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「3・11」5周年 「再稼働ありき」はもうボロボロだ

3・11福島原発事故5周年直前の9日、大津地裁は関電高浜原発3、4号機運転差し止めの仮処分を決定した。ここに至る経過は異様だった。1月29日の3号機再稼働後、2月20日には4号機の炉補助建屋で1次冷却水漏れが発覚。原因は弁のボルトの緩みとされたが、この弁は09年以降、再稼働前検査でも点検されていなかった。しかし関電は再稼働予定を変えず、4号機は同26日に再稼働。広域避難訓練は未実施、避難住民の受け入れ計画もほとんど未定のままの見切り発車だった。ところが4日後の同29日、過電流とされる原因で同機は緊急停止した。

 他方、原子力規制委は2月24日、運転開始後40年超の1、2号機の新規制基準への適合を認め、老朽原発延長運転に道を開いた。関電は、3、4号機を再稼働すれば燃料費が月100億円浮くとうそぶいたが、ここで燃やすプルトニウム入り燃料はウラン燃料の9倍も高価だという矛盾には知らぬ顔だ。稼働中の3号機を含む運転差止命令は、何があっても再稼働という関電、そして背後にいる安倍政権の異常な姿勢に対し、司法として最大限の警告を発したものと考えられる。

 では福島原発はどうかと言えば、東電は2月24日、メルトダウンの判定基準の存在に「5年間気づかなかった」と言い出した。事故経過の検証を求める新潟県の技術委員会の声に抗しきれなくなってのことと思われるが、今まで気づかなかったという言い分を信用する者が誰かいると、本気で考えているとは思えない。

 東電は2月15日、地下水が流れ込んでくる山側から「凍土壁」を凍結させる方針の見直しを表明した。壁を造れば炉建屋内外の地下水位が逆転し、汚染水が建屋から漏れ出すという難点は、とっくの前から指摘されていたことだ。しかし、東電と政府はこれに目をつむり、政府は「国が前面に立つ」と豪語して約345億円の国費を投入した。

 丸川環境相は「年間100㍉シーベルトを下ったところは基準がない」と言い放った。ならば、年20㍉シーベルト以下なら帰還を促すという政策の根拠も失われるということに、思い至らなかったのだろうか。

 国策だから必ずやるといって、時期はズルズル先延ばしするものの、責任を問われることになるので目標自体は見直さない。この日本エスタブリッシュメントの悪弊は、原発事故で露呈しながらも改まらず、脱原発への障害となっている。

(社会新報2016年3月16日号・主張より)

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