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- 2016年03月18日 08:40
「転職したらいくらで給料を決める」は通過点──「働きたくなる会社」をサイボウズの人事制度から考えてみたら
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画像を見るなんと、あのDHBRとサイボウズがコラボする日が来るとは。何をするんですか?
画像を見るDHBRの読者と編集長が、ユニークな人事制度や企業文化を持つサイボウズをネタにして、日本企業のこれからの働き方を議論し、疑問点をサイボウズにぶつける。それをサイボウズが打ち返していく「リレー討論」形式で進めます。
画像を見るなかなかレベルが高そうですね。ちゃんと答えられるのかしら……。
画像を見る読者の中心は経営者や将来のエースの方とお聞きしておりますので、手強いと思います。そこでサイボウズ式 編集部に加え、副社長の山田と事業支援本部長の中根も参加し、社内でも議論されていない深い点まで考えてみることにしました。
ちなみに山田は現在サイボウズのUS法人の社長で、アメリカにいらっしゃいますので、基本的にテレビ会議での参加になります。山田さん、こんにちは。
画像を見るどうもどうも。こちらはいま夕方です。
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画像を見る読者のみなさんは、どんな議論をされたのでしょうか?
画像を見るまずは「サイボウズは、市場価値で給料が決まる」というテーマをもとに、議論が始まりました。前段として、サイボウズは給与を社内評価だけでなく、市場価値で決定しています。
画像を見るこの点をハーバード・ビジネス・レビューの岩佐文夫編集長が取り上げ、まずは「こんな決め方でほんとにいいのか?」という点を話しました。
途中で「経営者の観点から見たら(サイボウズ社長の)青野さんはラクしすぎ」という鋭い意見が出たり……。
画像を見るおー(笑)
画像を見る討論会を終えてまとまった質問は、「自社特有のナレッジって必要ない? 社内スキルだけを身に付けた人材が育っていかないのでは?」です。ここからサイボウズ側の議論をはじめてみます。
画像を見るはい、まずは「市場性」の話から掘り下げていきましょう。
画像を見る市場性がない人は絶対にいないんですよ。なぜなら会社で働いている人はみんな、すでにお給料をもらっているからです。
仮にサイボウズでしか通じない仕事だけをやって、600万円をもらっていたとする。その人にはそれだけの市場価値の実績がついていることに間違いないんですよ。ただそれがほかの会社で、いくらになるかはわからないですけど……。
この質問に答えられる人はなかなかいない と思うんですよ。何かの指標がないと、欲しい金額を説明できませんから。
でも、その人には650万円欲しい理由があるはずです。 例えば「家族ができ、子どもを養わないといけないから、600万円じゃ無理なんです」。これは十分な理由だと思います。
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山田理:サイボウズ株式会社 取締役副社長 兼 サイボウズUS社長。「kintone」をグローバル展開中
画像を見る「650万円欲しい」という価値観の背景に目を向けるといいですよね。なぜその給料を求めるか、ほかの報酬とのバランスはどうなのかなどを、考えていく必要があると感じています。
画像を見る 「この仕事を本当は続けたいけど、650万円の仕事を探さなきゃならないんです」と言っていた人に、ほかの会社から同額でオファーが来た場合はどうするか。サイボウズから抜けられたら困る人だったら、サイボウズも650万円を出すと思いますよ。
画像を見るなるほど。
画像を見るもらう側が「なぜその金額を欲しいのか」を説明する責任もある んですよ。渡す人だけが一方的に金額の正しさを説明するのではなく、もらう側もロジックを組み立てなければならなくなってきています。
「こういう仕事だったらこの金額になります」「今年これだけ頑張ったので、何%か上げて欲しいです」「物価は何%上がっていますから」といった会話が、もらう側からも出てこないといけないと思います。
それによって外に目を向けることにもなるし、仕事の価値を考えるきっかけにもなる。自分の仕事の意味や報酬って何だろう、お金に対してどこまでこだわっているんだろう、とかね。
画像を見る市場性について、社員全員にたくさんのオファーが集まる状態が「市場性がある」とは思っていないことが大事なポイントです。
お金も会社も仲間も、自分の仕事も大事です。人によって何のために働くかのポートフォリオがあって、お金だけが欲しいという人ってほとんどいないと思うんですよね。
画像を見る給料以外にやりがいや喜びを感じる人もいますし、子育てと仕事の両立や複業など、給料以外の報酬もあると思うんです。そのバランスをみながら給料をいくらにするのかを考えるのが、長期的にもいいと思っています。
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画像を見る そうですね。どういう仕事ができるかもそうですし、ポジションや役職、どういうチームで仕事をするか、誰と働くかも報酬の1つですね。
画像を見るシェアNo.1の影響力を求める人も多いですよね。多くのお客様に対して仕事ができることも。
画像を見るサイボウズっていう会社のブランドも多少あるのかな。副業してもいいし、子どもが生まれてからまた働きに戻ってこられることもそう。
報酬や動機を一言で語ろうとするからややこしくなってくる。だいたいみんなの動機は複雑だと思うんですよ。総合的な組み合わせで決まっていて、動機が1つだけということはないのかなと思っているんです。
その方が転職してリニアのない企業に行くと、当然今までのスキルにまったく価値がつかなくなる。この手のハイスペックな社内スキルについてはどうですか?
画像を見るさっきの社内的価値の話ですよね。
画像を見るそうですね。市場価値がない人はどうか? については、その人がリニアの運転で給料をもらっているという事実が、「市場価値があること」だと思います。
もし「給料がほかの電車の運転手と変わらないので、リニアの運転手をやっていられません」とその人が言うのならば、給料のつけ方がおかしいと思うんです。
コストを掛けて育てて、その人にしかできない仕事をやってもらっているならば、社内価値は結構高いはず。だったら給料もほかの運転手よりも上げるべきかなと。少なくとも、僕だったらそうします。
画像を見る「固有の社内スキルだけを身につけるべきか」についてはどうでしょう?
画像を見る社内スキルを身につけて欲しいかという質問ですね。それは身につけて欲しいと思いますよ。
ただ、すごく難しいのは、例えば大企業で慣習化されている仕事です。昔からやってきたことを継続しなくてはいけない。しかも組織独自のもので、変えちゃいけないものがすごく多いんですよ。
例えば銀行の社内稟議の書き方。融資や銀行員のお作法やノウハウはどこの銀行でも身につくんですけど、どういう稟議の書き方がいいのかとか、規定集の何ページ目に何がどう書いてあるかとか、めちゃくちゃ詳しい人がいるんですよ。生き字引みたいな人。
でもそれって、ほかの会社ではあまり役に立たない。長くなるほど、その会社での地位は強くなっていくのですが……。
画像を見る今のサイボウズの企業フェーズでは、そんな仕事はありますか?
画像を見るサイボウズは新しい事業を打ち出して、組織が大きくなっていくフェーズ。つまり、ルールを変えていくのが当たり前という前提があります。
今サイボウズには、同じやり方を10年間続けてきて、今年も続けていかないといけないといった業務がないんですよね。
画像を見る確かに。
画像を見るサイボウズが40年、50年と続く企業になった時に、社内スキルに長けた人材をどう評価するかは、結構悩ましいところですね。
そのスキルだけに賭けて「これが大事」「私はこの会社で死ぬ」と言っているよりは、ほかのやり方を学ぶ方が大事 だと思います。
自分の給料を上げたいためだけじゃなくても、社外を見るのが大事になってきます。ほかのノウハウを得ようとする機会にもなりますから。
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー(DHBR)とサイボウズ式で考える「働きたくなる会社」──。日本企業の未来について、サイボウズをモデルケースに議論をします。
DHBRの第1回討論会では「給料を市場性で決めること」の議論が起こり、「自社特有の社内スキルだけを身につけた人材はどうすべきか?」という新たな議題が浮かびました。
このテーマについて、サイボウズ社内でディスカッションを実施。副社長の山田理、事業支援本部長の中根弓佳、コーポレートブランディング部長の大槻幸夫が話します。モデレーターは、サイボウズ式編集長の藤村能光。
画像を見るサイボウズ式の2016年の初コラボはなんと、ハーバード・ビジネス・レビューです。画像を見るなんと、あのDHBRとサイボウズがコラボする日が来るとは。何をするんですか?
画像を見るDHBRの読者と編集長が、ユニークな人事制度や企業文化を持つサイボウズをネタにして、日本企業のこれからの働き方を議論し、疑問点をサイボウズにぶつける。それをサイボウズが打ち返していく「リレー討論」形式で進めます。
画像を見るなかなかレベルが高そうですね。ちゃんと答えられるのかしら……。
画像を見る読者の中心は経営者や将来のエースの方とお聞きしておりますので、手強いと思います。そこでサイボウズ式 編集部に加え、副社長の山田と事業支援本部長の中根も参加し、社内でも議論されていない深い点まで考えてみることにしました。
ちなみに山田は現在サイボウズのUS法人の社長で、アメリカにいらっしゃいますので、基本的にテレビ会議での参加になります。山田さん、こんにちは。
画像を見るどうもどうも。こちらはいま夕方です。
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サイボウズUS社長の山田は、アメリカからビデオ会議で参加
画像を見るそろそろ仕事が終わるころですかね。こちらは朝の9時です。では早速進めていきましょうか。画像を見る読者のみなさんは、どんな議論をされたのでしょうか?
画像を見るまずは「サイボウズは、市場価値で給料が決まる」というテーマをもとに、議論が始まりました。前段として、サイボウズは給与を社内評価だけでなく、市場価値で決定しています。
画像を見る2015年11月25日サイボウズの給料は「あなたが転職したらいくら?」で決めています
画像を見るこの点をハーバード・ビジネス・レビューの岩佐文夫編集長が取り上げ、まずは「こんな決め方でほんとにいいのか?」という点を話しました。
途中で「経営者の観点から見たら(サイボウズ社長の)青野さんはラクしすぎ」という鋭い意見が出たり……。
画像を見るおー(笑)
画像を見る討論会を終えてまとまった質問は、「自社特有のナレッジって必要ない? 社内スキルだけを身に付けた人材が育っていかないのでは?」です。ここからサイボウズ側の議論をはじめてみます。
市場性のない人なんて絶対にいない
画像を見るその質問の前提にあるのは、「市場性がない仕事がある」という考え方ですよね。社内で重要な仕事をしている人の市場性がなくなって、「転職したらいくら」という値段がつかなくなるとどうなるの? という質問ですね。画像を見るはい、まずは「市場性」の話から掘り下げていきましょう。
画像を見る市場性がない人は絶対にいないんですよ。なぜなら会社で働いている人はみんな、すでにお給料をもらっているからです。
仮にサイボウズでしか通じない仕事だけをやって、600万円をもらっていたとする。その人にはそれだけの市場価値の実績がついていることに間違いないんですよ。ただそれがほかの会社で、いくらになるかはわからないですけど……。
自分が欲しい給与・金額の根拠を説明できますか?
画像を見るその人が「650万円欲しいです」といってきたときに、長く、気持ちよく働いてもらうにはどうすればいいか。「なぜ650万円欲しいの? 自分の市場性がなぜ650万円だと思うの?」と質問をしてみます。この質問に答えられる人はなかなかいない と思うんですよ。何かの指標がないと、欲しい金額を説明できませんから。
でも、その人には650万円欲しい理由があるはずです。 例えば「家族ができ、子どもを養わないといけないから、600万円じゃ無理なんです」。これは十分な理由だと思います。
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山田理:サイボウズ株式会社 取締役副社長 兼 サイボウズUS社長。「kintone」をグローバル展開中
画像を見る「650万円欲しい」という価値観の背景に目を向けるといいですよね。なぜその給料を求めるか、ほかの報酬とのバランスはどうなのかなどを、考えていく必要があると感じています。
画像を見る 「この仕事を本当は続けたいけど、650万円の仕事を探さなきゃならないんです」と言っていた人に、ほかの会社から同額でオファーが来た場合はどうするか。サイボウズから抜けられたら困る人だったら、サイボウズも650万円を出すと思いますよ。
画像を見るなるほど。
画像を見るもらう側が「なぜその金額を欲しいのか」を説明する責任もある んですよ。渡す人だけが一方的に金額の正しさを説明するのではなく、もらう側もロジックを組み立てなければならなくなってきています。
「こういう仕事だったらこの金額になります」「今年これだけ頑張ったので、何%か上げて欲しいです」「物価は何%上がっていますから」といった会話が、もらう側からも出てこないといけないと思います。
それによって外に目を向けることにもなるし、仕事の価値を考えるきっかけにもなる。自分の仕事の意味や報酬って何だろう、お金に対してどこまでこだわっているんだろう、とかね。
「働く」の報酬は給料だけなのか?
画像を見る市場価値の話を社外ですると、「転職したらいくらなのか」というトピックに興味が集まります。でも、給料って、人が働くときの外発的な動機づけの1つだと思うんです。画像を見る市場性について、社員全員にたくさんのオファーが集まる状態が「市場性がある」とは思っていないことが大事なポイントです。
お金も会社も仲間も、自分の仕事も大事です。人によって何のために働くかのポートフォリオがあって、お金だけが欲しいという人ってほとんどいないと思うんですよね。
画像を見る給料以外にやりがいや喜びを感じる人もいますし、子育てと仕事の両立や複業など、給料以外の報酬もあると思うんです。そのバランスをみながら給料をいくらにするのかを考えるのが、長期的にもいいと思っています。
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中根弓佳:サイボウズ株式会社 執行役員 事業支援本部長
画像を見るサイボウズでは現状、9つの働き方が選択できます。これも「報酬」の1つでしょうか?画像を見る そうですね。どういう仕事ができるかもそうですし、ポジションや役職、どういうチームで仕事をするか、誰と働くかも報酬の1つですね。
画像を見るシェアNo.1の影響力を求める人も多いですよね。多くのお客様に対して仕事ができることも。
画像を見るサイボウズっていう会社のブランドも多少あるのかな。副業してもいいし、子どもが生まれてからまた働きに戻ってこられることもそう。
報酬や動機を一言で語ろうとするからややこしくなってくる。だいたいみんなの動機は複雑だと思うんですよ。総合的な組み合わせで決まっていて、動機が1つだけということはないのかなと思っているんです。
その会社でしか通用しないスキルに市場価値はあるのか?
画像を見る第1回の討論会では、リニア新幹線を運転する技術者が話題になりました。リニアを運転できるのは、その運転手さんのみという状態。その方が転職してリニアのない企業に行くと、当然今までのスキルにまったく価値がつかなくなる。この手のハイスペックな社内スキルについてはどうですか?
画像を見るさっきの社内的価値の話ですよね。
画像を見るそうですね。市場価値がない人はどうか? については、その人がリニアの運転で給料をもらっているという事実が、「市場価値があること」だと思います。
もし「給料がほかの電車の運転手と変わらないので、リニアの運転手をやっていられません」とその人が言うのならば、給料のつけ方がおかしいと思うんです。
コストを掛けて育てて、その人にしかできない仕事をやってもらっているならば、社内価値は結構高いはず。だったら給料もほかの運転手よりも上げるべきかなと。少なくとも、僕だったらそうします。
画像を見る「固有の社内スキルだけを身につけるべきか」についてはどうでしょう?
画像を見る社内スキルを身につけて欲しいかという質問ですね。それは身につけて欲しいと思いますよ。
ただ、すごく難しいのは、例えば大企業で慣習化されている仕事です。昔からやってきたことを継続しなくてはいけない。しかも組織独自のもので、変えちゃいけないものがすごく多いんですよ。
例えば銀行の社内稟議の書き方。融資や銀行員のお作法やノウハウはどこの銀行でも身につくんですけど、どういう稟議の書き方がいいのかとか、規定集の何ページ目に何がどう書いてあるかとか、めちゃくちゃ詳しい人がいるんですよ。生き字引みたいな人。
でもそれって、ほかの会社ではあまり役に立たない。長くなるほど、その会社での地位は強くなっていくのですが……。
画像を見る今のサイボウズの企業フェーズでは、そんな仕事はありますか?
画像を見るサイボウズは新しい事業を打ち出して、組織が大きくなっていくフェーズ。つまり、ルールを変えていくのが当たり前という前提があります。
今サイボウズには、同じやり方を10年間続けてきて、今年も続けていかないといけないといった業務がないんですよね。
画像を見る確かに。
画像を見るサイボウズが40年、50年と続く企業になった時に、社内スキルに長けた人材をどう評価するかは、結構悩ましいところですね。
そのスキルだけに賭けて「これが大事」「私はこの会社で死ぬ」と言っているよりは、ほかのやり方を学ぶ方が大事 だと思います。
自分の給料を上げたいためだけじゃなくても、社外を見るのが大事になってきます。ほかのノウハウを得ようとする機会にもなりますから。



