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【米FRBの心変わり】

日銀の金融政策決定会合がきのうありましたが、今週は、米FRBの公開市場委員会も予定されています。結果が出るのは日本時間の17日(木)未明です。

去年12月の最初の利上げ(ロケットの打ち上げと同様にliftoffと呼ばれています)のあと、アメリカ経済はどうなっているの?いいの?悪いの?利上げできるの?

良い面もあれば悪い面もあるというのを、英TheEconomistは、On the one handというタイトルで掲載しています。うまい。

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(表紙、以下すべてThe Economist)

On the one hand (=一方で)は、中央銀行のトップや市場関係者が「こんなプラスもある。一方で、こんなマイナスもある」という 「どっちやねん?」と突っ込みたくなる景気認識を皮肉っています。

America’s economy, On the one hand – Inflation is rising but households have yet to notice(アメリカ経済、物価は上昇している。その一方で家庭はそれに気づいていない)の記事では、17日には利上げ見送りを決定するだろうとして、FRBの心境の変化(change of heart)を解説

ざっくりこんな内容です(全文の翻訳ではありません)。

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セントラルバンカーというのは今、たいへんだ。3月8日にIMF=国際通貨基金が世界的な需要不足からいっそうの刺激策が必要だと訴えれば、同じ日に、直前までIMFのチーフエコノミストだったOliver Blanchardは世界経済に対する不安は誇張されている(overblown)という。この異なる見方は、アメリカの中央銀行が3月15日開始の金融政策を決める会合での判断の難しさを示している。

FRBが去年12月に政策金利を0.25%引き上げた際に、物価は低迷していた(in thedoldrums)。FRBによると、物価は年率0.5%しか上がっていなかった。それでもFRBのイエレン議長は利上げに踏み切った。物価上昇を待っていれば、のちに急激な利上げを迫られることになり、不況を起こしかねないからだ。去年12月の「リフトオフ」以降、世界経済の先行きに対する不安から株式市場が急落した。

しかし、アメリカの雇用情勢は安定していて、2月には24万2000人分の新規雇用が生み出された。失業率の上昇を抑えるには10万人の増加が必要だと言われていて、はるかに良い数字だ。

さらに、イエレン議長の予想が現実となってきた。食品とエネルギーを除くコア物価は、1月に1.7%まで上昇。これは2013年以来の高い水準だ。ゴールドマンサックスは、今週の会合でFRBの委員(ratesetters)がコア物価の見通しを引き上げると見ている。

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一方で、イエレン議長のシナリオ通りに進まない面もある。ミシガン大学が消費者を対象として行った調査によると、物価上昇率の予想は2.5%まで低迷している。FRBの予想を上回るものではあるが、一般的に消費者はもっと高く予想するものだ。

消費者は今になってようやく、原油などの燃料安とドル高の世界に慣れ出したのかもしれない。であれば、物価がもっと上がると今後予想するだろう。その一方で、金融市場の物価予想はこのところずっと低迷したままだ。

冒頭のOliver Blanchardが指摘するようにアメリカ人は引き続き力強く消費している。所得も個人消費も1月には堅調な0.5%の伸びとなった。小売も力強い。

12月には多くのFRBの委員(rate setters)は、3月の会合で利上げに踏み切ると予想していた。暗い世界経済の見通しを受けて、今や3月の 利上げの実現性は低そうだ。

ただ、FRBは利上げを見送る一方で物価上昇率の予想を引き上げるという奇妙な手に出るかもしれない。最近の金融情勢の混乱は、利上げ見送りというFRBの心変わり(change of heart)を正当化するものだ。

国内経済が勢いを増しているだけに、原油価格の反転、あるいはドルの下落により物価が一段と上がるのはさほど難しいことではない

市場関係者はことし中の利上げは1回、来年末までには3回しか見込んでいない。これはおそらく過小評価だろう(=もっと利上げするだろう)。

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