記事
- 2016年03月23日 07:04
「民主党は"大学授業料""被選挙権年齢引き下げ"に取り組む」【各党に聞く福祉・若者政策】
2/2■安倍総理の中の「女性像」は間違っている
ー若年層も高齢層もどちらも大事ですが、「世代間格差」という言葉があるように、若者の負担感は大きくなっています。山尾:政治家が若者の前でしゃべっていることと、地元の高齢者の前でしゃべっていることが、同じなのかどうかは見てほしいですね。高校に行けるかどうか、大学に行けるかどうかの岐路に立っている子どもたちが望めば進学できて、卒業後は安定した職に就くことができて、家族を持って、納得して税金を納められるような社会に、この10年でできるかどうか。今15歳の子どもたちが25歳になった時に、そうなっていなければいけません。それが皆さんの年金、医療、介護に繋がってくるという、高齢者の皆さんにとってリアルな話をしっかりと政治家ができているでしょうか。
お年寄りだったら一律に負担を軽くするということではなく、やはり高所得者への課税強化というのは、財源論としてもやっていかなければならないと思いますし、資産に対してもスコープを広げ、負担できるひとには負担してもらうことも必要でしょう。社会保障を持続可能にするために、みんなが「やらなければいけない」と思っていることをやれていない。そこにいかに切り込んでいけるかというのが民主党の役割だと思います。
ー現政権では、少子化対策も「女性の社会進出」も両方実現させようとしています。
山尾:結局、この国は子育てをないがしろにしてきた結果、人口減少が顕著になってきたんですよね。
今国会での「女性活躍」や「三世代同居」論に代表されるような、「女性は子どもを産んでくれ、子育てをしっかりやってくれ、なかなか待機児童は解決しないけど、でも労働力が無くなるからちゃんと働いて欲しい」、その上で「三世代同居で介護もやってほしい」という議論の方向性になっていることを危惧します。
「三世代で同居したほうが子育てにも介護にも良いんだ」と安倍総理は言いました。「いつ寝りゃいいの?」「どこまで働かなきゃいけないの?」という感覚が女性たちにはあるんですよね。子育てや介護の問題は、社会みんなで担っていく。ヨーロッパでは当たり前の感覚が必要です。
安倍政権の目指す「女性活躍」というのが、選挙の前の人気取り、あるいは女性のことを履き違えている、両方があるのではないかと思っています。一昨年の「女性活躍」がいつの間にか「一億総活躍」になってしまったんですが、そのための予算を見ますと、たとえば女性の快適な空間を整備するということで「トイレ整備」の項目があるんです。聞けば、被災地のトイレもやんなきゃなんないと。それは災害対策や震災復興の予算で考えるべきですし、しかも男性のトイレも整備するというんですよ(笑)。
それこそ安倍総理との「パート25万円」の議論の中で、私なりに感じたのは、総理の中では「働かなくてもやっていける」という主婦や、意識が高く「持てる能力をどこに投資すれば一番良いだろう」と考えている女性たちをイメージしているのではないでしょうか。でも現実は違います。多くの人は賃金が高かろうと安かろうと、働かなければ生きていけない。でも子どもを預けるところが無くて働けないという女性たちです。非正規の方も含め、未婚女性や子どものいない女性も、長い人生を一人でどうやって生き抜いていけるか、サバイバルなんですよね。そういう人たちが本当に活躍できる土壌づくりこそが本来のあるべき姿だと思います。安倍さんの「一億総活躍」の中では、どうやらそういう人たちが抜け落ちているのではないかと、予算委員会での質疑を通じて感じました。
ー社会保障・社会福祉というよりは、経済成長が優先されているということでしょうか。
山尾:経済成長のための雇用・労働政策になっているんですよね。また、安倍政権は雇用の安定化よりも雇用の流動化を目指していて、厚生労働省は黙って見ているのですが、少しずつ問題になり始めている「リストラビジネス」というものがあります。雇用保険料から賄われている「労働移動支援助成金」を使って、人材派遣会社がリストラを請け負わせ、違法な退職勧奨をしているというのです。当事者に話を聞いたのですが、「自分は退職を受するつもりはないと言ったのだが、『人材派遣会社が再就職先の会社を探すから、そこに行って仕事を探すことが仕事だ』と言われた」と。退職を受け入れても断っても、人材派遣会社に行くわけです。
そうやって企業の側に立って、どんどんクビを切りやすくするような雇用・労働政策を続けていたら、絶対に「出生率1.8」なんて実現しないと思います。消費増税だって「子育てのためにやらせてくれ」といったのに、軽減税率が入ってきたら、事実上「子育て支援はほとんどできません」ですから。
■維新との「新党」にも期待
ー維新の党との合流が決定し、まもなく新党になります。ここまで伺ったような政策の部分でも連携していけるでしょうか。山尾:維新の党には、同世代で、左・右のイデオロギーを越えて、この国の本当に問題を解決しようという熱い思いを持っている仲間がいるんですよね。同じ問題意識を持っていて、政治の世界では"若手"と言われる世代が党内で厚みを増すことが、政策の実現につながっていくんじゃないかなと思います。それが一番嬉しいですね。
まさに経済と人口が収縮していく中で、どうやって社会保障を持続可能にしていくのか、ボリュームは小さいかもしれないけれど、ひとりひとりの豊かさをどうやって大きくしていくか。これは世界的にも私たちの世代がとても切実に感じている課題ですよね。そこで出てくる財源や課税の問題について「全部が聖域ではない」という意識で一緒に取り組める仲間だと思います。また、安保問題にしても、国際情勢は変化していますし、やや現実味をもって「トランプ大統領」が語られ出しているという中で、これまでの「護憲なのか、改憲なのか」というような議論を越えて外交・安全保障を語り合えると思います。
こういう層が、新党の中で厚くなっていくことに期待していますし、私もその一人として頑張ります。

・山尾しおり(山尾志桜里)/衆議院議員/民主党 愛知県第7区 総支部長/瀬戸市・尾張旭市・長久手市・日進市・東郷町・豊明市・大府市
・@ShioriYamao - Twitter



