本日夕刻のBBCもCNNも専らウィリアム王子の結婚式のニュースばかり流しています。そんなことで嫌でも中東の結婚式のことを思い出させられました。
一つはイエメンの部族長の長男の結婚式です。このブログでも名前が出ましたが、イエメンの最有力部族で有力部族連合の長にhamarという人物がいます(確か反サーレハの立場を表明したかと思います)。彼の息子が確か1990年に結婚し、われわれ外国大使も招待されました。
イエメンの結婚式ですから当然男と女は別のところで祝うことになりますが、さすが部族長、5階建てくらいの建物とその庭が男性用の披露会場(結婚そのものはモスクか何かで結婚契約に署名するだけのものと思うが、勿論見ていない)にあてられ、女性用には別の建物が当てられました。
まずは正体客全員が庭一面に並べられた青いビニールの上で昼食を御馳走になり、口を石鹸であらい(何しろ羊が多くて臭い)バラの水で口の周りと手の臭いをとり、それからおもむろに建物内に案内される。
建物の下の方は主として部族民用で、政府抗高官とかイエメンの有名人とか外国大使は一番上の方に案内される。
そこでおもむろに始まるのが大カートパーテイで、最高級のカートの束が次々と主だった客に提供される。そして普段は威厳のある顔をしている部族長が、流石父親とばかりに満面の笑みを浮かべて大きな広間を回っては客に笑顔で挨拶し、カートが足りなくなっていると見るや、自らカート束を持ち運んで、配って歩くというサービスのしよう。感心するばかりのホスト役に徹している。
ころ合いを見はからって新郎がターバンとサッシュをつけて颯爽と現れ、こちらの方は部屋の中央の大きな椅子に座って挨拶を受けるという具合でした。勿論新婦にお目にかかる事はありませんでした。
ウィリアム王子のウェストミンスター寺院での結婚式とは随分雰囲気は異なるが、世界で他に類の無い結婚式という点では似ているかもしれません。
もう一つと言うか、こちらの方はカイロとかチュニジアの金持ち、大臣たちの子族の結婚式で、酒がでないこと、必ずベリーダンスが入ることを除いては、披露宴の様子は欧米や日本とそう大きく変わることはないが、富の偏在する、または権力の集中する中東を象徴してか、結婚式がますます大きく派手になりつつあることを感じました。
国民の大部分が貧しいエジプトで裕福で有名な大臣の娘の結婚式はピラミッドの近くのメナハウスホテル(第2次大戦中のカイロ会談の場所として有名)を全館借り切って行われましたが、ホテルの外に一歩足を踏み出すと貧しい人たちがとぼとぼ歩いているという状況でした。今度の革命でこう言うところは変化するのでしょうか?たぶん無理と思いますが、どこかで引っかかるものがあります。
どうもおめでたい結婚式から変な連想をしていまいました。
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- 2011年04月29日 19:53