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<クレイジージャーニー>今のテレビに「異端」を飼っておく余裕はあるか?

高橋正嘉[TBS「時事放談」プロデューサー]
***

「異端」と言うものにはどこか魅力がある。全部が異端では困るが、どこか人間には変わったものが見たいところがある。

テレビの番組で取り上げるには難しい面もあるのだろうが、全くないというのもつまらない。全員異端では立ち行かないが、中にはそんな人間を抱えるのも良いように思える。

最近のテレビの番組を見てみると「異端」と呼べるようなものはあまりないような気がする。常識的なものが多くなり、それが「正統」になっている。結果、どの局も同じような番組をやることになってきた。

かつて荒畑寒村(1887〜1981)の講演を聴きに行ったことがある。荒畑寒村といえば幸徳秋水や菅野スガ、大杉栄、伊藤野枝といった社会主義者や無政府主義者とともに活動した人だ。

幸徳、菅野は大逆事件にかかわり死刑になり、大杉、伊藤は関東大震災のとき甘粕大尉に捕まり虐殺されたのだからはるか昔、歴史上の人物だ。

当時、荒畑寒村は90歳に近かったのではないだろうか。それでもまだ元気だった。もう40年以上前の話だ。語られる内容も歴史そのものだった。

大逆事件のときは捕まって刑務所にいたから助かったとか、菅野スガを幸徳秋水に取られたとかそんな話だったかと思う。

荒畑寒村は日本社会党の結党に参加し、戦後は国会議員にもなった。だがこのときは日本社会党とも離れ社会党の悪口を言っていた。

まさに「異端」とも言える人だった。戦前は反戦を唱え長く収監され、戦後も社会党から出て国会議員になるがその社会党とも別れ落選する。

荒畑寒村が被写体としてテレビに向いていたのかどうか分からない。ただ、こんな人物の話をもっと聞いてみたいと思った。

伊藤野枝は魅力的な人だったと言っていた。体験はやはり強い。

異端と呼べるような人が今どれほどいるのかは分からない。そんな人を引っ張り出すのもテレビの役割なのだろうと思う。

異端とまで言えるのかどうか分からないが、最近面白いと思っている番組がある。「クレイジージャーニー」(TBS木曜日・23:55)だ。

冒険家と言えるようなジャーナリストが世界各地で取材をしてくる。命知らずとでもいえるのか、実にさまざまなところに潜入する。男も女もいる。素材の強さがある。飾ったナレーションも必要ない。世の中にはいろいろな人がいると感心する。この面白さを続けて欲しい。

ただ、ちょっと心配もある。制作する方に「異端も演出できる」と言う傲慢さが出てきやしないかだ。異端の面白さは常識を超えた発想や行動力にある。それをコントロールしようとし始めると、別な番組になっていく。

確かに正統性は大事だがその中に異端をくるめてしまってはいけない。別に正論に落とし込む必要はない。

素の面白さがもっとも大事な要件だ。期待したい。

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