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急成長の中国映画市場、興収は水増しか

 【北京】中国は米国を抜き、世界最大の映画市場になろうとしている。しかし、本当に劇場に足を運んでいる観客はどれほどいるのだろうか。

 ボクシングの元ヘビー級世界王者マイク・タイソンが出演していることでも話題の中国映画「葉問3:師徒情(イップ・マン3)」は、週末オープニング興行収入が4億7000万元(約82億円)を記録した。しかし当局は今週に入り、同作品の配給会社が興収を水増しするためにチケットを買い上げていた疑いで調査していると明らかにした。

 映画業界関係者20人以上に行ったインタビューから、中国では話題作りを目的としたチケット大量購入がマーケティング戦略として広く使われていることが明らかになった。この慣行は、中国の映画興行収入をめぐる数字の不透明さを一段と深めるものだ。

 中国の放送規制当局である国家新聞出版広電総局によると、2月の同国映画興収は10億5000万ドルに達し、同じ月の北米興収を約2億5000万ドル上回った。外国映画には厳しい配給枠などの制限が設けられているが中国だが、世界の映画会社は成長市場としての期待を強めている。

 外国映画に対する規制は、中国の国産映画の市場シェアを高めることが主な狙い。当局は最近、中国映画で史上最高のヒット作となった周星馳監督の「美人魚」について、通常は1カ月程度の上映期間を3カ月延長した。興行収入がすでに5億ドルを超えている同作品はこれで事実上、近い将来に外国映画に興行成績で抜かれることはなくなったようだ。

 さまざまな制約があるにもかかわらず、外国映画は2012年には中国映画興収全体の半分以上を占めるまでになっていた。ただそれ以降、ハリウッド映画は中国映画などに押され、規制当局によると、2015年のシェアは興収全体(67億ドル)の38%にとどまった。

 複数の業界筋は、多くの中国映画会社は、チケットの大量購入を広告よりも費用効率の高い手法だと考えている。ただ、北京と拠点とする特撮会社BaseFXのクリストファー・ブレンブル最高経営責任者(CEO)は「それは短期的な戦略だ」と指摘。「最終的には映画の成功は観客が決めるものだ」と語った。2006年に設立された同社は「パシフック・リム」や「ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル」などの視覚効果(VFX)を担当した。

 中国の映画会社、楽視影業は昨年11月、サスペンス作品「消失的凶手」 の公開に合わせて劇場主らに宛てた書簡で、同作のチケット購入に100万元を使ったと伝えた。この金額は作品の最終的な興行収入の約13%に相当する。同書簡はウォール・ストリート・ジャーナルも内容を確認した。楽視影業はこの件についてのコメントを差し控えた。

By LAURIE BURKITT

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