自爆テロは起きうる。

 通り魔事件が起こると、犯人は「誰でもよかった」と動機をいったりする。そういう人間が自発的テロリストになりやすい。

 冒頭の記事で、「人を殺傷することがいかに罪深いかの「自覚」」とあるが、そういう自覚のない人が、数万人1人ないしは数百万人に1人は確実にいる。

 電車に乗っているとき、たまたま乗り合わせた隣の人が、そのひとりかもしれない。

 疑心暗鬼になってもしょうがないことではあるのだが、スマホに夢中になって周囲への注意を怠るのも無防備すぎる。

 前エントリでも書いたが、「マスク禁止令」は出した方がいいかもしれない。街中に監視カメラがあっても、マスクをしていたら人物を特定できない。監視社会の良し悪しもあるが、テロリストがマスクで顔を隠していても怪しまれない状況というのも問題だろう。

 プライバシーの保護と公共の安全とのバランスというか、どちらを優先するか。

 やっかいな時代に突入したものだ。

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