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キュレーションメディアMERYが雑誌を創刊! 女性ファッション誌「MERY」発行直前に迫る、その仕掛けとは

2013年4月にサービスを開始してから、もうすぐ3年。MERYは、ファッションやコスメ、旅行に恋愛と、女の子がかわいくなれる情報を提供するキュレーションメディアとして、月間2000万ユニークユーザーを誇る、今注目のメディアだ。サービス開始から、ほとんど広告費を使わずに勢いを伸ばしていたが、昨年12月、タレントのローラを起用したCMで認知度がさらに高まり、アプリのダウンロード数も一気に伸びた。

そんなMERYが今月25日、新たに雑誌を創刊する。WEB発のメディアが、雑誌界に進出するのはなぜなのか。女性ファッション誌「MERY」創刊の先に何を見ているのか。その背景と狙いを取材した。

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2000万の「かわいい」がある

現在、MERYは国内最大級のキュレーションメディアとして、2000万のユニークユーザーを抱える。コンセプトは、「女の子の毎日をかわいく。」。ページ数に限りのある雑誌は、俗にいう赤文字系、青文字系など、読者ターゲットごとに異なる、あるひとつの「かわいい」に特化した誌面づくりをする。一方MERYは、WEB展開の最大の強みである「掲載量に制限がない」ことを生かし、ユーザー2000万がそれぞれに思う「かわいい」の掲載を目指している。キーワードは「共感」。雑誌のような、いわゆるマスメディアがコンテンツをつくる際は、何千人、何万人も共感してくれる人がいないと、制作の採算が合わないが、WEB上だったら、王道のコンテンツもさることながら、ある一定の共感者がいれば良質なコンテンツとして成り立つ。MERYはその「王道」と「ニッチ」なコンテンツを一つ一つ丁寧に拾い上げて、バランス良く掲載することで、より多くの人から「共感」を得ることに成功した。

持ってるだけでかわいくなれる

キュレーションメディアとして一躍注目を浴び、支持を集めるMERYだが、実はMERY立ち上げ時から、女の子の文化やカルチャーを創り出す"源"となっているのは雑誌、という意識があった。雑誌に対する強いリスペクトが、雑誌「MERY」創刊の原動力となったという。

2000万の「かわいい」が詰まっているWEBのMERYに対して、雑誌「MERY」は、編集部の知見とWEBに蓄積されたビッグデータを活用して、より多くのターゲットから支持される「かわいい」を抽出して誌面化。MERYでユーザーリアクションが大きかったテーマやキーワードをピックアップし、雑誌というプラットフォームに合わせて、最適なコンテンツへと昇華させている。掲載テーマといった中身だけではなく、写真やデザインなどの見せ方にもこだわり、「手元に置いておきたい!」「持ってるだけでかわいくなれる気がする!」という、女の子の胸キュンポイントを刺激し、「ストックしたくなる」誌面づくりに注力した。

WEBの知見×雑誌の世界観による化学反応

雑誌「MERY」の総責任者は、女性誌の編集を10年以上手がけてきた中村香織編集長。また、編集長の相棒となるクリエイティブディレクターには、出版社カエルムの代表取締役で「NYLON」編集長でもある⼾川貴詞氏が就任した。

雑誌「MERY」について、中村編集長は、「発売前も、買った後も読者と一緒に楽しめる雑誌」と説明する。例えば、創刊号では、雑誌発売前にMERY内で投票を募り、人気を集めたフォトプロップスを雑誌付録にした。発売後は、そのフォトプロップスを使って撮影した写真をインスタグラムに投稿するキャンペーンを行い、MERYで投稿写真を紹介する予定にしている。このように、オンラインとオフライン両方の性質を駆使して、インタラクティブに読者とのコミュニケーションを深める戦略だ。

また、誌面づくりには、「シェアしたくなる」という、MERYがこれまでWEBコンテンツをつくる上で大切にしてきた視点も生かしている。「雑誌の部数が10万部売れるよりも、掲載コンテンツが1万件シェアされる方が強い」との信念を持つ戸川クリエイティブディレクターは、MERYがWEB上で発揮してきた魅力を、雑誌として表現する際の「クリエイティブ」に、徹底的にこだわったと話す。例えば、創刊号の目次。掲載内容をシンプルに記すのではなく、「女の子がかわいくなるための22のコト」と題し、ひとつひとつに#(ハッシュタグ)をつけ、インスタグラム投稿への派生も見据え、キーワードとして表現した。

2000万というユーザーを虜にしてきたコンテンツを持つMERYが、雑誌という新しいプラットフォームに変換される時、WEBの知見をどう誌面に生かしていくのか。あるいは、誌面をどうWEBに還元していくのか。WEBの世界で力をつけてきたMERYと、雑誌の世界で活躍してきた中村編集長、戸川クリエイティブディレクターのコラボレーションにも注目が集まる。

リンク先を見る雑誌「MERY」編集長 中村香織氏(左)とクリエイティブディレクター 川貴詞氏(右)

WEBは明日、雑誌は2カ月先のため

「WEBのMERYは、明日かわいくなるための方法が知りたくて、毎日チェックするメディア。一方、雑誌の『MERY』は、2カ月先を見据えた半歩先の情報を載せるメディア。プラットフォームごとに、求められるユーザー体験が異なるので、それぞれに最適化したコンテンツを届けたい」と戸川氏。いずれは、TVや動画の世界にもチャレンジの幅を広げていきたいと考えているそうだ。

2000万の女の子を味方につけたMERY。共感を呼ぶ多様なコンテンツを武器に、WEB、雑誌といった既存のメディアプラットフォームを越えて、互いがインタラクティブに連携しあう新しいビジネスモデルを確立しようと、果敢にチャレンジしている。メディア改編が進む今、MERYの挑戦から目が離せない。

text=KAHO YAMAGUCHI
photography=SACHIKO OMORI

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