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ワシントンで感じたバーニー・サンダース現象と、私たちが学ぶべきこと

 ワシントンでの滞在中、今、予備選真っ最中の大統領選挙について多くの方々と意見交換する機会がありました。私が話したのはcivil societyの方々と若い世代が多かったせいか、バーニー・サンダース候補の人気が圧倒的でした。民主党の指名者争いでトップを走るヒラリー・クリントン候補には冷めている人が意外に多く、共和党のドナルド・トランプ候補の旋風にはみんな頭を抱えている印象でした。

 ワシントンは政治の中心ではあってもアメリカの民意を代表する場所ではないので全米の傾向とは言えませんが、日本でも報道が増えてきたトランプ現象に比較してサンダース人気の要因は日本ではあまり報道されていません。しかし、安倍政権に対峙する我々にとっては参考になることが非常に多いため、大統領選挙の予備選の最中に現地で感じたサンダース現象について報告します。

 まず彼は、政治活動を通して一貫して反戦を掲げ、不公正な社会の是正と闘ってきた筋金入りの人物であること、社会民主主義者を自称し、格差を生み出しているウォール街や軍産複合体などの大企業からは一切資金を受け取らず、貧しい層を中心とする個人献金のみで選挙運動を賄っていることが他の候補との大きな違いです。ひとりあたり平均2700円の募金額で100億円あまりを集めているのは前代未聞です。

 私たちは一言に『アメリカ』といいますが、様々な口実や大義を掲げて世界中で戦争を起こし、グローバリゼーションによって貧富の差を拡大させ、環境を破壊する象徴として見られている『アメリカ』を動かしているのは、ウォール街の金融資本であり、軍産複合体であり、巨大エネルギー企業や製薬会社など、サンダース候補の言葉を借りれば『アメリカ株式会社』と言えるでしょう。これらの大企業、そのトップが共和党、民主党を問わず候補者に巨大な献金を行い自分たちの利益を守る政策を実行させることで、大統領を超える実質の権力者になっていると言えます。

 「皆さん、0.1%の人がその他の90%の人を上回る富を所有しているのは公正ではありません。経営者が労働者の500倍を超える報酬を得ているのは公正ではありません。この国最大の金持ち20人が、この国の底辺半分の人々の合計より大きな富を持っているのは公正ではありません。そこにもっと課税し、大企業の租税回避地(タックスヘイブン)を経由する課税逃れの取り締まりを強化すれば財源は生まれる。その税金でもっと公正な社会を作りましょう! 国民総保険、公立大学の無償化、戦争のない社会を実現しようじゃありませんか!」

 社会正義や公正さ、環境保護、そして反戦。政治は弱い立場の人のためにあるとの主張に孫のような世代の若者たちが熱狂し、大学生の85%はサンダース支持とも言われます。
政治は少数の金持ちのものではなく、みんなのものだ!と立ち上がるきっかけを生み出しているのです。

 サンダースはナチスに家族を殺されたポーランド系ユダヤ人移民の子です。そんな出自もあって、学生時代はベトナム反戦運動の闘士であり、2002年のイラク戦争に反対した数少ない議員のひとりでもあります。(ヒラリー・クリントン候補は賛成)

 こんな一貫した筋金入りの姿勢が多くの若者、労働者、またインテリ層の共感を呼び起こし、これまで政治に関心のなかった人々、政治に絶望していた人々を含め広がっているサンダース現象。アメリカ人の価値観に大きな影響を与えていると実感しました。予備選の結果にかかわらず、この影響は今後のアメリカ人の行動に反映されることと確信します。

 日本を変えるにはアメリカに変わってもらうしかない。これはある面では悲しい現実。ならば、アメリカが育んできた良質な市民社会と手を携えて、アメリカを、日本を、そして世界を変えよう! そんな思いでワシントンの若者たちと語り合いました。

 ノーベル経済学賞受賞であるスティグリッツ教授が来日しており、多くの国会議員がその経済理論に影響を受けたようです。また安倍総理は消費税増税延期を提言したスティグリッジ理論のいいとこ取りだけをして、増税延期の地ならしをしているように思われます。しかし、スティグリッジ教授の最新の著書「これから始まる新しい世界経済の教科書」を読むと、これまでの経済政策が、最富裕層に富を集中させ、格差と不平等を拡大してきたこと、大企業が潤えばその富が貧困層にも滴り落ちるとするトリクルダウンなどは起こりようがなく、大企業優遇の政策は健全な経済成長の障壁になっていることを鋭く指摘しています。サンダース候補の主張と、基本的な理論、価値観が共通すると強く感じました。

 サンダース候補の訴え、そしてスティグリッツ教授の理論は、根本では私たち『民進党』が目指している社会、そして、我々が立脚すべき政治的立ち位置を明確に示していると思います。今度は我々こそが旋風を巻き起こす番!そのためにも対立軸の違いを明快に示し、安倍政権に対峙しなければと強く感じています。

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