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Amazon「お坊さん便」が依然として物議 利用者にとって一番大事なことは何なのか

Amazonが昨年12月から僧侶手配サービス「お坊さん便」という、かつてない新サービスを開始している。

普段からお寺と関与がない、あるいはどのお寺の檀家でもないという人にも、分け隔てなく僧侶を派遣するというのがこのサービスの趣旨だ。費用は3万5000円からと、大分お手頃になっている。

これまで、どのお寺でも葬儀、戒名、法要などでの「お布施」は定額で提示してこなかった。あくまでも見返りは「お気持ちで……」という形態をとっている。しかし、お布施の額は地域やお寺によっても差があり、それだけではお寺を存続させていくことができないところもある。(文:松本ミゾレ)

「お坊さん便」に登録している僧侶の中には、少しでも生活の足しになること、あるいは仏の道をこれまでよりももっと多くの人々に説教をしたいと考えている者が多いようだ。

「お坊さん便」を目の敵にする僧侶は欲深い?

この「お坊さん便」に対して、全日本仏教会が待ったをかけている。僧侶による宗教活動は、本来商品というものではないため、その活動に金額を設けて商売をしてはならないというのだ。

昨年12月に発表された理事長談話の中でも、明確に「お坊さん便」へ疑問と失望の言葉が組み込まれている。さらに今月4日には、「お坊さん便」に対して販売中止の嘆願書を、Amazon本社ならびにAmazon日本法人に提出した旨も報告している。まさに仏教会は、「お坊さん便」を目の敵にしているという状況だ。

この動きに対してネット上では、冷静な意見も目立つ一方で「一部の大儲けしてベンツを乗り回している坊主が必死になっている」という声を見ることもできる。欲深い僧侶が、「お坊さん便」を脅威に感じ、潰そうとしているというのだ。

そういった向きの声も分からないでもない。しかし、一方で「お坊さん便」の普及が進めば、近いうちに「そもそも寺院も宗教法人もなくなるのでは?」という懸念も出てくる。

檀家との繋がりが切れた人にとっては歓迎すべきサービス

「お坊さん便」に登録している僧侶全員が、普段から寺院でお勤めをしているかどうかなんて、果たしてどうやって把握するのだろうか。せっかくお坊さんを呼んだのに、日頃お勤めもせず、呼ばれたときだけ袈裟を着てお経を読み上げるだけの僧侶が来たら意味がない。低コストで運営するこのサービスに、そこまでの透明性が、果たして保証できるだろうか?

それに、檀家離れが加速する今だからこそ日の目を見たサービスかもしれないが、「檀家でいるよりも、何かあったら派遣してもらえばいい」との考えが浸透すれば、檀家制度の崩壊を招くことにも繋がりかねない。

しかしそれでも、利用者にしてみればメリットはかなり大きい。お寺との関係が途絶え、法要もできない状況が続き、先祖に申し訳なく思っていた人々にとっては、まさに渡りに舟といったものだろう。自宅まで僧侶が来てくれて、お経を読んで、そのまま帰ってくれるのだから、おもてなしのご馳走を用意しなくても心象は悪くならない。

3月20日の「そこまで言って委員会NP」(読売テレビ)でも、この「お坊さん便」を利用した人々の姿に密着するVTRが流れていた。早くに亡くなった親のためにお経を上げてほしいと考えた若い兄弟が登場したんだけど、とっくにお寺との関係が途絶えてしまっていたこの小さな家族にとっては、かなり心強いサービスになっていたように見受けられた。

救いを求める人々に、本当の「お気持ち」程度のお布施でも応じる、その方法の一つとして、「お坊さん便」を受け入れられるのは時代の流れなのかもしれない。

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