- 2016年03月25日 12:20
南シナ海覇権獲得への“飛び石”か 中国西沙諸島ミサイル配備の狙い - 岡崎研究所
2月18日付のForbesで、米シンクタンクAEIのマイケル・オースリン部長が、西沙諸島におけるミサイル配備は、中国が南シナ海一帯に軍用基地のネットワークを構築するための一歩であるとして、警鐘を鳴らしています。要旨は以下の通りです。
中国にとってもってこいの飛び石である永興島
中国が西沙諸島の最大の島、永興島(Woody Island)に地対空ミサイルを配備した。米国やアジア諸国は中国を非難しているが、中国がこの種のミサイルの最初の配備先として永興島を選んだのには理由がある。
永興島は潜水艦基地を抱える海南島の南東250マイルに位置する。この島は台湾とベトナムも領有権を主張しているが、中国が1956年以来支配している。この島は自然に任された地域ではなく、昔から港があり、中国は1990年に滑走路を建設した。昨年遅くには、中国はJ-11戦闘機を配備し、西沙諸島周辺の空域をコントロールし得ることとなり、また、海南島の戦闘機の支援も得て200マイル先の南シナ海奥深くまでコントロールし得ることとなった。中国に言わせれば、HQ-9ミサイルは島の航空機や船舶を守るための防御措置、ということになる。中国の狙いは、全ての領有地に、先進の防御措置を施すことをゆっくりと常態化していくことにある。
中国は、東南アジアでの軍事競争をエスカレートさせることに平気な様子である。「航行の自由」作戦のような米国の行動に引き下がることは拒否している。永興島のミサイルは100マイルの空域の米軍用機の脅威となり得る。中国は米艦船を狙った地対艦ミサイルを配備することもできる。
永興島は、南シナ海一帯に軍用基地のネットワークを広げていくために、もってこいの最初の飛び石である。もし、南沙諸島に地対空ミサイルを配備し、大きめの島にジェット戦闘機を配備すれば、中国は南シナ海全域をカバーできることとなり、飛行の自由が危険に晒される。近隣諸国には中国を駆逐する力はない。中国の目標は、域内諸国にその卓越した地位を認めさせることにある。
地域の力のバランスは急速に変化している。ある一国が、共有の水路と航空路に対する自己の権利を主張する力を持つ状況となりつつある。これは大戦以来、アジアにおける圧倒的な力の出現の阻止に努めてきた米国の戦略に対する打撃である。
中国がその目標を達成したとしても、必ずしも戦争を意味しない。むしろ、力は権利になり、ルールは最強の国によって作られる、ということの暗黙の了解を意味しよう。それは自由主義的な国際秩序を脅かす世界的無秩序のもう一つの証拠である。
出 典:Michael Auslin ‘Asian Escalation: Why China Picked Woody Island For Its First South China Sea Missiles’(Forbes, February 18, 2016)
http://www.forbes.com/sites/michaelauslin/2016/02/18/asian-escalation-why-china-picked-woody-island-for-its-first-south-china-sea-missiles/#368460ad4147
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西太平洋からの米軍駆逐狙う中国
この論説は、南シナ海で覇権を求める中国の良く知られた戦略的な行動を、西沙諸島へのミサイル配備という新たな展開を踏まえて、改めて記述し、警告を発するものです。中国が西太平洋から米軍を駆逐することを狙っていることに疑いはありません。
問題は、どう対応するかにありますが、少なくとも南シナ海における力のバランスが致命的に悪化しないよう努力する必要があります。そのためには、米軍のプレゼンスを目に見える形で強化すること、すなわち、米国が「航行の自由」作戦の回数を増やすとともに、そのビジビリティを高めることが必要と思います。ビジビリティを高めることが、中国とこの地域の諸国に、米国の決意を知らしめることになります。過去2回の「航行の自由」作戦では、米国はその態様と目的を公に説明することに及び腰でした。当然のことを当然のように行うのですから、ことさら説明はしないという立場なのかも知れませんが、米国の弱腰振りを印象づけることになっているように思います。
日本もできることをやる必要があるでしょう。
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