- 2016年03月10日 10:48
コンピュータと人、どちらにお金預ける? 実はこの質問、愚問です - 渡邊竜士
1/2チェス、将棋、そして囲碁の世界で人工知能(AI)対ヒトの対戦が注目を浴びるようになってしばらく経つが、投資業界でのコンピュータの活用も広まっている。事前に取り決めた条件で自動的に売買を行うアルゴ取引と言われるものから、市場やインターネット上の膨大なデータ(ビッグデータ)を瞬時に処理し、将来を予測する自動取引システムまで、ピンキリだ。
その中で、日本でも始まりつつある「ロボ・アドバイザー」という金融サービスについてご存じだろうか? スリーピース・スーツの金融マンやサスペンダーを付けたトレーダーでなくとも、年金や超低金利による不安を抱える大人であれば今後誰でも知っておくべきサービスだ。
何歳ですか? 現在の年収は? 貯金はいくらありますか?
他にも、毎月の支出、引退する年齢、家族構成、金融商品の知識レベル、リスク・リターン趣向(どれくらいの損失を覚悟し、それに応ずるどれくらいの運用収益を期待するか)等。真剣に悩んだとしても、10~15分程度の質問事項にWeb上で答えると、世界中の選択肢から貴方に最適な株や債券による運用をしてくれる、それがロボ・アドバイザーだ。
日本が「おもてなし」の国として話題になってしばらく経つが、多くのロボ・アドバイザーのウェブサイトは衝撃的だ。思わず投資したくなってしまうようなデザインになっている。百聞は一見にしかず、ロボ・アドバイザーの会社名にはそれぞれへのハイパーリンクをつけてあるので是非ともダブル・クリックして覗いて欲しい。
欧米では運用資産が急増、日本もこれから!
ロボ・アドバイザーは10年弱前に米国でFinTech(金融とIT技術の融合)ベンチャーとして始まり、既に欧米での総運用資産は世界中で200億ドル(約2.2兆円)を超えている。前年度比150%強の水準で増加しており、2020年には約2~3兆ドル(約242~330兆円:日本の家計金融資産における株・債券・投資信託の残高である約2.5兆ドルとほぼ同額)になるとも言われている。
世界家計金融資産の2020年予想(注1)は345兆ドルだが、仮に株・債券・投資信託等での運用を約100兆ドル(全体の3割弱)とすると、ロボ・アドバイザーは資産運用業界で数%のシェアを取る想定となる。”我々はいつも2年以内の変化を過大に、10年以内の変化を過小に想定してしまう” (注2)という言葉を信じると、数10%水準にもなる可能性は否定できない。
多くのロボ・アドバイザーは、ウォールストリートの金融機関で数年過ごしたトレーディング・電子取引・IT出身者と、世界最高峰の大学・大学院から卒業したての数理系天才達が融合して始まったFinTechベンチャーだ。ただ、数十人程度の従業員規模とはいえ、上位5社の運用預かり資産はそれぞれ10億ドル(約1100億円)を上回っており、既に大手金融機関とロボ・アドバイザーの提携、または吸収・合併のニュースが巷を賑わせている。
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